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風へ
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風を待っている
ただ風がこの霧を払うのを
傍観している 待っている
貴方はもう何処にもいない
許せないのなら二度と届かない
当たり前と受け入れられないのは
ただ見ている貴方だけ
風を待っている
貴方だけ
風は吹いている
吹き続けている
強くも弱くもなく
ただ全てに流れ続けている
結局何処にも逃げられないのさ
何処かで帳尻があうのさ
それまでゆらりと浮かばされ
その先に救いはないかもしれない
二度と嬉しいと思えないかもしれない
枯れるまで それが生
何処へ行っても君の命
私はまだ風の中
風を待っている
貴方を待っている
カラカラと擦れる葉音に心を溶かして
無意味と謳う声を掻き消して
どうしようもないのなら
どうしても一緒
風を吸い込んで
くるくる回って
カランと落ちた
痛いほど美しい
そう、途方もない青を隠す
風を待っている
私を待っている
永続的な葛藤
即ち犬の尻尾を追うこと
分かっているつもりになっている
独りよがりな退屈