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40 愚図

残虐な描写があります。ご注意ください。

 

 『水と炎の旅団』は、三つある建物の一番奥にある館の左側へと回り込んでいた。

 先頭に、副リーダーのクラウディアと、剃りあげた頭に刺青を入れたいかつい大男のガズが、それぞれ強大な盾(タワーシールド)を手にもって、二人並んで歩く。

 その後ろ、集団の真ん中をグルキュフが歩く。

 最後に、小太りのティブラと、仮面をつけたリィとルゥの魔法使い三人が続く。


 『水と炎の旅団』はパーティーの半数が魔法使いだ。そういったパーティー構成は、ダーヴァの街など地方都市の周辺では、かなり珍しい。

 単純に、地方都市では魔法使いの数が少ないのでメンバーの半数を魔法使いにする事が、物理的に困難な為だ。

 さらに、グルキュフは、非常に数の少ない魔法剣士で、彼自身も魔法が使える。

 『水と炎の旅団』は、メンバーの半数以上、2/3が魔法を使えることになる。

 かなり特殊な構成な冒険者パーティーと言える。

 その特殊性は、リーダーであるグルキュフの、ある信念(・・)に基づいた物だったが、その事を知る者はメンバーの中にすらいない。


「ティブラ どうだ?」

 館の建物に近づいた所で、グルキュフは、後ろにいるティブラに声を掛ける。 

 

「とりあえず建物の外には、何もないですなぁ」

 小太りの魔法使いティブラの言葉に、グルキュフは頷いた。手を振っていくつか指示を出す。

 副リーダーのクラウディアと、大男のガズが建物へと近づいていく。

 手短な窓から建物に潜入して、安全を確認する。

 それから、グルキュフと残りのメンバーが建物に侵入した。


「ふーむ。これは、これは。

 幻惑魔法の結界が、まるで花が咲き乱れる花畑のように、あちらこちらにありますよ」

 建物に入るやいなや、ティブラが呆れ気味に言う。

 後ろにいる、仮面のつけた二人の魔法使いリィとルゥも回りをキョロキョロと見回している。

 相当な数の結界が、周りを囲んでいるようだ。


無力化(レジスト)できるか?」

「もちろんですよ。かなり強力な結界なんで、普通の魔法使いには無力化(レジスト)どころか発見すら難しいでしょうけどね。

 でも、私は攻撃魔法はからっきしですが、こういった地味な魔法だけは得意ですからねえ。はっはははは」

 ティブラはでっぱった腹を抱えて、笑う。

 それから、楽しそうに、一言付け加えた。

「だからこそ、このような時の為に私を買って(・・・)くださったんでしょう?」

 

 その笑いに、グルキュフは不快そうに顔をゆがめる。

 

「無駄口を叩くな。さっさとやれ」

「ほいほい。解りましたよ」

 ティブラは、呪文を唱え始めた。

 手に光りを灯る。その光が徐々に大きくなり、パーティーの六人を包み込む。

「ほいほい。これで、もう大丈夫ですよ」


「よし。それから、リィ、ルゥ。

 いつ敵が現れるか解らん。仮面をはずしておけ」


 グルキュフの指示に二人が小さく頷く。リィが白い仮面を、ルゥが黒い仮面を、外す。

 仮面の下に隠されていたその素顔は、狐目の少女だった。

 二人は瓜二つで、ほぼ同じような顔をしている。唯一の違いは眼の色だ。

 白い仮面をつけていたリィは、赤い眼。

 黒い仮面をつけていたルゥは、青い眼をしている。


 そして、二人共が、なぜか唇を、僅かに動かし続けている。顔を近づけてよく聞くことができるなら、二人が非常に小さな声で呪文を詠唱しているのが解るだろう。

 彼女達は、とある理由(・・・・・)で、起きている間中、特殊な呪文を詠唱し続けなければならない。

 話をするときは、呪文と呪文の僅かな間に、一言二言喋るだけだ。

 普段つけている仮面は、その様子を隠し、さらに呪文の魔力が洩れ流れてしまうのを防ぐ為の物だった。


 仮面を外し、臨戦態勢に入った二人の様子を見て、グルキュフは頷く。

「よし。おい、ティブラ。あらためてエイシャ様の居場所はさがせ」


「ふーむ。現状では解りませんな。

 ただ、この建物にいる人は、すべて四階にいらっしゃるみたいですな。

 ちなみに、強い魔力の反応も四階からするので、グリン・グランもそこにいるみたいですね」

「四階か」


 グルキュフは、天井に目をやり、その先にある四階を見つめる。

 彼は、『グリン・グラン』の首を取りたいと考えるアドリアーンとは違い、依頼(クエスト)の遂行をもっとも重視している。

 できる事なら、障害となる『グリン・グラン』とは対峙せず、こっそりとエイシャ様だけ助けだしたい。

 余分な事など、したくない。

 特に、強い敵と対峙などして、大事な手駒(なかま)を危険にさらすなど愚か者のすることだ。


 だが、目的(・・)障害(・・)も、両方とも四階にいる。

 四階に向かうしか、手はないか。 

 グルキュフは、チッっと舌打ちをしてから階段を探す為に歩き出す。


 廊下の少し歩くだけで階段はすぐ見つかった。 

 階段を登る。各階を登るごと、踊り場を通るごとに、メンバーをつつむ光が点滅する。

 どうやら魔法の結界の無力化(レジスト)が行われているようだ

 

 無力化(レジスト)が成功した為だろう。結局、何も無いまま、無事に四階に到着した。


 四階もやはり、静まりかえっている。

 右の壁には窓が並び、そこから差し込む月明かりが廊下を仄かに照らす。左側の壁には、ズラリと豪華な扉が並んでいる。

 今までの一階~三階と、変わった所は無い。窓の外の風景だけが、少し変わっているくらいだ。


「ティブラ、どうだ? エイシャ様か、『グリン・グラン』の居場所がわかるか?」


「エイシャ様の居場所はわかりません。

 ただ、大魔法使い『グリン・グラン』の居場所でしたら……」


 ティブラは、思わず笑ってしまう。笑いながら、廊下の先を指差した。

 

「目の前にいますね」


 廊下の先。先ほどまで何もなかった空間。

 そこには、黒いローブを来た大男が影のように立っていた。


 あれが、大魔法使い『グリン・グラン』。


 大魔法使い『グリン・グラン』の姿については、実はよくわかっておらず、骸骨のアンデッドだとか、猫を抱えた少女だとか、ローブをきた妖艶な美女だとか色々な噂があった。

 今、目の前にいるのは、黒いローブを身に纏い、ねじれた杖を手に持ち、髑髏の顔をもつ2m近い背丈の大男だった。


「あれが、本当に大魔法使い『グリン・グラン』なのか?」

 疑り深いグルキュフは、ティブラに確認する。


「ええ、目の前に静かに立っているだけの者から、すさまじい魔力が感じられるます。

 この四階では、他に強い魔力を感じませんから、間違いなく本物でしょう」

 そう答えるティブラは、大量の汗をかき、真っ青な顔をしている。

 魔力を感じる彼には、目の前にいる者が、どれほど凄い存在なのかが解っているようだった。



     「……つまらぬ」


 不意に、目の前の大男が呟いた。


「一番最初にこの四階まで達したパーティーには、名誉として、このグラン自らの手で"死"を与えようと考えていたのだが……」

 その声は、まるで世界のすべてに死を撒き散らす事を目的としているかのような、悪意に満ちた声だった。


「三つのパーティーの中で、一番つまらぬパーティーが、最初に我が元へと達してしまったか。

 まあ、魔法使いで"ハンデ"のあるパーティーもあったからな、仕方なきことか」


 "一番つまらぬパーティー"

 自分達の事を、そう言われて、プライドの高いグルキュフの顔が僅かに歪む。

 だが、くだらない言葉を言い返したりはしない。

 右手を上げて、パーティーメンバーへと指示をだす。

 その指示に、周りのメンバーはすぐさま反応して動きだした。


 副リーダーで豊満な肉体をもつクラウディアと、剃りあげた頭に刺青をいれたガズの二人が前へでる。

 右にクラウディア、左にガズ。


 クラウディアは、左足を一歩踏み出し、斜めに構える。

 左手に構えた強大な盾(タワーシールド)を前へと突き出し、右手に大き目の片手剣を構える。


 ガズは、逆の構えで、右足を一歩踏み出し、斜めに構える。

 右手に構えた強大な盾(タワーシールド)を前へと突き出し、左手に大き目の斧を構える。

 

 二人は前方に対して斜め構え、お互いの背中を預けるように立っている。

 そして、二枚の強大な盾(タワーシールド)を隙間なく左右に並べて、前方へと突き出す。

 それは相対する敵から、まるで『鉄の門』が目の前で閉じられているかのように見えるだろう。


 昨日今日、作られた様な、にわかな構えではない。

 その構えからは、長い間一緒に死地を乗り越えてきた二人だけが作りだせる力強さが、滲みでていた。

 

「ほう、思っていたよりは楽しめそうだな」


 二人の堂に入った構えを見て、グランは感嘆の声を上げる。

 その言葉に、『水と炎の旅団』のメンバーは、誰も何の反応も、示さない。

 戦いが始まっているのに、無駄口を叩くような大馬鹿者は、『水と炎の旅団』の中には一人もいない。

 クラウディアとガズが、二つの盾で作り上げた強固な鉄の門。

 その鉄の門を前方に掲げた守備的な陣形のまま、ゆっくり時間を掛けて、ジリジリと前進する。


 その消極的な様子を見て、グランは鼻で笑う。

「フッ。少し褒めた途端にこれだ。だから、つまらぬと言うのだ」

 

 強固な門と、グランとの距離が、少しづつ詰まっていく。

 もう一歩で、危険な領域へと踏み込む所まで来た。

 月明かりだけが差し込む暗い廊下に、緊張が張り詰める。

 だが、グランは構えを取るわけでもなく、呪文を唱えるわけでもなく、ただ、突っ立っている。


 突然。

 右に構えるクラウディアの更に右外側から、赤い眼のリィが飛び出し、横に回りこむ。

 左に構えるガズの更に左外側から、青い眼のルゥが飛び出し、横に回りこんだ。


 二人共、攻撃呪文の詠唱はすでに終わっている。

 リィの手から、豪快で派手な紅蓮の火炎が発せられる。

 ルゥの手からは、"何か"が発せられた。だが、あまりに細く地味なその"何か"は、月明かりだけが差し込む暗い廊下では肉眼では捉えられない。

 それは、『水』だった。

 あまりに細く、そして強く吹き出された水は、水の刃物(ウォーターカッター)と化して、襲いかかる。


 更に、それと同時に、クラウディアの片手剣が右から、ガズの斧が左から、グランに向かって振りかざされる。


 完璧なまでのコンビネーションが生み出す、四方からの同時攻撃。

 リィの紅蓮の炎が体を包み、ルゥの水の刃物(ウォーターカッター)が胸を撃ちぬく。

 クラウディアの片手剣が敵を切り裂き、ガズの斧が首を跳ねる。

 誰も避けることなどできぬ必殺の攻撃。


 そのはずだった。

 だがグランは、リィの紅蓮の炎に身をつつまれ、ルゥの水の刃物(ウォーターカッター)に胸を撃ちぬかれながら、

 片手に持つ杖でクラウディアの剣をとめ、逆の片手では、骨だけの素手で、ガズの斧を止める。


「なかなか、良い攻撃だったが…… やはり、つまらぬな」

 

  そうか。つまらぬか。 

  声には出さず、心の中だけで反論する。

  これを食らっても、まだ、そんな事が言えるか?


 次の瞬間。

 鉄の門が開かれた。

 クラウディアの盾と、ガズの盾で作れた鉄の門。その鉄の門が、左右に開かれる。

 二つの盾の間に開かれた僅かな隙間、そこから、グルキュフが飛び出した。

 

 くらえ!

 グルキュフのレイピアが、グランの胸を貫く。


 グランの着ていたローブの表面に、点のような、小さな渦ができる。

 レイピアに貫かれた場所を中心に、どんどん渦を巻き始める。

 渦は大きくなり黒いローブを巻き込む。

 もちろん、ローブだけではない。クラウディアの剣を止めていた骨だけの片手も、ガズの斧を止めていた逆の片手も、髑髏の顔も、すべてバキバキと音を立て砕かれながら、渦に巻き込まれていく。

 一度巻き込まれてしまったら、何人(なんぴと)たりとも、この渦から逃げだす方法などない。

 渦だけになっていく。

 バキバキと音を立て、大男の身体を形作る骨達は、全て渦に巻き込まれていく。

 そして空中で破裂し、バラバラに四散した。



 だが、その中(・・・)に居た者は、無傷だった。


「はははっはは、やるではないか!」

 "着ぐるみ"のような骸骨の大男のすべてが 渦に巻き込まれ四散した。

 だが、その中に潜んでいた、グランは無傷だった。

 

 骸骨の大男の中から、現れたのは、妖艶な美女だった。

 黒い肌、黒い髪、氷のような蒼い瞳。

 僅かな布だけ纏った妖美な半裸の体には、様々な模様を象った刺青が入っている。


「私の骨の巨人鎧(ボーンスーツ)を打ち崩すとは、中々やるではないか。

 "つまらぬ"などと言って、すまなかったな。訂正してやろう……」


 グランが、唇の端を歪めて怪しく笑う。


「なかなか、愉しい大道芸(ミセモノ)だったぞ」


 グランが、無造作に手を振った。

 それだけで、クラウディアの盾が吹き飛ぶ。

 返す手の動きで、ガズの盾が吹き飛んだ。


 更に、グランが右手を上げて、何か呪文を唱え始める。


 詠唱を止めるべく、グランめがけて、クラウディアが剣を、ガズが斧を振るう。

 剣と斧が同時に左右から、グランの細い体へと襲い掛かる。

 だがグランは、しなやかに体を湾曲させ、ゆるりとした歩調(ステップ)を踏み、易々と二人の攻撃をかわす。


 呪文の詠唱が終わったリィとルゥが、再び魔法を発する。

 紅蓮の炎と、水の刃物(ウォーターカッター)が襲いかかる。

 だが、その魔法は、グランの体の手前の空中で、すでに張られていた見えぬ壁に阻まれ四散する。


 魔法詠唱を終えたグランが、右手を振り下ろす。

 振り下ろすと同時に魔法が発動した。

 

 手から這い出てくる、黒い霧。

 霧は、少しづつ塊となり、形作られていく。

 黒い霧が形づくった、それは、巨大な人の顔だった。

 醜く狂おしい、巨大な人の顔が空中に浮かび上がる。


 それは、瞬きする間も無い程に、一瞬の出来事だった。

 巨大な顔が、上からガズの頭を噛み千切った。

 反撃する間も、抵抗する間も、無い。

 首の無くなったガズの強靭な体だけが、暗い廊下に、斧を構えたままの格好で取り残される。


 ガズの首を噛み千切った強大な顔は、とても満足気な、そして至福にみちた笑みを浮かべてから、霧へと戻り、四散した。


「ガズ!!」

 思わずクラウディアが その名前を叫ぶ。

 その悲痛な叫びは、暗い廊下にこだまする。

 だが、反応する者は誰もいない。


 グランが、また右手を掲げて、呪文の詠唱を始める。


 悲しみを感じている暇もない。

 クラウディアが、呪文を阻止しようと必死に剣を振る。

 リィとルゥも、渾身の魔力をこめて、炎と水の魔法攻撃を仕掛ける。

 たとえ、その攻撃が無駄に終わると解っていたとしても、呪文を阻止しようと必死に抵抗する。


 グルキュフは一歩、後ろに下がって、戦況を見ていた。

 グランに対して、クラウディアの攻撃も、リィ、ルゥの魔法も効きそうにない。

 先ほどの黒い霧の呪文による攻撃を防ぐ手立ては、まったく思いつきもしない。

 思わず心の中で、悪態をつく。


 くそ!

 あの愚図(ぐず)は、まだか?

 

「お待たせしました」

 今まで、魔法で姿を消していた(・・・・・・・)ティブラが、ふいに姿を現した。

 その手には、意識を失った一人の少女が抱きかかえられている。

 金髪の巻き毛の少女。

 エイシャ様だった。


 全てが眼くらまし。


 グルキュフは最初から、徹頭徹尾、『大魔法使いグラン・グラン』を倒すつもりなど無い。

 エイシャ様を助けだすことだけが目的だった。

 自らが繰り出す、『水と炎の旅団』の最高最大の攻撃。それすらも囮でしかない。

 その目論見は見事に成功したかに見えた。


 だが、グランが、ティブラの手からエイシャ様を受けとろうとしているグルキュフに気付いた。


「小賢しい奴め」

 詠唱の終わったグランは、右手を、グルキュフに向かって振り下ろす。


 黒い霧が、グルキュフに迫る。

 霧が、空中に、強大な顔をみるみる形作っていく。

 浮かび上がった巨大な顔は、グルキュフの頭の上で、とてもとてもとても楽しそうにニヤリと笑う。


 グルキュフは手に持つレイピアを、強大な顔の額にむけて突き入れる。

 だが、手ごたえがない。黒い煙に抵抗する術は無い。

 巨大な口が、グルキュフの頭に迫る。


 ドンと、グルキュフの身体が何かに弾かれ、地面へと転がった。


 身体ごとグルキュフを弾き飛ばした、ティブラ。

 その頭が、巨大な顔に噛み千切られた。

 首の無くなったティブラの身体だけが、エイシャ様を抱えたままの格好で、暗い廊下に取り残された。


 地面に転がったグルキュフが、ティブラの身体を見上げた。

 その首なき身体のさらに上空で、強大な顔が、満足気な至福にみちた笑みを浮かべてから、霧へと戻り、四散する。

 

 グルキュフは、すぐさま立ち上がる。

 首がないまま立ち尽くすティブラの身体から、引き離すようにエイシャ様を奪い取ると同時に叫んだ。


「よし、撤退だ!」


 グルキュフの指示に、すぐさま残りのメンバーが反応した。

 リィとルゥが、魔法を発する。

 炎の壁と、水の壁がグランの眼の前に形成された。

 グランに対してまったくダメージを与える事はできないが、逃げる為の眼くらましには十分だろう。

 クラウディアも、躊躇なく逃げ出す。 

 

 エイシャ様を抱えたグルキュフは逃げ出す時に、一度だけ、後ろを振り返った。


 自分をかばうようにして、巨大な顔に、頭を噛み千切られた、ティブラ。

 まるで、無くした首を捜してさまように、立ち続ける身体。


 そのティブラの首無しの身体を見つめつつ、グルキュフが小さく呟いた。


  ふん、愚図が。

 

 そして、前に向きなおると、改めて他のメンバーと共に、逃げ出したのだった。 


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