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遺書日誌  作者: あやと
30/218

一服

ー

ー

ー 生傷を優しくなぞるような煙

ー それは私の体に絡みついて


「貴方はここに」


ー なんてことだ。

ー 私も彼に口づけをして、


「そうね」


ー 確かめ合いながら

ー 少しずつ、互いを殺していくの


もう十分に壊れた自分を

評価しようとも思わない

希望も絶望もない今

腐っていくだけなら

僕はどうしたらいいんだろう

全てやめてしまおうか

何かを始めてみようか

正しさとは何か

それは誰のための何か


褒められたものでない思想を守って

執着心を捨てる事に依存して

創り上げられた僕は恵まれていたけど

本心には自分勝手な感情だけ残った


ー 貴方の中にはね

ー たくさんの命が詰まってるんだよ


「恥ずかしい」

「分かってる」


ー 私が殺したの

ー 何を今更

ー 「言いたくなったんだ」


君は知らないだろう

僕が今にも叫び出しそうなことを

君は知らないだろう

風化してゆく思い出を掻き抱いて

今も君を鮮明に描こうとしていることを

君は知らないだろう

描かれるそれは何よりも綺麗で偽物であると

君は知りえないさ

それがいい

僕らは他人だから



ー 壁に押し付けられた灰は

ー 酷く官能的だ。だけど

ー そのうち輪郭を置いて、崩れ落ちる


「私も」

「ああ、また」


ー だけど、本当は

ー 何一つ消えてしまうものなんてない

ー 「そうね」


けむたいよ

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