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第64話 新たなる神剣

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

 ――見事であった。

 低く、しかし……世界そのものが震えるような声。

「あれ……?」

 颯斗は振り向く。

 そこには、白き衣を纏った神が立っていた。

 ――我は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)……

 そう呼ばれている。

 圧倒的な存在感だが、目が優しい。

 ーーお前の名は?

「那岐颯斗です」

 ーー那岐…… やはり我の子孫であったか。

「本当に……ご先祖様なんですか?」

 ーーここに入れた時点で、証明済みだ。

 我が血を引く者以外、この祠は拒む。


「この祠は、貴方が作られたとか……

 ここは何なのですか?封印された剣とは?」

 ーーここは……我が作りし〝日の本〟に災厄が訪れた時。

 我が子孫に、数年の修行を積ませるための迷宮。

「俺は……あまり時間はないのですが、

 俺もここで修行したら、

 神に勝てるようになりますか?」

 ーー数時間で攻略したお前に、

 ここでの修行は無意味だ。


 伊弉諾の神は目を細めていう。

 ーーお前は、どこでそのように、

 とてつもない力を得たのだ?

「異世界に召喚され、良い師に恵まれ、

 魔物、魔族、悪魔……命を賭けた戦いの中で……」

 ーー異世界……そうか……

  一瞬、柔らかな気配が包む。

 ーーお前はアステリア殿の血も引いているのだな……

「母さんを知っているのですか?」

 ーー時折、ここへ来て、

 我の話し相手になってくれていた。


 胸が温かくなる。

「そうだったんですね。

 ここでよく瞑想していたとは聞いていたのですが」



「ところで……封印された剣とはなんですか?」

 ーーいや、剣にそれほどの意味はないのだ。

 修行させるのが、ここの本当の目的だからな。

 そこに浮いておる剣はーー


 気付くと神饌台(しんせんだい)の上に美しい剣が浮いていた。

 神気を纏う、美しくも古き刃。

 ーーそれは、はるか昔、我が神々との戦いに使った剣。

 必要とあらば持っていってもかまわんぞ。

「そんな貴重な物、頂いてもよろしいのですか?」

 ーーお前にはそれを持つ資格があるからな。

「神々との戦いに使った剣……

 これならば、神を殺せますか?」

 伊弉諾の神の目が僅かに揺れる。


 ーー殺したい神がおるのか?

「別の世界のことですが……

 正直言うと、殺したくはありません……

 しかし、邪神を名乗るその神を倒さない限り、

 向こうの世界は、滅びてしまうかもしれません」

 ーーそうか……


 伊弉諾の神は静かに目を伏せる。

 ーーだがその剣では神は殺せない。

 異世界でも同じことだろう。

 我は後悔することがあってな……

 神に致命傷を与えることができないものに、

 それを変えてしまったのだ。

「元に戻すことは?」

 ーーこの文明社会。神への信仰も薄れ……

 我にそのような力は残っておらんのだ。

「でしたら、俺にその剣は必要ありません」

 颯斗はゆっくり首を振る。

「いつかこの国に災いが来た時のために……

 その剣は俺ではない誰かに……」



 伊弉諾は目を閉じる。

 そして――

 ーーお前が先ほど使っておった剣……

 あれも神剣ではないか?

「はい、そう聞いています。

 向こうの世界のものですが」

 ーー我に見せてくれぬか?

「もちろん構いません」

 剣を差し出す颯斗。


 ーーうむ……これは見事な剣だ。

 そう言うと、しばし考え込む。


 ーー颯斗よ。この剣と、我の使いし剣……

 この二振りを融合させれば、

 異世界の神に届くやもしれん。

「融合?それで神をも殺せますか?」

 ーーそれは我にもわからん。

 ただ、何らかの効果があることは保証しよう。

「では……融合していただけますか?」

 ーー我にはできん。これが出来るのは颯斗……お前だけだ。

「俺が?どうやって……」

 ーーまずはどちらを基本にするかだが……

 異世界で戦うというのであれば……

 やはり、お前のその剣であろうな……

 それを右手に持ち、魔力を注いでみよ。

「えっ?魔力が必要?無理です。

 こちらに来た途端、魔力が使えなくなりました。

 ーー何を言っておる?先ほども使っておったではないか。

 戦いの中で身体を強化していたぞ。

「俺が身体強化の魔法を?

 そういえば地上に落ちた時も、

 それだけは使えました……

 ですがここにはマナがないようで補充できず、

 今の俺は、魔力ゼロのはずです」

「この世界にはマナなるものがないかもしれんが、

 ある程度は自ら魔力を生み出せると、

 アステリア殿が言っておったぞ?

 彼女も時々魔法を使ったおったようだ。

「そういえば、宝魔石を作ったんだっけ……

 俺にも?」

 ーーやってみるがいい。できるはずだ。

 エゼルソードを右手に持つ。

 体の底から絞り出すように……

 その魔力を右手に……そして……それを剣に注ぐ。

 エゼルソードが輝き出す。


「で、できた!」

 ーーよし。

「次は何をすれば?」

 ーー左手にこの剣を持ち、

 神通力を注ぐのだ。

「えっ…………そんなもの持ってない……」

 ーーははは、何を言う?

 颯斗は、我の子孫なのだぞ?

 生まれた時から持っておるに決まっておろう。

「でも……それを感じたことがありません……」

 ーーこちらに来なさい。

 一歩二歩、近づく颯斗。

 伊弉諾の神は、指2本を颯斗の頭に置き神通力を流し込む。

 〝ビリビリビリビリ〟

「どわ〜気持ち悪!電気が走る」

 ーー落ち着け颯斗。それは電気でもなく、

 お前に災いするものでもない。

 それが今までお前の中で眠っておった神通力……

 少しお前の魔力と共鳴し、

 ざわめいているだけだ。


「……あ」

 フッと違和感が溶ける。

「ビリビリしなくなった」

 ーー要領は魔力と同じだ。

 この剣に注いでみろ。


 剣を差し出す伊弉諾の神。

 それを左手へ。そして神通力を剣へ流す。

 金色に光出す剣。


 ーーうまいぞ!

 その二振りを胸の前で交差させろ。


 刃が震え、蒼と金が交わる。

 稲妻が走る。

 二振りが溶け合う。


 〝ゴォォォォォォォ!!〟

 しばらくすると眩光が収まる。

 颯斗の手に、一振り。

 形はエゼルソードに近い。

 だが刃の芯に、金の脈動。

 ――これが新たな神剣。



「で、できた!できたよじいちゃん!

 ……あっ、すみません。伊弉諾の神様。

 向こうの世界で、

 創造神を、そう呼んでるもので……つい……」

 ーーは〜ははは!良い良い。

 何代も離れてはおるが、お前は我の子孫。

 じいちゃんで良い。


 楽しそうに笑う伊弉諾の神。

「ほんと?いいの?」

 ーーかまわん。話し方もそれでいけ。

「うん、この剣ありがとう。じいちゃん!」

 ーーわ〜ははは!愉快愉快!


 こうして手に入れた剣。

 二振りの剣が融合した新たな神剣。

 ――どのような力が宿ったか……

 また報告に来るのだぞ。

「オッケーじいちゃん!」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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