表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性狩り【一章完結!】  作者: カーネルシトラス
狂言/般若

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/66

第12話 Live in Tokyo

 デカデンティア探偵事務所で浜野に会ってから暫くの間連絡が来ることがなかった。結果、何も詳しいことを知ることができないままストーリーズのライブの日が来てしまった。8月15日のことである。祭がどうしているか心配ではあるが何もできない。それが事実だった。私は自分の無力感を感じていた。しかし、それがライブをないがしろにしていい理由ではないと私はわかっていた。


「みんなー、初めましてー!私たちはストーリーズって言います。T大学のサークル活動からきっかけで集まって、これからの私たちの人生において忘れられない1ページを紡いでいこうという思いでストーリーズというバンド名にしました!こういうライブは初めてなんですけど今日のためにオリジナル曲作ってきたので聞いてください!」


 南の元気いっぱいの声がライブハウス中に広がる。南の知り合いがオーナーをしているちょっとした個人店ではあるが50人近くお客さんが集まっていた。


 ここに来ている人はきっと私たちの演奏を聞きに来ているわけではないだろう。でも1人でも良いから心に残る音楽にしたい。その一心で私は歌った。「星の願いを」は一曲3分程であったが体感時間では一瞬の出来事だった。


「聞いてくれて、ありがとー!」


 演奏が終わり南の掛け声とともに私たちは舞台から降りていく。次のバンドが入れ替わるためすれ違う時に、「良かったよ」と声をかけられた。


 私たちの音楽が少なくても1人には響いた。それだけで私は嬉しかった。


「南、お疲れさん」


オーナーの髪を桃色に染めた女性が話しかけてくる。


「音楽としては60点だが、ロックとしては120点だ!」


 いまいち伝わらないがきっと彼女なりにほめているのだろう。実際、演奏だけでいうと何か所かミスをしたし、作曲で妥協したところもあった。そんな中でロックとして褒められたことは喜ぶべきことなのだろう。


「最近若いバンドグループで骨のあるやつは減っていると思っていたけどな。南、お前の仲間みたいにロック魂があることでこの業界は続いていくんだ。うちの店をひいきにしてくれよ!」


 オーナーはお酒が入っているためかテンションが高かったが、私たちの演奏を心から認めてくれたようであった。


 次のバンドが機材の調整に時間がかかっているのを見てか、オーナーと話している私たちのほうに常連と思われる下北沢らしい個性的な服装をした50代程の男が声をかけてきた。


「良い演奏だったぜ。だが、ロック魂が足りないな。ロックってのは反逆と個性の象徴じゃないとな」

「相沢、まーた若い子にからんで。それにカッコつけといてそれはフーファイターの言葉じゃないか」


「わかるねぇ、オーナー」


「音楽にしろ何にしろ、良いもんは引き継がれ新しくなっていくものさ。忘れ去られるべきじゃない時代遅れなものを遺すのが私ら大人の仕事さ。それに相沢、お前椎名林檎もいまだに聞いてないって聞いたぞ?」


 相沢という男はバツが悪そうにしていた。どうも話を聞く感じ、最近の曲を聞かないため老人いじりされることが増えているようだった。


 そのあとの演奏を私たちは聴き、その感想を言い合いながらその夜はカラオケでオールした。ライブを通じて自分たちの音楽の未熟さも実感したが、ほかのバンドの表現を聴きその熱がなかなか冷めなかった。


 感想戦も程よく落ち着き、葉山が部屋で寝始めたとき私は、ドリンクバーを取りに部屋を出た。その時、スマホを開くと浜野からメールが来ていた。深夜3時である。彼はこんな時間まで何をしているのだろうか。内容はこうだった。



清水明日香様


 お世話になっております。デカデンティア探偵事務所、浜野貫之です。しばらくの間、ご連絡できず誠に申し訳ありませんでした。


 坂上祭さんの失踪と大橋村について、ある程度の調査が出来ましたのでその報告をしたく連絡差し上げました。

 その折、私の調査協力者も同席させたいため、探偵事務所にお越しいただきたいのですが、ご都合よろしい日をご教示いただけないでしょうか。



デカデンティア探偵事務所 

浜野貫之

 


 眠気が覚める思いだった。何かわかったらしい。それが何か気になる限りだった。ライブも終わりバイトぐらいしか予定の残っていないので(知恵との約束の穴埋めについては話し合ってる途中だったが)明日、もうひをまたいでいるので今日にでもどうかと慌てて連絡を返した。とにかくすぐに話を聞きたかった。


 十数分後返信がきた。今日の午後3時に探偵事務所まで来てください。そう返信が来た。


「祭、待ってて。すぐに行くから」


 私は小さくつぶやいた。明日に備え、カラオケの部屋に戻るや否や横になり休むことにした。



 まず、僕が悪かったといえる。いくら調査に区切りがついたからといって深夜3時にメールを送るのはどうかしていたと思う。しかし、すぐに今日会えないかという返信が来たことには驚いた。人のことは言えないが大学生というものはいつ寝ているのだろう?僕は問題ないが真夜が来れるかわからなかった。


浜野 

 真夜起きてるか? 8/16 3:04


渡辺真夜

 起きてる

 なに?  8/16 3:06


浜野

 明日探偵事務所に来れる?  8/16 3:07


渡辺真夜

 14時以降なら  8/16 3:08


浜野

 わかった。15時に依頼人に来るように伝えとく  8/16 3:08


渡辺真夜

 り  8/16 3:09


 この女も一体どんな生活をしているんだと疑問に思った。真夜の話を聞くことはよくあるがいまいちどんな生活を送っているのか実態をつかめていなかった。何にせよ清水への返信を送り寝ることにした。さて、ここからが正念場だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ