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【100万PV突破】追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜  作者: もーりんもも
第二部

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78 食糧支援③

 四十歳を過ぎたら生き様が顔に出るんだっけ?

 目の前のゲルツ伯爵は、顔だけでなく体つきからも意地汚さが全面に出ている。

 身長は百六十センチくらいかな? この世界の成人男性にしてはチビだ。

 仕立ての良い服からのぞいている土気色の顔は、まるで古い油を固めて作ったようで気持ち悪い。


「よくぞ参った。して、荷物は?」


 ちょっと! 何で私の席が下座なの!

 支援を依頼しておいて、この態度はないでしょう!


「再三にわたり食糧支援の要望があったので、随分と困っているのかと思って駆け付けたというのに、お礼も満足に言えない領主だったとは。はぁー」


 頬に手を当てて、「(これだから格下の貴族に会うのは)嫌だわぁ」と首を振って見せたら、ゲルツ伯爵は顔を真っ赤にして大声を上げた。


「なっ! 何だと! お、おまっ――」

「いつも上しか見ていなかったから私の勉強不足かもしれないけれど、伯爵っていうのはこの程度のものだったのね。身分も価値観も釣り合わないのでは、友好的な関係を築くのは難しそうだわ」

「……! うぐ。ぐぬぅ」


 へぇ。言い返せないんだね。

 私がヘソを曲げて帰ってしまうのが怖い?

 ふふふ。


「コホン。シャーロッテ様。『他領の領民といえど、同じ国の民であることに変わりはない。飢えていると聞いて何も感じないようでは人の上に立つ資格はない』とおっしゃっていたではありませんか。この地を治める人物がどのような方であろうと、シャーロッテ様の慈悲深さに影響を与えることなどできないはずです」


 あらま。よそゆき顔のアルフレッドが、私が言ってもいないことをでっち上げて殊勝な口添えをしたものだから、ちょっと驚いちゃったじゃないの。

 まあ、伯爵を全然褒めていないところが気に入ったけど。


「そうね。あなたの言う通りだわ。つい、無礼な態度をとられて我を忘れてしまうところだったわ。ここは私が大人になって、大目に見てあげるとしましょう」

「はい。それがよろしいかと」


 茶番を楽しんだから、食糧が既に配布されていることを教えてあげようかな。

 

「……」

「……」


 私が黙って伯爵を見たら、伯爵も黙ったまま私を見返してきた。

 いや、ここはあんたが、「ありがとうございます」って頭を下げる番でしょう!

 床におでこを擦り付けながら泣いて喜びなさいよ!

 ……あ。あっちの従者が伯爵に耳打ちしている。

 ……は? 「ちっ」って舌打ちした?


「こ、この度は大変ありがたく」


 ……へ? やっと絞り出してそれだけなの?

 これまでの人生で人にお礼を言ったことがないの? あー無いんだね。無さそうだわ。

 これ以上伯爵の顔を見ていたら、余計なことを言ってしまうかも。

 もう帰った方がいいかもね。

 あとのことは知るもんか。


「帰るぞ」とアルフレッドに目線を送ると、「了解」と返ってきた。


「コホン。シャーロッテ様。政務の合間を縫って無理して足を運ばれましたので、あまり長居はできません。そろそろ帰路に就かれませんと」

「そうね。まだ仕事が残っているしね」


 アルフレッドと私がそう言うと、別の従者が小走りに伯爵に駆け寄り耳打ちをした。

 ははーん。ブレッツたちの荷馬車がどうなっているか知らせが入ったみたいね。


「お、お前! 食糧は領主であるこのワシに届けるのが筋であろう!」


 はぁん?

 この私に向かって、「お前」ですって!


「こちらの領民が飢えていると聞いたので、いち早く届けるよう指示をしたまでですが?」

「こ、このっ」


 興奮した伯爵が失言する前に従者が深々と頭を下げた。


「おもてなしもできず申し訳ございません。領主様の寛大なご慈悲には感謝してもしきれません。お引き止めする理由もございませんので、どうぞお気をつけてお帰りくださいませ」 


 ふん!

 まあ気が済んだからいいけど?

 今から伯爵の従者たちが広場に行って、「食糧はいったん領主様に納める」なんて言おうものなら、暴動が起きそうだけど大丈夫?

 ま、私には関係ないか。



   ◇◇◇   ◇◇◇



 私が村に戻り、自室でお茶と美味しい焼き菓子を堪能していると、馬車&馬チームも帰還した。

 たまには労(ねぎら)ってやろうと出迎えるために外に出たときだった。


 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎


 騒音レベルの大音響でサイレンが鳴り響いた。

 ちょっと大きくし過ぎたかも。

 領主館と集荷所の他に、防護壁にも一定間隔でスピーカーを設置したんだけど、さすがに多かったみたい。

 こりゃ、子どもは泣いているな。


「お嬢!」


 アルフレッドが馬をキースに預けて血相を変えて飛んで来た。

 これまでのことがあるから、異変を真剣に察知しているみたいね。


「その通りよ。当たってるわ」

「じゃあ、このけたたましい音は、危険が迫っていることを知らせているんですね?」

「ピンポーン」


 これは北の防護壁の外に立たせておいた小人巨人からのアラートだ。

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