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第62話 このお方

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

「リック!本当にすぐ戻って来たのね……」

 振り向いたリックは、以前とどこか違っていた。

「マスターしたの?」

「バッチリ」

 その口は軽い。

 だが、その一言の重みが違う。

「着てるものまでなんだか神様ぽくなって……」

 淡く光を帯びたコート。

 布なのに、金属のような質感。

「なんか勝手に白くなって、形状も少し変わってた。

 こいつ自分で形状変えるから……

 鎧とかにもなれるし……

 神界に行って周りに感化されたんじゃない?」

「うん、でもなかなかカッコいいわよ?」

 エレーナが少し照れる。

「さっきも言ったけど、

 リックが神様みたいに見えなくもないわ。

 で、どれくらい神界にいたの?」

「1年位かな?」

「思っていたのより少し長かったのね」

 アステリアが肩を竦める。

「それがね……エレーナちゃん。

 この子たった1日で、あの馬鹿げた膨大な魔力の扱いに、

 慣れちゃったのよ?」

「ここなら思いっきりやっても大丈夫って、

 じいちゃんが言うから、

 ガンガンやってたら、なんかコツが掴めたんだ」

「……」

 全員が沈黙した。

「普通は1000年……リックなら数ヶ月でって、

 言われていたのが1日?」

「ね?驚くより呆れちゃったわよ」

「でも、だったら何故1年も神界にいたの?」

「ちょっと……色々教わってた」

「誰に?」

「剣神、武神、魔法神……色んな神々が居て、

 皆んな〝教えたがり〟なの。

 ……でも、それが楽しくってさ」


「「「「「「…………………………」」」」」」

「みんなどうしちゃったの?

 おし黙って……なんか変よ?」

「……姫さん……何も感じないのか?

 ……我は……」

「あら?ジェブ、貴方なんか薄っすら光ってるわよ?」

「リックが帰ったら、我の能力が飛躍的に上がった」

「つまり、リックが物凄く強くなったって事?」

「強くなったって言うより……このお方はもう神……」

「ブッ!何だジェブ、〝このお方〟って?

 なんか悪いものでも食べたんか?」

「いやなんか……恐れ多いっていうか……」

「そうかしら?着てるのが変わった位で……

 何処か変わった?」

「だよな?俺は俺だぞ?」

 クスッと笑う。

「気持ち悪いから皆んなも今まで通りで頼むわ」


 その時……空気が震えた。

 颯斗の瞳が遠くを見る。

「ん?カイゼルの言う通りかも……

 あいつ戻って来たんじゃないか?」


 ーーーー


 空が裂ける。

「地上の者共よ」

 邪神の声が世界を覆う。

「最後通告だ」

 恐ろしく魔力が濃い。

 以前とは比較にならない。

 周りには数万の軍隊を引き連れている。

「あれが遺伝子操作されたクローンの軍隊……」

 纏ってるオーラーで、一体一体が、

 とてつもなく強いことがよくわかる、

「人型だけど、頭は蟻かなんかに見えるな……

 触覚あるし……〝へ〜んし〜ん〟てか」



「聖女達を差し出せ。

 そして私の元につけ」

 空間が軋む。

「さもなくば、この世界からお前達を抹殺する。

 だがそれは私の本意ではない……

 私も、この世界にただ1人になっても退屈だからな。

 さあ、決断せよ!」


 ーーーー


「聖女さん達は渡さないよ?」

 突如、邪神の前に立つ颯斗。

 予期しないことに邪神は体を〝ビクッ〟とさせた。

「貴様!どうやって戻って来た?

 そうか……創造神だな?」

「違うよ?」

 颯斗の態度は軽い。

「じいちゃんも見ていたらしく、

 戻す為、俺を探そうとしたら、

 〝サクッと戻って来た〟って言ってたな」


「……次はもっと遠くに飛ばしてやろう」

「やめとけば?もうそれ俺にしても意味ないよ?

 自分で何処にでも行けるようになったんだよね」

「ハッタリを言いおって」

「ハッタリじゃないって……」

 一瞬消えて又姿を見せる颯斗。

「ほらね?」

「何が〝ほらね〟だ。転移魔法を使っただけじゃないか」

「これ、ハンバーガーって言うんだ。

 この世界にはないでしょ?

 そう言えば向こうで食べ忘れたなって思ってさ。

 ジャンクフードとかいう人もいるけど美味しいよ。

 あんたも食べる?」

 差し出す。

「…………」



「エレーナ食べる?」

 今度はエレーナの横にいた。

「キャッ!何度も言うけど急に目の前に現れないでよ……

 でもそれ、すごくいい匂いね?」

「お腹空いたんじゃない?沢山買ってきたから、

 みんなで食べながらのんびり見物しててよ?」

 あくまでも軽い颯斗。

 大きな紙袋をエレーナに手渡す。



「貴様……なに余裕ぶっている?

 落ち着いて見てみれば、

 貴様先程の戦いで魔力を使い果たした様だな?

 殆ど魔力を感じないではないか?

 それに比べて私の魔力が分かるか?

 数千倍に膨れ上がったこの魔力が?」

「プッ……数千倍とは随分大きく出たな?

 お前こそそのハッタリが小物っぷりを表して情けない……

 リミッター解除された俺から見たら、

 お前の能力アップなんて、誤差程度なんだが?」

「強がりはやめるんだな。

 お前から殆ど魔力を感じないではないか」

「そう?だったら魔力制御上手く出来てることだな?

 そんじゃあ……俺のマックスを見せてやるよ?ビビれ!」


 ーーーー

 〝クッ……クッ……ウッ……ウォ〜〜〜〜!〟

 空中に浮いている颯斗の周りに稲妻が走る。

 〝バリバリバリ〜〜!〟


「なにあの稲妻?眩しくて直視できない」

「ち……違うぞ姫さん……確かに稲妻もだが……

 1番眩しく光っているのはリックなのでは?」

「あ〜眩しくてよく見えないけど……

 なにあれ?蒼く煌く瞳。

 髪が光って腰近くまで伸びてる?

 何なのあの姿?」

「エレーナちゃん。

 あれがあの子のリミッターを外した姿よ?

 神界でいきなりあの姿になった時は、私も驚いたわ」

 邪神には耐え難い程の颯斗の威圧が、

 周りの空気を振動させている。 



「なっ……何だその馬鹿げた魔力は……

 その輝く姿は……貴様……本当に神の領域に……」

「流石に敵にすらなれないことがわかつた様だな?

 もうやめるか?

 こうなった俺は、優しくはないぞ」

 静かに言った。

「〝参りました〟それだけでいい」

 邪神が歯を食いしばる。

「神は……殺せん。

 貴様がどれだけ高みに行こうと……私は神だ!

 ましてや、この数の軍団にどう抗うと言うのだ?」

 颯斗が肩を竦める。

「そうか」

 一歩踏み出す。

「じゃあ、始めよう」


 剣を抜く。軽く振ると青い光が一直線に延びた。

 神々の鍛錬を経た一振り。

「何をするかと思えば、剣だと?

 今更神剣エゼルソードなど……

 その剣は魔族を倒す勇者の剣。

 悪魔族さえ傷つけるのが精一杯……」

「この剣はエゼルソードであって、

 エゼルソードじゃない……

 これは、魔力……そして神通力、

 両方を通さないと光らない」

「エゼルソードではない……?」

「こんなふうに光り輝いてる時は、

 見分けがつきにくいかもな?」



「ジェブ、エゼルソードでしょ?

 あの剣で勝てるのかしら?」

「あれは……エゼルソードとは違うのでは……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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