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【100万PV突破】追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜  作者: もーりんもも
第二部

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80/80

79 スタンピード

 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎

 ウォーーーン‼︎


 ええっと。どうやって止めるんだっけ?

 門の赤いボタンと違って、停止ボタンを作った記憶がない……。


「お嬢!」

「ちょっと待ってて。今、この音を止めるから」


 巨人に、脳内で「もういいよ」と命じてみた。

 ……あ。止まった。

 ついでに、「もし壁に向かって来る奴がいたら蹴散らせ」とも命じておく。


「北の壁で何かあったみたい。キースと一緒に来てちょうだい。私は先に行くわ!」

「あっ、お嬢!」


 私がアラートを出す設定にした脅威は、武装した集団やスタンピード。

 わざわざ北から攻めてくるやつらなんていないだろうから、十中八九、魔獣が群れで来ているんだと思う。



 玄関先に置いてあったスクーターに乗ると、スピードを出して北へと突っ走る。

 領民たちには、「サイレンが聞こえたら手を止めて、すぐに家に帰って閉じこもるように」とあらかじめ指示しておいたから、道を遮る人がいない。

 



 壁に到着すると、えっちらおっちら見張り台に上がった。

 うーん。急ぐとき用にスロープも作っておいた方がいいな。

 そうしたらスクーターで上まで一気に上がれる。

 とか考えているうちに上がりきったけど‼︎


 うぉぉぉ‼︎

 なんて数なの‼︎

 遠くの方で大地が揺れているのがわかる‼︎

 もう、魔獣の数が多すぎて、あたり一面が土埃で、あるはずの木々が見えないよ。



「まさかこんなに早く出動させることになるとは思わなかったけど。でも壁に何かあってからじゃ遅いからね」


 四メートル級の大型の小人巨人たちを投入しなくっちゃ。

 壁の中に既に格納済みだからね。

 早めに作っておいてよかったわ。


「北側の一番から十番までは穀物の貯蔵用にして、二十一番から六十番までを大型の四メートル級巨人の格納庫にしたんだったよな。とりあえず大型は全部だすか。ふぅ。よしっ! 二十一番から六十番まで出ておいでー! 西側の門から出て北へ回りなさーい!」


 そこら中から、ギィー、ガタガタと音がして、小人巨人がのそっと出てきた。


「もうほらっ! 急ぎなさーい!」


 そう指示すると、巨人たちが一斉に門を目指して走り出した。

 何だか小人の運動会みたいだな。

 領民がいなくて正解だった。今後も定期的に避難訓練をやろう。


「お嬢! 何が見えますか?」


 あ。アルフレッドとキースが来たみたい。


「よく見えるわよ。早く上がって来なさい」


 二人が大股で駆け上がってきた。


「ねえ。あなたたち、ああいうのを見たことある?」

「……‼︎」

「……‼︎」


 はぁ? 絶句?


「何よ? 見たことないの? あるの? どっち?」

「……お嬢。噂には聞いたことがありますが、あれは――」

「ひぃぃっ!」


 キース、このヤロー。

 騎士が簡単にパニックになってんじゃないわよ!


「アルフレッド。あれは何?」

「スタンピードだと思います」

「やっぱり! それってかなりヤバいわよね?」

「かなり? かなりなんてもんじゃないですよ! 至急、伝令を出しましょう! 近隣の騎士団だけでなく、王宮からも兵を派遣してもらう必要があります!」

「えぇぇ」


 それはちょっとな……。

 頭を下げて借りを作ったが最後、「だから世間知らずの子どもなんかに領主が務まるはずがなかったんだ」とか言われて、ここでの手柄を全部奪われそうな気がする。


 ――というよりも。

 私と、私の中のシャーロッテちゃんが、「嫌いなやつらに頭を下げるなんて絶対に嫌だ!」と言っている。



「お嬢! 悩んでいる時間はありません! あの集団がここに到達するのも時間の問題です。お嬢の塀がどれくらい時間稼ぎできるかわかりません。あのバスで領民を避難させないと。あ! 地下があるじゃないですか! 地下に全員を入れましょう!」


 アルフレッド――あなた、意外に弱腰なのね。ちょっとがっかりだわ。


「ひぃぃっ!」


 キースは「ひぃぃ」しか言わないし。


「あーもう。うっさいなー。キース、黙って! 静かにしないと塀の外に放り出すわよ!」

「ひぃぃっ! うげ!」


「うげ」も言えたか。


「お、お嬢! あれは――はあ?!」


 あ、来たね。そうそう。走れ! 走れ!


「備えておいたのよ。一応、人間に対しての備えのつもりだったけれど、魔獣に対しても効果があるんじゃないかと思って」


 四十体の大型巨人が続々と駆け寄ってくる光景は圧巻だわ!

 見張り役の巨人の周りに集まっている。


「あんたたち! 壁からできるだけ離れて森の方へ行きなさい! そこで向かってくる魔獣を蹴散らして!」


 あー。シャーロッテが原作通りの火魔法を使えたら、そこら中を火の海にしてやるのにねー。


「お嬢。蹴散らすというのは――」

「ボッコボコにするに決まっているでしょ!」

「ひぃぃっ!」


 黙れ、キース!

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