表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界服屋さん・ファンタジーの服の名前・服装用語  作者: 城壁ミラノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

ざっくり 時代別 和服 早見表

ここでは古代中世日本で着られていた服類を出現した年代別に紹介しています。

ざっくり紹介ですので、ざっくり知りたい書きたい時、詳細な資料を検索したい時の手がかりにどうぞ。


古代 縄文時代〜平安時代初期

中世 平安時代中期(十二単や狩衣など日本独自の服装になってから)〜大正時代まで紹介しています。


◆縄文時代

編布(あんぎん)(麻などの植物の繊維を編んで作った服。近代まで着られる) 

皮の服(動物の皮から作った服)

女性は貫頭衣(かんとうい)(頭から被って着るワンピースのような服) 男性は巻布衣(かんぷい)(体に巻きつけて着る服) 縄目模様(なわめもんよう)という独特の模様があったりする。

(はかま)(見た目はズボンに近い)

腰布

帯 紐 縄

毛皮(近代まで着られている)

(みの)(雨具、防寒)

皮沓(かわぐつ)

服類を作る方法、道具 手編み、機織り機、針、糸。

染色 草花、貝殻などから染料を作る

頬にも染料をつけたりする

装身具 貝殻、石、動物の骨や牙の首飾り、耳飾り、腕輪、足輪、勾玉、(くし)(かんざし)(魔除けになるという)。


ファンタジーでは独自の暮らしをする謎の一族などが着ている。



◆弥生時代

貫頭衣 巻布衣、男性は横幅衣(おうふくい)(セーターを肩にかけて袖を結んだようなもの)を裸の上半身に着たりする。

太布(たふ)(布の服。植物や木の繊維からできた織物の総称)

()(腰に巻くスカート、紐留め)

足結(あゆい)(袴の膝を紐で結ぶ。装飾的、仕事のときなどにする) 手結(たゆい)(袖の手首辺りを紐で結ぶ。理由は足結と同じ)

帯 紐 染めたりして装飾的で派手になっていく。倭文布(しずぬの)という織物。

手甲 篭手(こて) 脛巾(はばき)(外出用、鎧の装備、もっと昔からあるかも)

皮沓 田下駄(たげた)(畑仕事で履く。仕事用の下駄は種類が増えていく)

装身具 指輪

鎧 木製 戦闘用、儀式用 

(かいこ)(絹)が大陸から来る。地位の高い者は絹生地を着るようになる。服を(きぬ)または(ころも)と呼ぶようになる。


●有名な人物 卑弥呼

ファンタジーでは地位の高い女性(卑弥呼のような巫女)が衣に赤い裳の姿なのを見かける。草冠などしている。


※渡来品の行方 外国から伝来した物はほとんどの場合、貴族などの支配者の手に渡り管理され流通するため渡来品は最初上流階級の物であり高価になる。日本産が作られるようになると流通量が増え庶民も手に入るようになる。港に住む人や渡来人と交流した人は渡来品を直接手に入れることもある。



◆古墳時代

貫頭衣、巻布衣、衣、衣裳(きぬも)(貴族女性の服)、衣袴(きぬばかま)(貴族男性の服)

比礼(ひれ)(領巾とも書く。ショールのような長い衣。貴族が羽織る。舞う時にも着用する)

手結 足結

袈裟(けさ)(僧侶の服。仏教が伝来する)

帯 紐

(ふんどし)

下駄(貴族や神職が履く木沓(きぐつ)木履(ぼくり))

(かさ)(帽子)

装身具 金が大陸から来る。金糸(きんし) 金箔(きんぱく)挿頭花(かざし)(頭に差して飾る草花。もっと昔からあるかもしれない)

鎧 大陸から来る。鉄製、金属製、革製

服装を見た感じは弥生時代とあまり変わらない。

神話の神が衣裳や衣袴を着ている。

●有名な物 

埴輪(はにわ) 当時の服装を知ることができる。

◆ヒヒイロカネ(緋緋色金、日緋色金) 伝説の金属または合金。剣や装身具に使われたという。現代ではアマテラス石という鉱石が翡翠の中から発見されており、貴重さと赤い見た目からヒヒイロカネではないかと考察されている。

比礼(ひれ) 振ると魔や厄を払えるという。日本神話の女神の比礼にはそれぞれ違う様々な効果がある。



◆飛鳥時代

貫頭衣、巻布衣、衣裳、衣袴

装飾品 真珠 (かんむり) 石帯(せきたい)(装飾した帯) 鼈甲(べっこう)(亀の甲羅から作る(くし)(かんざし))が大陸から来る。

皮の加工技術が大陸から来る。(皮は加工前の字、革は加工後の字、皮革(ひかく)は総称)

朝廷の貴族は朝服(ちょうふく)という服装をするようになる。

日本っぽさが無いのでファンタジーではあまり見かけない。

●服に関わる人物 聖徳太子 冠位十二階(かんいじゅうにかい)という役人の階級を冠の色で示す制度(当色(とうしき))を作る。平安時代まで続く身分を服の色で示す制度の始まり。



◆奈良時代

朝廷によって衣服令(えぶくりょう)(貴族や庶民の服装の規定。身分や階級によって着ていい服の色、模様など)が定められる。反発して好きに派手な服装をする婆娑羅(ばさら)なる者が出てくる。

貫頭衣から前合わせの服になっていく。和服の右前合わせもここから。

綿(めん)の種が外国から来る(栽培してみたが育たずに終わる。輸入品を着る) 養蚕(ようさん)(絹)の生産が始まる。

装身具 首飾り耳飾り腕輪など身につけなくなる(高価で貴重な物として価値はあるので、つけないだけで持っていたり贈り物にしたり金銭のように取引に使われたりはする)貴族は帯を装飾したり髪飾りをつけたりしている。

匂い袋 服をいい匂いにする、防虫効果がある。

草鞋(わらじ)が大陸から来る(ワラグツと呼ばれ普通の靴のような形状、平安時代に現在の形状になる)


服装を見た感じは飛鳥時代とあまり変わらない

ファンタジーでもあまり見かけない

●有名な人物 羽衣伝説の天女 浦島太郎



◆平安時代

中期から日本独自の服装になっていく

衣(絹、帷子(かたびら)単衣(ひとえ)など服の材質や作りで種類分けして呼ぶようになる。衣の(きぬ)呼びは歌を読むときや創作物に使われ、(ころも)呼びは僧侶の服に使われるようになる) 小袖(こそで)(庶民の服、貴族の下着) 大袖(おおそで)または広袖(ひろそで)(貴族の服) (ほう) (うちき) 紙衣(かみこ)

袴 裳 

腰布(女性の腰エプロン。湯文字という下着もでてくる)

しとうず(貴族の靴下)

浅沓(あさぐつ) 深沓(ふかぐつ) 草履(ぞうり)(草鞋を改良してできた)

染め物、織り物文化が発展していく。

染色 緑色ができる。

装身具 平安時代以降は鎧や刀など装飾していく。 

匂い袋 薫物たきもの移香(うつりが)(香木(こうぼく)という木材で服をいい匂いにする。貴族は自分で香料を調合して自分だけの香りを作ったりもした)

鎧 大鎧 胴丸 腹巻 機能性重視になっていく。


●服に関わる出来事 遣唐使廃止。大陸への渡航が終わるとともに朝服を着ることもなくなり日本独自の服装になっていく。

●有名な服 火鼠(ひねずみ)皮衣(かわごろも)

かぐや姫に出てくる衣。火の中に入れても燃えないという。石綿(いしわた)という実在する繊維からできた衣と考察されている。




◆鎌倉時代

小袖(庶民の服だったが、武家が着るようになり、下着、間着、表着と枝分かれして現代の着物になっていく) 直垂(ひだたれ)(武家男性の服)

大袖(武家が権力を持ち貴族の権力が衰えはじめ衣服令が機能しなくなっていき服装規定が曖昧になっていく。裳袴(もばかま)(貴族に使える女性のスカート)など短期間着られてすぐ消える服などがある。平安時代辺りまで庶民男性も着ていた水干、狩衣は武家の正装になったため庶民男性は小袖しか着なくなる)

袴 裳

腰布 

(ふんどし)(種類が増えていく)

足袋 脛巾(はばき)

草鞋 草履 下駄 沓



◆室町時代

小袖 打ち掛け(武家の女性が着るようになる) 直垂 大袖

袴 裳

腰布 

足袋 脛巾

草鞋 草履 下駄 沓

笠 和傘(開閉式がこの辺りから)



◆安土桃山時代(戦国時代)

小袖 打ち掛け 直垂 肩衣(かたぎぬ) 大袖 

綿(日本産の流通が始まる。まだ高級品。江戸時代に庶民も着るようになる)

腰布 褌

足袋 脛巾

草鞋 草履 下駄 

鎧 当世具足 陣羽織 

奇抜で派手な服装をする傾奇者(かぶきもの)なる者が出てくる。

南蛮から服や鎧が来る。

●南蛮から来た服 アレンジした和服

マント

合羽(かっぱ)

襦袢(じゅばん)(小袖のような下着、間着)

軽衫(かるさん)(細めの袴)

胴鎧 金属板でできた鎧

メリヤス(靴下)

ブーツ(革靴)

ボタン

ひだ襟

帽子

ハンカチ



◆江戸時代

小袖 振り袖 打ち掛け (かみしも) 大袖 浴衣 羽織り 着流し 紋付袴(無紋は羽織袴)

袴 

襦袢(じゅばん) 褌

帯(幅が広くなる)

足袋 脚絆(きゃはん)

草鞋 草履 雪駄 下駄 沓 皮沓 

装身具 簪、櫛、帯留 金山から金の流通が盛んになるが装身具にはほとんど使われない。

現代の主流である和服が確立する。

幕府により奢侈禁止令(しゃしきんしれい)倹約令(けんやくれい)が定められる。贅沢な服装をしないように、身分、職業、男女によって着る服の材質、色、模様など制限される。

雛形(ひながた)というファッション雑誌のようなものがある。



◆幕末

開国して洋服が伝来する。外国人と開国派くらいしか着ていない。開国反対派がいるので洋服を着ていると危険でもある。

軍服(鎧に代わる戦闘服として着られるようになる) 

隊服(新選組が有名。組織の制服、揃いの服装)

洋服の穿きものを洋袴(ようばかま)からズボンと呼ぶようになる。


●洋服の漢字 当て字

外套(がいとう) コート

上着(うわぎ) ジャケット

背広(せびろ) スーツ

胴着(どうぎ) 直着(ちょくぎ) ベスト、チョッキ

襯衣(しんい) ワイシャツ、シャツ

洋袴(ようばかま) ズボン、スカート

帽子(ぼうし) ハット

(つえ) ステッキ



◆明治時代

文明開化が起こり洋服を着るようになる。庶民はほとんど和服。上流階級、外国帰りの人や貿易関係者や親族が稀に洋服。警察官、郵便局員、教師など公務員、国営職員が洋服を着るようになる。医者も洋服に白衣、看護婦も白衣を着るようになる(ナース服という) 

メイド服は不明、カフェの女給が着物にエプロンをつけるようになる。執事は平安時代からいる。

装身具 結婚指輪

●上流階級の洋服 燕尾服 バッスルドレス


◆大正時代

和服、洋服、和服と洋服を混ぜた和洋折衷(わようせっちゅう)の三つに分かれる。男性が仕事で背広(せびろ)(スーツ)を着るようになり帽子(ハット)を被り(ステッキ)を持つのが流行している。私服は和服が多い。女性は和服がほとんど。若い女性に洋服や帽子が流行したりする。子供服も和服がほとんど、エプロンをつけるのが流行している。


高襟(ハイカラー)

明治から大正時代、西洋に旅行、留学帰りの高官や政治家や西洋文化を好んだ人が着ていた襟シャツ。


●大正時代の女学生

着物 矢絣(やがすり)の小袖が有名 ワンピース

袴 海老茶、紫が有名

襦袢、シュミーズ

足袋、靴下、ストッキング

靴、ブーツ、草履、下駄

装身具 リボン

和服に西洋文化を取り入れた和洋折衷の服装、流行を取り入れたオシャレな女学生をハイカラ、ハイカラさん、という。


●明治大正 学生服 学ラン

詰襟(つめえり)

シャツ

ズボン

足袋、靴下、裸足

靴、草履、下駄

留め具はボタン、ベルト、詰襟部分はホック

マントを着用していることもある。

学生帽

学ランは裕福な学生しか着れない。お下がりをもらうこともある。和服の学生が多く学生帽だけ被ることもある。


書生(しょせい)(他家に寄宿して勉学に励む若者)

小袖とスタンドカラーシャツが有名。

足袋、靴下、裸足

下駄、草履、ブーツ

羽織、マント


●明治大正 軍服

ジャケット

ホワイトシャツ

ズボン、軍袴(ぐんばかま)

靴下、軍足袋(ぐんたび)

靴、ブーツ

留め具はボタン、ベルト

マントを着ることもある。

ゲートル(脚絆)をつけることもある。



◆民族衣装

●アイヌの服(アイヌ語で服はアミプ) 北海道で暮らすアイヌ民族が着る服。独特の模様がある。

琉装(りゅうそう)(沖縄の方言でウチナースガイ) 沖縄の琉球王国で着る服。



※服の名前は住む地域で呼び方が違うことがある。

時代を通して庶民の服装は支配者の影響で変わる。

暑い土地と寒い土地で違う(半袖長袖、暑い土地は風通しの良い服、寒い土地は重ね着など)

衣替えもある。中世の貴族、武家は衣替えの日が決まっている。



◆子供服

古代は不明。

中世 赤ちゃんの服は襁褓(むつき)といい布や小袖で包む、お(くる)み、おむつ(おしめ)がある。

子供服は小袖。成長するたび仕立て直さなくていいように大きめのを着る。

貴族、武家は袴着(はかまぎ)の儀と帯解(おびとき)の儀がある(七五三)

成人式 元服 12〜17歳で大人と同じ服装をする。

成人になる年齢は家の事情や体の成長によって違う。



◆和服を作る人

服作りは主に女性の仕事だった。植物の繊維や(かいこ)(まゆ)から糸作り、機織り、裁縫、仕立て、染色、(つくろ)い(服の修繕)など。

男性は服作りのための材料を生産したり集めたり出来上がった生地や服を売りに行ったりする。朝廷に仕えたり店を出したりして専門職になったりもする。


●針仕事

服を作ること、裁縫。


御針屋(おはりや)

裁縫を教える教室。


針子(はりこ)

針仕事をする女性のこと。働く場所は呉服屋から個人宅まで色々。


御物師(おものし) 物縫(ものぬい)

貴族の家で針仕事をする女性。


針妙(しんみょう)

武家の家、寺などで針仕事をする女性。


●お(はり)

遊郭で針仕事をする女性。


縫師(ぬいし)

裁縫、刺繍の専門職。


織師(おりし)

機織りの専門職。織物師、織物職人。


染師(そめし)

染色の専門職。染物師、染物職人。


笠売(かさう)

笠を作って売る人。


●わらじ売り

草鞋を作って売る人。草鞋は旅のときに履くので旅館や峠の茶屋なんかでも売っているらしい。



◆和服に関わる場所


衣縫部(きぬぬいべ)

飛鳥時代辺り朝廷で服の管理作る役所。


縫殿寮(ぬいどのりょう)

奈良時代から平安時代朝廷の服を管理作る役所。


織部司(おりべし)

奈良時代辺り朝廷で服を作る材料を用意する役所。平安時代には縫殿寮と合併した。

平安後期に都に呉服問屋(ごふくとんや)を開き織物染物文化が国中に広まっていく。


糸所(いとどころ)

平安時代朝廷の服を作るための糸を作る役所。


糸割符(いとわっぷ) 

江戸時代にできた糸の流通を管理する組織。


縫司(ぬいのつかさ)

平安時代辺り後宮十二司(こうきゅうじゅうにし)という女官組織で裁縫を担当する役所。


呉服之間(ごふくのま)

江戸大奥で将軍や御台所の服を作る役所。


呉服所(ごふくじょ)

貴族や武家に仕入れをする呉服屋。

江戸時代の越後屋が有名。


呉服屋(ごふくや) 太物屋(ふとものや)

呉服屋は絹製の反物(たんもの)(和服の生地)を売る店。太物屋は布製の反物を売る店。反物の他に帯や小物を売ることもある。

仕立てを請け負う店もある。


●染物屋

生地を染める店。


●古着屋

着なくなった和服を買い取り売る店。

中世は服が貴重なため布切れでも買い取り着物に仕立て直して売る店もあった。


損料屋(そんりょうや)

江戸時代のレンタルショップ。普段着から結婚衣装から褌まで貸してくれるらしい。衣服の他に生活用品も貸し出していた。


小間物屋(こまものや)

日用品を売る店。簪、櫛、ハサミ、裁縫道具箱など売っている。


荒物屋(あらものや)

雑貨屋。日用品、炊事道具、旅行用品など売っている。


針屋(はりや)

針を売る店。針職人もいる。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


ここからは紹介した服類についての補足と考察です。


古代と中世に着られていた服は麻の服(編布)、布の服(太布)、綿の服、絹の服の大きく四つに分けられますかね。

太布は通気性がよくなかったそうで通気性のいい綿が安土桃山時代に流通すると着られなくなっていったそうです。


衣服令がある時代は服装描写を忠実にしようとすると大変ですね。昔話なんかでは服装を見ただけで高貴な身分のお方とわかったりしていて便利な要素もあります。服装描写は白い衣に朱い帯とか、あまり詳細に書かずぼかしても古代や中世の謎な雰囲気が出ていいかもしれないとも思います。


江戸時代の奢侈禁止令も詳細がよくわからないです。歌舞伎役者や遊女の服装が流行したりしたそうで流行しすぎると禁止されたりもしたそうです。私の好きな衣被(きぬかずき)(小袖を頭から被るやつ)は大名暗殺未遂に使用されたので被るのが禁止されたそうです。それで現代に衣被がないんですね、残念です。

沢山禁止されていますが、帯の結び方は自由だったのか色々できています。小袖の袖の種類もでてきます。

生地も庶民は禁止されている絹に見えない絹、(つむぎ)を着たり、お構いなしの色といわれる使える色の茶色と灰色から四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)なる色々な色を開発したり、模様は遠目からは無地に見える江戸小紋を着たりと工夫してファッションを楽しんでいたようです。

服は規制されると自由を求めて婆娑羅が出てきていますね。

令に従っていた人も上等な着物を持っていて役人の見回りのときに隠してやり過ごしたりしていたそうです。



古代中世の服の扱いについてです。


●庶民 服は貴重な時代ですので一枚着て下着は下半身だけの人が多いようです。

服は自分達で着るより材料栽培、裁縫、機織り、染色と作る過程を仕事にしてお金にするものだったようですね。

服の入手法は手作り、物々交換、借りる、古着屋、市場で購入で呉服屋から買えるのは裕福な人です。

洗濯は川か井戸端で洗います。井戸洗いは平安時代からあるようですが井戸が普及したのは江戸時代からです。井戸を掘るのは大変なので庭にあるのは城、寺、裕福な家庭で庶民は共同井戸を使っていました。

武家や商家など仕事先で洗濯することもあります。


●貴族 階級ごとに決められた服の生地が朝廷から支給されていたそうです。(貴族に仕える人にも支給されたそうです) 贈り物で貰ったり、借りたりもします。

生地を服に仕立てるのは妻の仕事で人を雇ったりもします。余裕がある貴族は織物染物職人を雇い生地を作らせたそうです。

洗濯についてはわかりません。衣服令辺りから服の色を重視していたので色落ちを気にして洗濯しなかったかもしれませんね。着古したのは下の者にあげていたそうです。お古ですね。洗ってない服なんていらないですと思うかもしれませんが、庶民には手に入らない絹生地だったりするので洗濯して有り難く着たり売ったりしていたそうです。

貴族の服はとても価値があるので着ている服をその場で脱いで褒賞として贈ったりもしていたそうです。

賊に襲われて剥ぎ取られることもありました。追い剥ぎですね。丸裸にされた貴族は身分を示せるものがなくなり、庶民に事情を話して助けを求めても貴族と信じてもらえず困るみたいな話もあった気がします。

天女の羽衣伝説も羽衣を失くして困っていますね、かぐや姫の月へ帰るための衣なども貴族にとって服が重要アイテムだったことが物語に反映されてるのかなと思ったりします。

貴族は高価な服を着るのもですが重ねの色目のような服の着こなしが身分を表したりモテ要素になったりして、平安時代は特にファッションセンスが重視されているので服についての勉強が大変そうですね。

平安貴族の服装あれこれは現代まで衣紋道(えもんどう)として受け継がれています。平安時代の服を詳細に知りたい書きたい方は衣紋道を調べていただくのがよいかと思います。


●武家 貴族に一目置かれるのが大事なので上等の服を着ています。庶民との違いを見せる必要もあります。戦うために動きやすい機能的な服も着ます。鎧も自分の分と家来の分を用意します。着るものにはかなりお金がかかりそうですね。

奥方や姫も着るものを気にしていて夫や父親に催促していたようです。貧乏武家のお姫様が打ち掛けの裾が擦り切れてて恥ずかしいと父親に訴えたという再現ドラマを昔テレビで見た記憶があります。お姫様でも服はなかなか買い替えられないようです。

大奥の女性達は豪華な打ち掛けを着ていますね。贅沢しすぎて幕府の財政を圧迫したりもしています。



服の色についてです。

古代は色の種類が赤、青、白、黒の四つに分けられていたそうです。

色の名前を調べた限り紹介しておきます。


◆赤系

(しゅ)または、あけ、あか 辰砂(しんしゃ)という鉱石から作る色のことで縄文時代からあるそうです。日本には辰砂鉱山が古代からあり邪馬台国の卑弥呼も鉱山をもっていたらしいです。朱い服も沢山もっていたことでしょう。

赤漆(あかうるし) 縄文時代からあるようです。櫛や鎧の塗料になっています。

(あかね) 茜という植物から作る色です。弥生時代からあるそうです。茜染めといい種類があり濃いのが緋色です。日本産の茜は高価で別の染料と混ぜて作る緋色もあります。

●紅 べに、くれない。紅花(べにばな)から作る色です。飛鳥時代辺りに伝来して口紅などの化粧に使われていますが服の染料にもなります。

●赤は古代から火の色として使われています。服の色を赤と呼びだしたのは染料の(あけ)を、あかと呼び出したのが始まりで平安時代からだそうです。


◆青系

藍色(あいいろ) 奈良時代に伝来した染め色です。藍染めといわれています。縹色(はなだいろ)ともいわれます。

山藍(やまあい) 植物から作った色です。山藍の葉を服の生地に叩きつけて模様をつける叩き染めというのもあります。青摺(あおずり)ともいい巫女の羽織り千早の模様もこれです。


藍染めが伝来するまで青色とは緑色のことを指していました。古代の青と緑の区別は難しいです。青緑色(あおみどりいろ)の服とか書くのがいいかもしれませんね。


◆白系

●絹、漂白した麻布があります。生地を洗って天日に晒して漂白します。晒すが漂白の意味でした。

●洗濯のときに灰汁(あく)や米の研ぎ汁や植物のサイカチやムクロジなどを洗剤にして汚れを落としていました。

白はこれくらいです。

ちなみに白粉(おしろい)は飛鳥時代からあるそうです。


◆黒色系

黒曜石(こくようせき) 縄文時代からありますが服には使われていません。装身具に使われています。

(すみ) これも縄文時代からありますが服染めに使われているかは不明です。

(うるし) こちらも縄文時代からあり靴や帽子や鎧などの染めと加工に幅広く使われています。

涅色(くりいろ) 泥で染めた黒色です。泥染めともいいます。

(すみ) 飛鳥時代に仏教とともに日本にきました。平安時代は墨で服を黒にしていました。現代では服につくと困る色ですね。

●黒 飛鳥時代に黒色ができました。語源は「暗い」で「明るい」の対義語だそうです。黒が広まると貴族の間で黒が高貴な色になっていき染料も増えていきます。

黒橡(くろつるばみ) 檳榔子(びんろうじ) 楊梅(やまもも) 植物から作る黒色です。服の染めに使われています。植物から作る黒には鉄媒染(てつばいせん)という技法が使われており鉄媒染は古墳時代から飛鳥時代辺り仏教と共に伝来したそうです。

烏色(からすいろ) カラスの羽の色が古代から黒系の美しい色とされてきました。紫烏色(しういろ)が紫がかった黒。烏羽色(からすばいろ)が青みがかった黒などです。

古代の黒色系の服は「暗い色の服」と表現すれば間違いなさそうですね。


古代中世の服の色は染めた植物の名前で呼ばれていたりして結構種類がありますね。白は二百色あんねんみたいな感じで同じような色でも原料が違い、身分や場合で使い分けされていて覚えたり書いたりするのは大変です。

平安時代は特に日本独自に自然や草花に例えて種類分けしていますね。紅梅(こうばい)色とか浅葱(あさぎ)色とかですね。

身分で使える色が決まっているので庶民は染めないのが無難ですね。染料は貴重なので売ったり染物職人になったりして成り上がるほうがよいでしょう。

平安時代後期から都に呉服屋ができて衣服令が機能しなくなる鎌倉時代くらいから庶民の服も色や模様がつくようです。

室町時代から安土桃山時代には辻が花という染め技法があり綺麗な花模様があったようです。ちなみに花模様は平安時代からあります。

戦国時代はファッションどころではないので庶民の服は目立たないですが武家女性の打ち掛けや(のう)を舞うときに着る服は縫箔(ぬいはく)という金箔と刺繍の合せ技で作り金色が目立つ豪華なものがあります。後は鎧の色を目立たせるくらいですかね。

江戸時代を舞台にした小説なんかに藍色がよく出てくるのは奢侈禁止令で庶民が許された色が藍色、灰色、茶色だったからでしょうか。藍色は染めやすくて紺屋という染め物屋が禁止令前から沢山あったそうです。鼠色や茶色は四十八茶百鼠で色んな色になったので出てこないのですかね。


個人的に気になった巫女服についても書いておきます。

古代は衣に裳で倭文布の帯や朱い(たすき)をしています。後は勾玉などの装身具です。巫女の地位が高かったので上質な生地でできた装束を着ていたことでしょう。

中世では男権社会になり巫女は補佐的な立場になります。陰陽師が活躍しだしてから目立たなくなってますね。この辺りから巫女は神社巫女と朝廷巫女と民間巫女の三種類に分かれたようです。

●神社巫女 神社に仕える巫女です。神社規定の装束を着ます。

●朝廷巫女 朝廷に仕える巫女です。装束も上質でしょう。神社と朝廷の巫女装束には正装(祭事のときに着る装束)、常服(普段の装束)、神楽舞の装束があります。

●民間巫女 神社に仕えず個人宅にいる巫女です。古代の巫女のような立場で、占い、口寄せ、祈祷、神楽舞などをします。巫女装束も個人の自由です。卑弥呼っぽい衣に草冠や鉢巻をした白装束が多い気がします。

放浪する巫女もいます。仕える神社を失くした巫女や個人巫女のようで服装も様々でしょう。動きやすい旅装束か巫女とわかる装束だったかもしれないですね。安土桃山時代にも歩き巫女が出てきます。こちらは神道を広めるためとか、武将に仕えるくノ一とかいて服装は派手な感じです。

平安時代には白衣に緋袴という巫女装束の原型ができていますが、その後も神社ごとに服装は違いまして、古代中世の巫女に服装規定はありません。明治時代になると白衣に緋袴の巫女装束に統一されています。


陰陽師の服も簡単に書いておきます。

飛鳥時代に陰陽道が伝来してから陰陽師がいますが、この頃の服装は不明です。

平安時代辺りから朝廷陰陽師と民間陰陽師がいたそうです。

束帯(そくたい) 衣冠(いかん) 朝廷に仕える上級陰陽師(安倍晴明レベル)の仕事着です。朝廷に呼ばれたとき正式な儀式をするときの装束です。

狩衣(かりぎぬ) 普段着、仕事着です。自分の屋敷、貴族の屋敷に呼ばれたときなども狩衣で仕事をするようです。どこにでも狩衣で現れて異彩を放つのもいいかもしれません。

浄衣(白装束)を着ることもありますがどんな時か不明です。

直衣も着ますがファンタジーではほとんど狩衣を着ていて出てこないですね。いつ着るかも不明ですし。

どれで書けばいいか決められない時は陰陽師の装束と書けば間違いありません。装束には制服の意味があります。


神主の服装についても簡単に。

古代は衣に袴で帯と装身具をつけます。

平安時代辺りから白衣に袴になります。階級によって袴の色が変わります。正装、斎服、常服、浄衣があり神社によって違いがあります。


神聖な服の次は囚人服についてです。

古代はわかりません。服が貴重な時代なので着替えさせないかもしれませんね。

平安時代は黒を着せていたそうですが詳細は不明です。身分の高い人だけが着替えていたかもしれません。流刑などになる貴族は流刑先に着替えを用意してくれる環境があればよいでしょうが、なければボロを纏うことになるようです。

古代中世の囚人服は「粗末(そまつ)な」と表現すれば間違いないでしょう。

江戸時代には男女別に囚人服がありました。明治時代に現在のような囚人服ができます。


中世ヨーロッパファンタジーでは転移先で捕らえられて城に連行されたりすることがありますね。

中世日本ファンタジーでは転移先でどうなるか考察してみたいと思います。

まず注目されるのが現代の服装です。

見たことのない格好が怪しまれ捕まる原因になります。


●古代に転移した場合 誰に捕らえるかは不明ですが得体のしれない者として支配者の元へ連行され巫女の占い待ちになるのが結構定番の展開ですね。

占い結果で罪人かそれ以外か、得体の知れない者の出現の吉凶を判定され、その後のストーリーに影響しそうです。


●衣服令の時代 現代の服だと男性は婆娑羅者と思われるかもしれません。女性だと放浪巫女でしょうか。


●平安時代 京の都に転移した場合、捕まえに来るのは武官かと思いきや、町中の罪人の捕縛は検非違使(けびいし)という警察のような役人達の中の火長(かちょう)という下級役人の仕事なのでいきなり貴族に会うのは難しいかもしれません。騒動でも起こすか貴族の家や朝廷の中に転移したら武官か武士に捕らえられるでしょうか。検非違使には平清盛や源義経もいたりしますが上の地位なので現場にいるかはわかりません。

連行先は京の都には刑務所があるのでそこでしょう。

罪人になってしまうと穢れを気にする貴族には会うのが難しくなるかもしれませんが、珍しい服装をしていると聞いたら物珍しがって会いたがるかもしれません。

陰陽師も得体の知れない者の出現の吉凶を占うために出てくるかもしれませんね。


●鎌倉時代〜戦国時代 京の都では鎌倉時代まで検非違使がいました。それ以降は武家の侍所(さむらいどころ)が警察の役をしているようですが明確に誰が捕らえるのかは不明です。

武家社会になってからでしたら庶民に捕らえられても物珍しいから殿様に見せようみたいな感じで武家の家に連行されて武将に会える展開がありますね。

戦国時代だと派手な服で転移すると男性は傾奇者と間違われるかもしれません。女性は歩き巫女でしょうか。


●江戸時代 岡っ引きに捕まるでしょう。刑務所があるのでそこに連行され奉行所で色々尋問されるでしょう。役人から奇っ怪な服装をしていると聞いた殿様が会ってくれるかもしれませんね。


●開国したばかりの幕末 洋服を着ているだけで開国反対派に襲われて即BAD ENDになるかもしれません。開国派に出会ったら仲良くなれるでしょうか。


●役人に捕まらず庶民に捕まった場合 悪人なら服を剥がして持って行くかもしれませんし、見世物にされて連れ回されるかもしれません。良い人なら家に住まわせてくれるかもしれませんし、珍しい者がいると噂になって貴族や武家が会いたがる展開になりそうですね。

なんにしても一人で転移すると危険ですね。せめて綺麗な服を着ているときに転移して高貴な方?と思われる展開になってほしいものです。



ここからは紹介した服についての追記、感想です。


鎧についてですが、弥生時代以降に短甲(たんこう)挂甲(けいこう)など種類が色々出てくるのですが、どの鎧をどの名前で呼ぶか専門家が議論中で決まっていないようなので紹介は控えました。


古墳時代の手結足結は絹の服を着るときにしていたんじゃないかと思います。古代の麻や布の服は硬めだったので手結足結は必要なかったけれど絹の柔らかい服を着ると必要だったんじゃないでしょうか。神話の絵など見ると、手結足結している服はゆるゆるな感じですから、ずり落ちたり纏わりついたり防止に縛っていたんじゃないでしょうか。

手結足結と絹の出現した時代が同じなのでそんな考察をしてみました。


何々時代と何々時代の服に違いが無いというのは私が見た印象です。


靴についてですが古代は基本裸足だったようです。怪我しそうな場所に行くとき寒いときに皮靴や植物の編み靴を履いたとか。後は仕事用の下駄ですね。もし古代に転移するなら靴を履いて行きたいですね。


室町時代辺りから貴族女性の裳がどうなったのかよくわからなくなっています。貴族が表舞台にあまり現れなくなりましたので。


奈良時代に種が来た綿は一度は栽培失敗しましたが栽培に適した場所をずっと探していたそうです。やっと栽培が成功して安土桃山時代に流通しだしたのを知ったときは感動と感謝の念を抱きました。


針仕事は中世ヨーロッパの女性と同じく日本の女性にも重要なものだったようです。裁縫の上手さが結婚相手探しに関わったりと近代まで「あの人は裁縫も上手で良いお嫁さんになるわよ〜」などとアピールポイントになっていたのを記憶しています。

店主の祖母も若い頃(大正後期から昭和初期くらい)寮付きの洋裁学校にいたそうで先生に引き抜かれて助手として先生の家に住んでいたこともあるそうです。先生は大金持ちの娘さんで離れに教室があり生徒もお嬢様ばかりだったそうです(裁縫道具を女中さんに持たせてやって来るお嬢様の指は針と糸しか持ったことがなさそうにとても細かったそうです)


江戸時代は古着屋と損料屋があれるので転移しても服に困らず済みそうですね。


古代中世の区切りについてです。

はっきり決まっていないようなので、平安時代の前期までを古代、中期からを中世とする平安時代中古という形で紹介しました。

平安時代中期の貴族の服装や服装文化が中世以降の武家に受け継がれていて、平安中期の貴族と中世武家をまとめて紹介することが多いので平安時代を中古にするのが都合がよいと気づいたためです。

ファンタジーとしてはどうなのでしょう。平安時代も中世に入っていたほうが中世日本ファンタジー枠にできていいのでしょうか。古代日本ファンタジーでいいでしょうか。私はどちらでもいいです。


まとめ

古代から中世の和服も調べれば調べるほど出てきて案外奥深いです。全て紹介しきれてはいません。

特に庶民と都以外の地方の服装です。地方や少数一族の独自の服などもあったでしょうか。そこをファンタジーで出してみるのもいいかもしれませんね。

歴史上のよくわからない部分はファンタジーのオリジナル設定を活かすか魔法でなんとかするのが物語の楽しいところだと思います。


後書きのほうが本編より長くなってしまいました。

ここに書いた補足と考察も、お役に立てれば幸いです。



参考資料


ウィキペディア

https://ja.wikipedia. org/


モダリーナ イラストアパレル図鑑

https://www.modalina.jp/modapedia/


中世の服の着方を紹介しているチャンネル(英語)

https://youtube.com/c/CrowsEyeProductions


ファンタジー用語ナナメ読み事典 Tiny Tales

http://tinyangel.jog.client.jp/


完訳グリム童話 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 角川文庫


文化遺産オンライン

https://bunka.nii.ac.jp/


挿絵はGeminiを使用しています。


感想や服の名前、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ