表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性狩り【一章完結!】  作者: カーネルシトラス
Dreamin' dream

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/66

第54話 夢の主

 依頼人、清水明日香が倒れたという話がその父親からメールで来た。律儀なことに事前に連絡して段取りを組んでいたらしい。準備のいいことである。


 病院の面会に来れるように手配も事前にしているようであった。これは非常に助かることだった。


 昨日、僕は軽くだが件のホームページを確認した。明日香の言う通り、夢の叶うサイトというタイトルが上にあり、その下に、10分間見続けると夢が叶うようになるとそう書かれていた。


 その下には画像があり、彼女の言ったようによくわからない抽象画のようなものだった。少なくとも2人これを見て昏睡状態になった人間がいる。これを見続けることは僕にとってもいいものではないだろう。軽く確認して、眼帯を取り僕の左目で見た。


 僕の左目は、師匠曰く真実を見る事ができるとのことだった。とある事故をきっかけに手にした忌まわしい力だ。だが、この絵自体になにか呪いや仕掛けは無いようであった。そもそも、絵を見て呪われるというものはあまりにもオーソドックスなエピソード過ぎてほとんどが作り話のようなものだ。


 ただし、見てはいけない魔性というものは確かに存在する。ギリシャ神話のメデューサなんかその象徴であるし、創世記19章には振り返っていけないという時に振り返ってしまったため塩の柱に変わってしまうエピソードがある。日本神話だと、黄泉の国のイザナミや日本書紀の倭迹迹日百襲姫命やまとととひももそひめや鶴の恩返しのように見られることで関係が破綻するという話もある。


 だが、この絵自体には何もないように思えた。一方この絵を見た瞬間僕の左目は警告を出しているように感じた。見てはいけないと。


 矛盾しているように思える。


 だが成立する。見てる側に問題があるとしたら?


 そう、おそらくだがこの絵を長時間見ることで人間の脳に何かしらのエラーが発生する。そう考えることができると思う。突飛な考えではあるが、左目はそれを”否定”しなかった。


 そんな事を考えていると事務所の前に車が来た。聞きなれた赤い車体に黒のストライプの入ったカマロのV8エンジンの音。僕の業務提携先である渡辺真夜わたなべまやが迎えに来たのである。


 事務所から出て、助手席に乗り込む。


「今回も来てもらって悪いな」

「いいよ、別に。明日香がピンチなんでしょ?」

「多分だけどそうだ」

「でもあんま私の分析、考察には期待しないでよ?私感覚派なの知ってるでしょ?」


 そんなことを話しているうちに、明日香が入院している大先総合病院についた。品川区の大先駅の目の前にある巨大な病院である。ここは、日本でも最先端の感染症病棟を持つことから、このコロナ禍でも医療崩壊から逃れられている珍しい病院だった。


 明日香の病室に向かう途中見知った顔があった。


「あれ?あれれ?浜野さん?浜野さんじゃないですか!」


 病院内だとは思えないほど元気よく僕に少女が近づいてきた。今どきの高校生っていう風貌だ。名前は渡辺香澄わたなべかすみという。そう、真夜の親族であり渡辺家でも強い”力”を持つ新人の祓い師だった。


「どうしてここに?」

「連盟の祓い師が正体不明の昏睡状態になってしまいまして。一段とカッコよくなりましたね浜野さん!」


 きらきらとした目で僕にまとわりつく。少しうっとうしく感じる。なにか同業としてのあこがれか何かを抱かれているらしい。


 しかし、連盟まで巻き込まれているとは。全日本大祓連盟、日本の霊能者等を育成してこの世ならざる脅威に対処している組織だ。その源流は平安時代の陰陽師までさかのぼれる全国の神社仏閣等に力を持つ祓い師と呼ばれる人を派遣している。派遣しているというよりも、力を持つものが加盟しているという方が正しいか?


 しかし、あの事なかれ主義の連中はどう動くのか?


「香澄ちゃん?浜野に迷惑かけちゃだめだよ?」


 真夜がそう諭す。


「うげ。真夜様。なんでおられるのですか?浜野さんもこんな女とつるんでないで私に協力してくれませんか?」

「香澄ちゃん~?」


 真夜がものすごいプレッシャーを放つ。なんだか病院全体が軋んでいるような気がする。多分気のせいだ。女性というものは怒らせると怖い。それだけの事だろう。


「それで、連盟はどこまで掴んでるんだ?」

「んー、ほとんど何も。なんかホームページにある画像を見ると昏睡しちゃうみたいです。それなりに力が強い椎名恵麻さんが確認したんですけど先日倒れちゃって。この症例、日本全国で出てるみたいです。これ、私の勘なんですけどこのままじゃやばそうな気がするようなしないような?」


 真剣なまなざしで香澄はそういう。


「なるほど、何かわかったら情報をくれないか?こちらからも共有する」

「浜野さんのお願いなら何でも聞きますよ!」


 そう言いながら、彼女は了承してくれた。情報源が増えるに越したことは無い。しかし、彼女の直感というものが引っ掛かっていた。霊能者(正確には違うが面倒なのでそう表現する)が言う直感というのはある意味、予知めいているのだ。


 そんなことを考えながら明日香の病室に入る。見ただけでは眠っているようだ。医師に話を聞いたが原因不明の昏睡状態と答えられた。葉山という娘と同じ状態なのだろう。


 左目で状態を確認してみる。


「なんだ──これは──?」


 視界には明日香の脳の電気信号に巣くうアメーバのようなものが見えていた。前に見たものよりも大きくなっており明日香の思考と混ざっているようなそんなように見えた。


 だがそれよりも困惑したのはその思考寄生体(仮にそう名称をつけることにする)から糸のようなものが無数に伸びていた。この病院の何箇所かからも同じ線が見える。


 それを追ってみると共通点が見られた。すべて昏睡状態になっている者から伸びている。異様な光景だった。


 ずっと眼帯を外していたことから頭痛がしてきた。なんだか昏睡者から伸びているような糸が増えているように見えた。疲れているのだろうか。あまりこの情報はあてにならないのかもしれない。そう考えるといやになってきた。


 結局僕はこの左目をコントロール出来ていないのだ。どこまで信じていいものか。もはや僕のズボンの右ポケットからも糸が伸びていた。僕の片目を使えなくしておいて役に立たない能力だ。


 右のポケット?


 そこにはスマホがある。


 取り出すとスマホから糸が出ていた。


 まさか、まさかだが、あり得ない話ではない。きっかけは謎のサイトからだ。だが、こんな事例はあまりにも珍しい。そう、まさかだがこの魔性は、インターネットを利用しているのか?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ