73 【フラッペ王女視点】あの子は何をしようとしているの?
お久しぶりです。
「名家の跡取り」が第一部完結したので、「悪辣幼女」の続きに着手しました。
(「名家の跡取り」は下にリンクがありますのでよかったら覗いてみてください。)
思い出しながらのんびり書いているので、週一くらいの更新になりそうです。
「フラッペ王女殿下におかれましては――」
「私の部屋では前置きはいいっていつも言ってるでしょ! 早く報告しなさい!」
いったい何がどうなってんのよ!
早馬の使者が持ってきた手紙には支離滅裂なことが書かれていた。
ワンワン鳴って、バタバタ倒れて――って、何なのよ?
フィッツジェラルド公爵が騎士団を派遣したと聞いたから、密かに同行して、つぶさに報告するよう指示したけれど、シャーロッテが騎士団を門前払いしたなんて!
どうやったらそんなことができるの?
あの村には平民が少ししかいなかったのに。騎士も確か二人だけだったはず。
「コホン。殿下」
「フィッツジェラルド公爵家の騎士団とずっと一緒だったのよね? 詳しく聞かせてちょうだい。あの村に騎士団が入れなかったというのは本当なの?」
「はい。令嬢の真意は不明ですが、そもそも誰も中には入れないおつもりのようです」
「え? 門を開けずに閉じこもっているの? そんなことをしたら物資が不足してみんな死んでしまうでしょう?」
「はい。私もそう思います」
あーもう! イライラする!
「騎士団とシャーロッテはどういう話をしていたの?」
「それが。話すも何も、騎士団は誰一人近づけず――」
「は? 近づけないってどういうこと?」
「それが、村は高い土壁で囲われていたのですが、門があると思われる正面一帯に、不気味でおぞましい巨大な動物の像が並べられていまして――」
「巨大な動物の像?」
思わずおうむ返しに聞いてしまったけれど、巨大な像を作れるというアピールをしていたの?
さすがシャーロッテ。みっともない虚栄心の表れね。
ほんと、馬鹿な子どもそのものだわ。
魔力量の誇示なのか、領主になったことが嬉しくて権力を誇示しているのか、とにかく、あったまおかしいわ。
「その像が魔法を使っていたのです! 気持ちの悪い音が響き渡っていましたから、そもそも会話などできる状態ではなくて。それに、あちらこちらで眩い光が――」
「嘘おっしゃい! 光魔法は私だけのものよ! 私だけの特別な加護よ!」
「は、はい。……あ。も、もしかしたら何かの幻覚を見せられていたのかもしれません」
幻覚? そんな魔法があるの?
いやいや。ないわよ、そんな魔法は。『生まれ変わってもまた君と』にそんな魔法を使う人は出てこなかったもの。
「それで? 幻覚だか催眠だか、とにかく何かの魔法で攻撃されたのね」
「はい。壁に近づこうとした騎士たちは、剣を振るう間もなく軒並み地面に転がされてしまい、団長の合図で撤退していきました」
「……」
ちょっと前までは、野菜が収穫できたことに浮かれていたんじゃなかった?
何がどうなったら、騎士たちと交戦して勝利するの?!
「公爵家の騎士団が? ……人数を増やしていいから、あの子の魔法について調べてきて。土魔法をどのレベルまで習得しているのか知りたいわ」
「は、はい。かしこまりました」
「分かったらさっさと行きなさい!」
「はっ!」
ちっ。どいつもこいつも、部屋を出ていく時だけは素早いんだから。
それにしても、どんどん本来のストーリーから離れていっているわ。
私があのお茶会に顔を出して、早々に彼女に遭遇してしまったせいね。
でも凶暴性は変わっていないようだから、やっぱり最後は自爆するのかしら。
うーん。でも土魔法じゃ爆発なんてできないはず……。
もしかして、この世界の土魔法って、物語の中のものと違うのかしら?
シャーロッテが暴れようが、私に影響がなければいいんだけど、私――大丈夫なの?
知り合いになったのはまずかったかもしれない。
もうこの先のストーリーが読めない以上、接触を避けた方がいいかしら?
辺境の地で勝手に派手に散ってくれたらいいんだけど。
本来のストーリーなら、周囲の人間も巻き込んで破滅していたけれど、そこがストーリー通りなら、誰かが巻き込まれるのかしら?
フィッツジェラルド公爵が余計なことをしたせいで、王都に攻め込んできたりしないでしょうね?
初めはストーリーの進行を知るために悪役令嬢の動向を探らせていたのに、これからは、本気の諜報活動が必要かもしれない。
あの子に対しては慎重に対応しないと、キレたらどんなことが起こるか分からないわ。
第二部完結まで毎週(土)昼更新を頑張りたいと思います。
『ブックマーク追加』と下にある☆☆☆☆☆評価をよろしくお願いします。




