↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性狩り【ニ章完結!】  作者: カーネルシトラス
静かなる星の下で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/90

第76話 死んだ竜がいるPERT6

 浜野さんの一本釣りはうまくいったので、壺をいい感じに見せられるような流れになりました。幸先はいいですね。あいにく片腕しか残っていないのにその腕で壺を持つのは不便になるので持ってきていません。なのでいい感じに机の上に持ってきた感じで出します。


「これか」

「中に件の物がありますよ」


 よかった。不審がられていないようです。ただ、中の竹簡を見るなり浜野さんの表情が変わりました。何か信じられないような物が現れたという表情です。私、ちゃんと説明できてましたよね?


「この字、なるほどな。これも師匠からの試練か」


 浜野さんは言いました。どういうことでしょうか? 浜野さんの探偵の師匠はすでに亡くなられたとは聞いてます。なんで紀元前のものを書いたことになるんでしょう?


「待ってください浜野さん? 師匠って浜野さんの探偵のお師匠さんですよね?」

「そうだ」

「百歩譲って依頼主さんが師匠さんの知り合いなら道理が通ります。でも、でもその字が師匠さんの字なら、浜野さんの師匠は紀元前から生きてることになるじゃないですか !そんなの妖じゃないですか!」

「そうだな」


 そんな話、聞いたことありませんでした。紀元前からつい数十年前まで生きていた存在なんて正直信じられません。とはいえ、ないとも言い切れません。なんせ私自身が不思議な力を持っているのですから。


「そんなの聞いてないです」

「言ってないからな」


 そんな存在が師匠だったということを私には言えない。私たちの関係はまだその程度なんだなって、そう思うととても寂しいものがありました。彼は私のつらい気持ちは支えてくれたのに私は浜野さんに何も返すことができていないから。


「それで、まだあるだろう?僕に見せてないものが」


 浜野さんは私の気持ちに寄り添うこともなく、目の前の仕事に向き合っていました。知っています。そういう人なんです。本当は関わる理由なんかないのに。命の危険もあるのに。それでも妖に向き合い、そして打ち倒そうとする。それが浜野さんです。そういう強さにも私は惚れたんです。


「あー、やっぱ浜野さん古代中国語も読めるんですね。まあ、試すようなことしてすみません。はい、ここに」


 そう言って竹簡を渡す。本当は試したつもりなんかなく、渡すつもりでうまく話の流れを作れていなかっただけなのですが。ある種の強がりとしてそう言っただけです。


「内容は見たのか?」


 師匠が読んだだけで私は目を通してもいなかった。


「いや?少なくても私は見てないです。私は古代中国語なんて読めないただの女子大生ですから」


 浜野さんが読み進める姿を見て私も竹簡に目を向ける。なるほど、何もわからん! 漢字なのかすらわからない文字が書いてある。それしかわからなかりません。それにしても左目の力も使わずこれを読むなんてどんな生活を普段送っているのでしょう?


 いえ、知らないわけではありません。一応、思い人ですから。本当にたまに”覗いて”はいます。ルールには抵触しませんから。あんな生活をよく続けられるなと言うのが素直な感想でした。


「まるで時限爆弾だな」


 中身を読んだ浜野さんはそう言いました。そんなことを言われても中身はわからないので困ります。大方、中から出てきたあの霧状の化け物について書かれていたのでしょう。


「どういうことです?」


 どうせまともには教えてくれません。いつもそうなので。でも聞かないことには始まらないので聞きはします。



「これは不完全な封印だ。中にいる竜の意思というべきか?まあ、それが自分が死んでいることに気づくまでは害を封じることができる。だが、ひとたび自らの死に気づいたときこの封印を破り世界中に厄災を解き放つ。そんなところか?」


 そう言いながら浜野さんは眼帯を外し壺の観察を始めました。あれは竜だったということ? あのよくわからない黒いモヤモヤが? まあ、そもそも竜やドラゴンなんて見たことないですし、見たって言う同業者も知りません。もしかしたらああいう物なのかも? とはいえ、時限爆弾と例えたのですし、あれが時間経過で外に出てくるということなのでしょう。さすがにそれは見過ごせません。あんなものが解き放たれた方がルール6を守れなくなります。


 

「それで、浜野さん。いいアイディアはあるんですか?」


 どうせ、何かあるに決まってますが聞きます。


「案外、単純な話かもしれない。肉体的に死んでいるがその意識が世界に残され続ける現象とは?」


 茶色の右目と青い左目の両方で私を見てそう聞いてきました。まるで禅問答ですがこれは多分経験上素直に答えればいいやつです。


 

「幽霊ですか?」

「そうだ」


 ほらね。


「今回の件は幽霊ととても似ている。まあ、幽霊は生前の人間そのものではないな。今回の件は死んだ存在の意識が残っているということなのだし」

「浜野さんは幽霊は死者の魂と切り離しているみたいですけど、私の師匠的には死者の魂なんですけどね?まあ、つまり幽霊みたいに除霊すればいいということですね!」

「構造的にはそうなるな」


 なるほど、あれは霊的な物であると。私は物理的な物を押さえるような力の使い方をしてましたが根本から間違えていたようです。しかし、構造的にはですか。何か問題があるときの言い方です。これは。


「なんか歯切れ、悪くないですか?私には隠し事、しないでくださいよ?なんか嫌われているみたいでとても悲しいです」


 どうせこの人は話したがりだから話してくれるだろうけども。悲しいのは事実なので素直に伝えてみることにしました。





 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。