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魔性狩り【一章完結!】  作者: カーネルシトラス
狂言/般若

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第25話 血族


 目が覚めると薄暗い空間にうつ伏せにされていた。下は木であり、古い木特有の匂いがした。両腕は後ろ手に縄で縛られており、それが食い込んで痛かった。周りを見渡すと床に設置された一メートルほどの松明がめらめらと燃えていた。その明かりを頼りにかろうじて見えるものを確認する。


 私はどうやらお堂のような場所にいるようだった。目の前には大きな木像がありその隣には般若のお面をつけた和服を着た男が立っていた。後ろから風が流れてくる事から出入り口は足のほうに有るらしい。


「こ、これはどういうこと?」


 口は封じられていなかったため問いかけてみた。まともな返答は期待していなかったが。


「なに、血族を迎え入れに来ただけです。明日香さん」


 男はそう話す。


「祭さんのことといい最近の若い者は血を外に流出させる。まことに度し難い。何のための村なのだか」


 男は静かにそう語った。


「あなた、祭に何したの!」

「何も?ただ伝えただけです。その身に流れる血が何なのかを。そしてそれはあなたも同じだ」


 男は私の袖を無理やりまくり痣を見た。男の話し方には抑揚がなく機械的という印象すら覚える。


「さてと、まずは血を目覚めさせないと。梨沙、村のほうへの指示が終わったならこの者に誓いの水を」


 男の声を聞き、私の後ろに立っていたらしい女性が目の前に歩いてくる。女も仮面をつけており、詳しくはわからないが平安貴族のような服装をしている。右腕にはギプスをつけていた。


「嘘、梨沙さん。なんで、なんでこんなことをするんですか!」

 

 私は叫ぶ。叫んではいるが当たり前のことだ。幸三おじいさんも、大吾さんもこいつらの仲間なら梨沙さんがそうでないと考えるほうが不自然だ。


「どーも、あなた勘違いしているようだ」


 男がそうつぶやいた。


「もしやあなた、あの村の一部が我々の仲間だと思っていませんか?」

 図星だった。大社の鬼というものを崇める奴らがいる。ホラーゲームにもよくあるシナリオだ。そのように私は勝手に思っていた。


「逆、なんですよ」


 男がジェスチャーをする。それを見て一升瓶に入った液体を私の口に押し込む。


 苦い、息ができない、こんなもの飲むわけにはいかない。そう思い飲み込まないようにするとなおのこと息ができなくなる。瓶を振り払おうとするが私の頭と瓶を万力のように固定しているためどうにもできない。口からあふれこぼれ出る液体の量を喉を通り飲み込む量を超す。その時間は一瞬だった。


「元は、この地には人など暮らしていなかった。我ら、この社に住まう我らの地であった。だが時が流れ、我らは数を減らした。そして、おばあ様が言ったのだ。人をつがいにしようと」


「我らの血は薄まり次第にその力を持たぬものが出た。それが痣無しだ。ただの人間だ。だが、我らの血を持つ人間が人間と交配するとたまに出るのだよ。血族がな。だから我々は囲い込むことにしたのだ。そうして、社の下に村を作った。我らがいて、我らが村を作ったのである。我らの若い衆は信じぬ者もいる。だが、これが事実だ。おばあ様がそれを証明する。そう、貴様の祖母を名乗るものは我らの祖、貴様の本当の祖母はこの社に住まう血族なのだよ」


 男は痛い!そう高らかに宣言した。何を言って痛い!!いるのか私はわから痛い!!!なかった。体痛い!!!!!が焼けるように痛い。頭が三痛い!!!!!!つに割れてし痛い!!!!!!!まいそうだ。


「安心しろ今飲ませたものは毒ではない。貴様の本当の力を引き出すものだ。我らの祖先が何世代もかけ薄まった血の力を強める薬酒を作り上げたのだ!」

「さあ、おかえり明日香。本当の一族へ」


 痛みがすっと引いてきた。体から今までになかった力があふれてくるような気がした。いやあふれていた。少し力を入れると簡単にロープをちぎれた。違和感を感じた頭に触ると二本のおできのようなものがあった。角だった。


「残念だけど、あなたたち化け物の仲間になるつもりはないわ」


 私は毅然と答えた。


「ああそうだろうとも。坂上の娘もそう言ったな」

「だから見せしめに彼女の両親を殺した。そうね?」

「少し違うが、まあそれでいい」

「私は、そうはいかない」

「実のところ、それを止めるつもりはない」


 男は意外にも引き下がった。


「考えてもみろ、力の高ぶりに合わせて角が浮き出るモノを、人と同じように年をとらず、そしてそれを一族の子に残すものを人間として奴らは受け入れると思うか?」

「いいや、受け入れられない。我らは我ら。人は人。決して交わらぬ。我らが望んでもな。もう戻れないのだよ明日香。お前は人間じゃあないんだから」


 男はそう言い放った。


 私が人間じゃない?私は少し人より物覚えが早かった。クラスの誰よりも計算が早かった。でもこれは勉強を家でしていたからだ。T大に入れたのも高校の先生やお父さんの助けがあったから、音楽を人よりできるのだって母の真似をして昔から暇なときに音楽を聞いていたから、力が強いのも、足が速いのも、あれだって、それだって、これだって、


「明日香カワセミの事も詳しいんだね。まるで動物博士じゃん」

「今回のテストは平均が低かったな。みんなちゃんと勉強しないとだめだぞ!でもこのクラスに満点がいます。清水さんよく頑張ったね」

「清水さん、陸上部のインターハイ惜しかったね。でも模試の方は順調だね。このペースだとT大現役合格も余裕そうだね」

「スーパーウェイター明日香様にはご期待してます」


違う


違う!



違う!!


違う!!!


違う!!!!


全部私が頑張っ「私にとって誰かとオリジナル曲でライブするのはずっと夢だったんだよ!明日香のおかげだよ。サイコーの楽曲をありがとう!」ったからであってお前たちの血の影響なんかじゃない!!


私は

私は!

人間だ!!誰が何と言おうとも!!!


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