フラッシュ
本当を強く求める脳は
簡単な紙切れ一枚も通さなくて
破り捨てた誰かの記憶を
ただ呆然と眺めるけど
風はいつまでも冷たい
雨の匂いはどこまでも僕を隠す
滴る空に映った僕は
濁った瞳を真似ている
屑籠の中でうずくまるいつかと
心だけは寄り添って
捨ててしまえるなら楽だったと
またコピー用紙を整える
滲んだ記号でさえなにかを描くのに
僕は今も今日を吸い込むだけだ
なのにまだペンを置くこともできない
踏みつけたUSBメモリ
大いなる記憶媒体は三年程生きるらしい
夏に降り注ぐ蝉のように喚くこともできず
何一つ忘れることができないなんて
「そりゃ脆い」
ただそれ以外の道をしらないのだから
苦しくもなんともないのだろうが
拾い上げてなんとも言えない気分になった
だって中途半端に植え付けられた不平不満と
特有の理不尽さを愛さなければならない
これがきっと旨味なんだろうと煙を吸い込んで
くだらないことを悟った気になった
机に乗せられた透明の断面を視線でなぞる
被害者といえば彼だろう。
真っ直ぐに進み続けるはずの光さえ
こんなに簡単に曲げられてしまうのに
「何処へも行けない」
忠実に生きる事ができない僕は酷く理性的であると同時に、無謀だ。
だんだん言葉は僕から剥がれて行く
粉々になったまま輪郭を失って行く
やがて袋詰めになったいつかを縛り上げて
さようならと燃やしたのが
どうして僕自身じゃなかったんだろうと
また真白になった手元に目を向けた
「ブラック」




