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デモンズキャッスルパークへようこそ!――謎の美少女にたこ焼きに釣られた魔王の孫のトンデモない街づくり  作者: いか墨ドルチェ


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第13話 お宝さがしスタート!

 あれからあっという間に1週間が経った。


 ガンテツによって魔王城と城下町の修復いや、改修が進み、ナオミがダークカラーの寝具やカーテンで部屋を彩る。あえて、食べ終わった動物の骨や枯れ木が町中に配されて、デモーニッシュな雰囲気を醸し出していた。


 サミュエルはというと、毎日のように違う卵料理を満喫していた。味付け卵、ハムエッグ、オムレツ、卵サンド、スクランブルエッグ、エッグベネディクト……。驚きなのは、卵料理の見た目があまりにも違うことだ。当然、味わいもまるで違う。


 最も驚いたのは、今朝出されたパンケーキである。


「今日は卵料理はないのか?」

「あるわよ、というかそのパンケーキに入っているのよ?」

「どこにだ? 姿かたちも見えないのだが?」

「うふふ、見えなくてもちゃんと入っているのよ。卵のコクとスポンジのふんわり感を満喫しながら味わってね、ミュくん」


 たった一つの食材をこうも多彩な料理に替えてしまうとは、人間の文化、おそるべしとしみじみと感じていた。


「生活が落ち着いてきたところで、提案があります!」


 アンジェラが魔王城の住人たちを集めて、何やら会議を始めだす。


「そろそろ本格的にお宝探しをしようと思います。反対の人は意見を述べてください」


 これも民主主義というやつか。反対意見を尊重するなど、魔族には到底できない芸当である。


 静かに時が流れる。人間たちは、信じられないことに誰一人として反対意見を述べなかった。


(おいおい、こいつら、本気で魔王の宝がこの島に隠されていると思っているのか? そんなもん、あるはずがないのに……)


 魔王の宝で一攫千金を信じているからこそ、便利な人間社会での生活を捨て、あえてこの辺鄙な島までやってきて、一から暮らしを築きあげているのだろうが……。


(残念ながら、宝はないぞ。たこ焼きやこのフワフワのパンケーキを超えるような宝なんてこの島には)


 サミュエルは朝食のパンケーキを頬張りながら、そんなことを考えていた。ないものを探すのは構わない。が、お宝がないと分かったときに、彼らがこの島を捨てて、サミュエルを捨てて、いなくなってしまうことが少し怖くなってきていた。それほどまでにサミュエルは人間の文化に心酔していた。


「では、満場一致でお宝探しをするということでよろしいですね? 賛成の方は拍手をお願いします」


 一同は希望に満ち満ちた表情で、力強く拍手をした。


(こいつら、本気だ……!)


「ありがとうございます。賛成多数ということで、こちらの議題は可決いたしました! では、どうやってお宝探しをするのがいいか、ご意見のある方は挙手をお願いします」


「おら、思うんだ。お宝は、どっかの洞窟に隠されているに間違いないだっぺ!」

「確かに! そうに違いないわ! 絶対に洞窟よ」

「ふむ、それもあるが、わしぢゃったら、どこか別の場所に塔を建てて、それを手下に守らせるのぉ」

「おれっちは辺りの密林を探索してるが、それらしい場所はみあたらんかったじゃけえ」

「わたくしが伝え聞く話では、この島には人間界を追われた亜人たちが住み着いていると。まずはこの島に詳しいであろう彼らを仲間に引き入れてみるのはどうでしょうか?」

「はいはい、わたしはなっちの案に賛成! 反対の人いる?」


(! こいつら、ついに人間以外の者を仲間にしようなどと言い出したぞ)


 最も、一番最初に仲間になったサミュエルも人間ではないのだが……。一応、表向きは魔族であることを伏せているので、彼は人間の扱いなのだ。


 人間とは、もっと排他的な生物なのだと、サミュエルは思っていた。人間以外の者を異物として排除する。だから、魔族のことは魔族というだけで嫌悪の対象とするし、善良な亜人も、人間の側では生活ができず、このような場所に逃げてこなければならなかったのだと、そう解釈をしていた。


 こいつらが特別なのか、それとも人間を誤って解釈していたのは魔族たちの側なのか。サミュエルはこの地でひっそりと暮らす亜人たちの平穏を乱すかもしれないことにためらいを覚えつつも、アンジェラたち人間が亜人たちとどのような関係性を築くのか、強い興味を抱いていた。


「よし! これも決まりね。じゃあ、亜人探索部隊を編成します。メンバーは、わたしとミュくんのほか、男女一名ずつでどうかな?」

「それでいいわ、じゃあ、誰が行くかは決闘で決めましょう!」

「望むところぢゃ!」


 こうして、公正な決闘――じゃんけんの末、捜索隊の残りのメンバーは、ハンターでもあるハムの次男ポムと、三兄弟の母にして海女のおかきさんに決定した。


 魔王城のあるこの島は、ざっと5つのエリアに分かれる。魔王城のある熱帯雨林が広がる東エリア、乾したサバンナの広がる中央エリア、北の温帯草原・森林エリアに、南の高山エリア、そして西の火山地帯である。サミュエルの知る限りでは、中央には獣人族がいくつか集落をつくっていて、北にはコボルトやオークが、高山にはドワーフたちが居住していたはずである。


「じゃあ、どこから行こうか? 何か意見のある人はいる?」

「せっかくだから、おいらは狩りもしたいだべ。となると、中央か北に行きたいだよ」

「ほな、北にいこか。北には川もあるやろ。うちも役に立てるやろうからなあ」

「ミュくん、何かご意見は!?」

「お、俺は、お前たちに任せる。それで構わない」

「よっし! じゃあ、北に向かってレッツゴー」


 4人は、ハム一家が密林で捕えたジャンボイーグルとワイバーンに乗って北へと向かった。


 城の裏手に広がっている密林は、どこまでも続いていた。サミュエルには何の変化もない景色がずっと続いているように思えていたが、ポムやおかきさんは、ジャンボイーグルに乗りながらも、一生懸命何か描いていた。後でわかったことなのだが、二人はこの辺りの地図を作ろうとしていたのだ。


 2時間近く飛んだだろうか、肌に感じる空気感とともに、上空から見える山の景色が少し変わったように感じる。この辺りは小高い山や森林も多いが、ところどころに平原が広がっているのがわかる。


 コボルトたちは確か深い森の中にある洞窟に住みついていた気がする。上空からみているだけでは発見するのは困難ではないか。


「あの森、怪しくねえだか? かなり多くの生き物が生活している気配がするだよ」


 マタギの勘なのか、左前方に見える森からポムはなにかを感じ取ったようだった。コボルトは正直なところ、相当弱い。魔力探知にもかからないような力しかもっていないため、遠く離れた上空からだと余計に確認しようがない。


「あの森に下りてみるべさ」

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