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第67話 破壊神

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

 〝ウギャギャギャオォォォォォ!!〟

 突如、 空を切り裂くような絶叫が響き渡った。


「うっわ〜なんて邪悪な叫び声……」

 リックが顔をしかめる。

 そこには――

 異形の存在が浮かんでいた。

 顔には禍々しい紋様。

 皮膚の下から浮き出るような黒い模様が、

 脈打つように広がっている。

 その紋様は、見ているだけで、

 不安を煽るような不気味さを放っていた。


「それになんだあの顔?超不気味……」

「何言ってるのリック?」

 エレーナが呆れ顔で言う。

「さっきの貴方、声も顔もそっくりよ?」

「ウソッ!?」

 思わず颯斗は自分の顔を触る。


 キョロキョロとあたりを見回すそれは、

 それほど大きくはない。

 むしろ小柄で、身長は人間と大差ない。

 筋肉質でもない。むしろ細身の体型だ。

「あんまり強そうじゃねーな」

 カイゼルが、ボソッと呟いた。


 その瞬間――

 創造神の顔色が変わった。

「まさか……あの顔の紋様……あれは……」

「どうしたの?じいちゃん。あいつ知ってるの?」

 リックが問いかける。

 だが創造神は、

 険しい顔のまま空を見上げ、何も答えなかった。

「……こうしてはおれん」

 そう言い残すと――

 創造神の姿は、ふっと消えた。


 ーー

「母さん?」

 振り向くとアステリアの顔は青ざめていた。

「……破壊神……?」

「なにそれ?」

 颯斗が眉をひそめる。


「あいつ……ちょっと危ねえな……」

 そう言うとカイゼルは空に浮かび上がった。

「だめ!やめなさい!カイゼル!」

 アステリアが慌てて止める。

 しかし――

 カイゼルはそのまま接近した。


 〝グギャァァァ!!〟

 それの口が大きく開いた。

 次の瞬間―― 口から突然何かを吐く。

 閃光が走った。

 〝ドォン!!!〟

 爆音と共に、カイゼルの体が弾ける。

 その一瞬で、半身が消し飛んでしまった。


「カイゼル!!」

 地面に落ちる身体。

 カイゼルは白目を剥いて痙攣している。

「母さん!エレーナ!こいつ助けて!」

 颯斗が叫ぶ。

 同時に、空の破壊神に向かって身構えた。

 それを見たアステリアが叫ぶ。

「颯斗!行っちゃだめ!あいつだけは!」

 必死に止める。


 破壊神は颯斗達を気に止める様子もなく、

 ただキョロキョロしているだけ。

 そしてーー

「あっ、消えた……」


 ーーーー


「カイゼルは?大丈夫?」

「ええ、なんとか……」

 エレーナが必死に治療している。

「エレーナちゃんの聖魔法は凄いわね。

 体もなんとか蘇生できたわ」

「凄いのはお母様じゃないですか……

 蘇生もほとんどお母様……」

「それはまあ……一応神様ですからね」

 その言葉に、

 場に小さな笑いが漏れた。

 張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ緩む。


 ーーーー


「母さん。あれは何?」

 颯斗が、珍しく真剣な顔で聞く。

「〝破壊神〟なんて初めて聞くんだけど?」

「あれは……全てを破壊し尽くす者……」

 アステリアは遠い目をした。

「あれは……もう一万年くらい前のこと……」

「ちょっと待って。母さんっていくつなの?」

「…………」

 答えない……

「あれは……もう一万年くらい前のこと……」

 質問は綺麗に無視された。


 ーーーー


 とある宇宙の神が――

 強さを求めるあまり……

 禁術の結晶を使った……限界を超えるために……


 第3宇宙には、

 人の住めない巨大な瘴気溜まりの星がある。

 そこには、稀に採れる特殊な結晶があった。

 その結晶は――

 様々な(ことわり)を壊す性質を持っていた。

 時には、人の限界すらも……


「ただね、瘴気溜まりでできた物だから、

 常に危険が伴うのよ」

 アステリアが静かに言う。

「第3宇宙でも、それを使うことは禁術とされていて……」

「なぜ禁術に?」

「何が起こるか……試してみないと分からないの」

 アステリアは続ける。

「大惨事を起こしかねないでしょう?」

 だが……その神は――

 使ってしまった。

 禁術の結晶を。

 そして……狂った。



「もしかしてさっきの俺に使われた結晶って……」

「同じものでしょうね」

「限界を壊したかったのに、

 目的を果たすどころか、

 おかしくなっちゃったんだ……」

 颯斗は青ざめた。

「俺……かなり危なかったんじゃ……」

「そうね。エレーナちゃんに感謝しないとね」

「うん、もちろん」

 颯斗はエレーナを見て、頭を掻く。

「それで……その神はどうなったの?」

「我を忘れて、目につく物全てを破壊し尽くしたわ」

「やばっ……」

「それを止めようと、全宇宙の神が集結したのよ」

「そいつ1人に……それ程までなの?」

「そうよ」

 アステリアは静かに言う。

「だけど……

 集結した全ての神の神聖力を集めて……

 できたことは――封印することだけ」



「さっきのやつは、そいつで間違いない?」

「ずいぶん小さくなっちゃってたから……

 でもあの顔の紋様……」

「俺も顔がそっくりって、言われたけど……」

 首を振るアステリア。

「それだけじゃないの……

 最近封印していた聖域が、

 異常な魔力を放出していると報告があって、

 全宇宙の神々が一度集まって話を……

 と言うことになっていたのよ……」

「封印が解けたのか……」

 颯斗が腕を組む。

「あいつずいぶんキョロキョロしてたけど?

 何か探してたのかな?」

 首を傾げた。


「急に消えたけど……どこに行ったんだろ?」

「分からないわ……

 いきなりこの星を破壊するんじゃないかと、

 ヒヤヒヤしたのだけれど……」

「そんな凄いやつがいたのか……」

「ちょっとリック?」

 エレーナがジト目になる。

「なに目を輝かせているのよ?」

「そうよ颯斗。

 あれだけは……

 いくら貴方でも、

 どうすることもできないわよ?」

「そうかな?そこまで強そうには見えなかったけど……

 で、母さんって歳いくつなの?」

「…………」

 再び沈黙。

「…………そうやって油断すると、

 カイゼルの二の舞になるわよ」

 完全スルーだった。

「ここは、颯斗も協力して……

 神々と歩調を合わせて、

 もう一度封印しなければ……」

 あくまでも、颯斗の質問は無視するアステリア。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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