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デモンズキャッスルパークへようこそ!――たこ焼きに釣られた魔王の孫は、謎の美少女(自称)たちと街づくりに励む  作者: いか墨ドルチェ


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第6話 魔王城アイランドは食材の宝庫!?

 サミュエルとアンジェラは、アンジェラのオールに乗って、空を飛んでいた。


「ねえねえ、ミュくん、町があるね。人住んでるのかな?」

「そういう気配はしないがな」

「せっかくだから、ちょっと探検してみよー!」


 アンジェラと出会ってまだ2日目だが、サミュエルはだいぶこの小娘の身勝手な振る舞いに慣れてきていた。どうせこの小娘は人の話など聞かないのだ、もう何も言うまいと思う。


 町といっても粗末な小屋がいくつも並んでいるだけの場所だ。人間の町のように、商店や飲食店が立ち並んでいるわけでもなく、市民の憩いの場となるような広場があるわけでもない。


 一度でも人間の町を目にしてしまったサミュエルには、この町――といってもただ小屋が並んでいるだけの原始的な集落のような場所――の味気なさが身に染みた。魔族が人間に勝てなかった理由が何となくわかる気がした。


「残念ながら、人はいなそうだね」


 人というか、仮にいたとしても魔族だろう。人とは似て非なるものである。


 この集落も、周辺の森に侵食されつつあった。いたるところに大木が生えているのだ。


「お、おおお! これはバナナじゃん!」


 見ると、大きな葉が茂る背の高い木が群生している場所があり、いくつかの木にはたわわに実る黄色い物体が多数垂れ下がっている。


「バナナとは何だ?」

「この黄色いのだよ。甘くてめっちゃおいしいんだよ!」

「! まさか、食べられるのか!? この黄色い物体が!?」

「ミュくん採れる?」


 促されて、手が届きそうなところのバナナを房ごともぎ取る。アンジェラは、サミュエルの手の中のバナナを一本取ると、皮をむいてみせた。


 そもそも魔族には植物を食べるという習慣がない。ある種の動物が植物を食べることは知っていたが、まさか生きている間に自分が植物を直に口にすることになろうとは……。サダムが知ったら「植物を食べるのは弱き最下層の動物のすること。魔王の威厳が台無しだ」と苦言を呈してきそうだ。


(だが、サダムよ。魔王を打ち倒した人間は、こうして植物をそのまま食らうのだぞ)


 サミュエルは心の中で、自分が生み出した幻のサダムに言い返してみた。


「皮をむいて、中の実を食べるんだよ。そのまま食べられるから」


 サミュエルは渡されたバナナを恐る恐る口に入れた。ねちょっという摩訶不思議な感覚と共に、今まで味わったことのない甘みが口の中に広がる。


「な、なな、なんだ、これは!? 甘い、甘いぞ!」

「でしょー! こんなすぐに食料が見つかるなんて、幸先いいね! バナナがあるってことは、南国フルーツてんこ盛りの予感!」


 アンジェラは羽織っていたマントを袋状にすると、その中にバナナをしまった。


「よし! 次行ってみよう!」

「おう!」


 いつの間にか、サミュエルもやる気満々になっていた。まさか自分の住んでいた城のおひざ元に、このような旨い食べ物があったとは! 人間の言葉でいう灯台下暗しというやつである。


 集落内とその周辺を少し見て回っただけで、パンノキ、マンゴー、パパイヤ、ココナッツ、カカオといった果実から、スパイスになるハーブ類やサトウキビ、タロイモやトウモロコシなどの穀物まで発見することができた。


 魔王城のある島は食材の宝庫だったのだ!


「あとはたんぱく質がほしいところだねぇ」

「これだけ取ったというのに、まだ食べ物が必要なのか?」

「そうだね、例えば、たこ焼きに入れるタコや、目玉焼きにする卵みたいな。やっぱりメインはたんぱく質だよね? 鳥の肉とか卵とか、あとは川で魚を獲るとかできないかなぁ」

「よし、任せろ! 食べられそうな鳥なら何でもいいんだな。密林の中は危険だ。お前は先に城に戻ってろ」

「じゃあ、狩りはお任せしちゃおっかなぁ」


 サミュエルとしてもアンジェラがいない方が都合がよかった。その方が、彼女の目を気にせずに自由に行動ができるからだ。


 そういえば、食べ甲斐がありそうなデカい飛ばない鳥が密林の先にあるサバンナ地帯にいたなと思い出す。アレを何匹か捕まえて帰れば、肉として食すだけでなく卵が取れるのではないか。サミュエルは、朝食べた卵の黄身のトロンとした食感を思い出していた。


 よし、目玉焼きのために! サミュエルは、魔王城とは反対側、内陸にかけて広がるサバンナを目指した。ワイバーンが使えたら移動も楽なのだが、仕方がないので飛行魔法で移動する。1時間も飛んでいると、密林地帯を抜けて、背の高い木がほとんどない草原地帯が見えてきた。


 少し高いところから地上を見落とすと、何もないように見える草原での動物たちの動きが手に取るようにわかる。集団で動き移動している何かを発見する。が、近づいてみると鳥ではなかった。この動物も食べられるのかもしれないが、やはり目玉焼きが食べたい。となると、哺乳類ではダメだ。再び上空に上がり地上を駆ける鳥を探す。


 再び地上を移動する黒い影が目に入ってくる。今度こそ、彼が目的としていた首と脚の長い飛ばない鳥だ。サミュエルはそれを追いかけると、後ろから2匹の体を抱きかかえるようにして捕まえた。捕獲成功である。生け捕りとなるとさすがに2匹が限界だ。サミュエルは満足げに鳥を抱きかかえ、魔王城へと帰路を急いだ。


「おお! これは本土では絶滅して久しい伝説の鳥エミュダチョンじゃん!? きっとめっちゃおいしー卵を産みますよ。グッジョブ、ミュくん!」

「ふっ、この程度造作もないことだ!」


(さあ、エミュダチョンよ! 俺のために旨い卵を産むがよい!)


 エミュダチョンは、城の裏手にあった魔獣の飼育小屋に連れていかれた。アンジェラによると、エミュダチョンはほとんど毎日のように卵を産むらしいので、そう遠くない未来に美味しい目玉焼きが食べられるだろう。


「ところで、ミュくん。非常に大事なお知らせがあります」


 アンジェラが珍しく真剣な顔で話しかけてきた。一体何だと言うのだろうか?

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