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EP.7 緊急討伐依頼

こちらのページを開いて頂きありがとうございます!


「ごちそうさまでした!はぁ…おばあちゃんの手料理そのままの味で涙が出るよ…」


「大袈裟な子だねぇ、そりゃあおばあちゃんが作っているんだからおばあちゃんの味になるでしょう?」


 チヨは食べ終えた食器を台所にある四角い箱に詰め込むと水が箱内に発生し、秒で食器がピカピカになって箱内に積みあがった状態になった。


「何あれ凄ッ…そ、そうじゃなくて、この世界に来ておばあちゃんは黒髪美少女になっちゃって食文化も全然違うのにおばあちゃんの手料理の味はそのままなんだもん!そりゃ涙も出てくるよ!」


「それはまぁ錬金術様々だねぇ、不思議なもので錬金術で色々な物が作れるようになっていて調味料とか作れるし、他のスキルも直感的に使えちゃうのよね」


 チヨは話の片手間に蓋のつまみの箇所に赤い結晶の付いた急須に水を入れ、指先で結晶を触ると中の水が瞬時にお湯へと変わった。


「それは僕も思ったよ、剣なんて触ったことも無いのにこっちに来た時から戦えるイメージは沸いてたし、ゲームと違って自由に動けるからスキルも色々と応用出来たりするんだよね」


 リサの言うスキルの応用がまさにチヨが錬金術を使って様々な物を作ったりしている事で、調味料やチヨが納品の依頼で作っている物もゲームには存在しないアイテムであり、本物の人々が生活をしている世界だからこそ開発された物なのだろう。


「さてと、お昼も済んだ事だし、お店を開けましょうか…」


『カンカンカン!!』


「あら?この鐘の音は何かしら?随分と物々しいわねえ…」


 チヨが昼食を終えて店を開けようとした時、村の鐘がけたたましい音で鳴り響いた。


「おばあちゃん!緊急討伐依頼だよ!!」


「…この村じゃ聞いたこと無いけれど只事じゃ無さそうね、どう言ったものなの?」


 村の鐘がこのように鳴らされた事はチヨがアルタ村に住みだしてから一度も無く、緊急討伐依頼と言うものにも聞き覚えは無かった。


「おばあちゃんに分かりやすく言うとフィールドボスかな?この世界だと普段存在しない強いモンスターが現れると冒険者達に討伐依頼が出るんだよ」


「それだとアルタ村の兵士と冒険者じゃあ危ないかも知れないわ!私たちも行きましょう!」


 チヨとリサはすぐに店を飛び出し『サーチ』スキルを使用してモンスターの反応があった村から少し離れた箇所へと向かった。


「居た!おばあちゃんあそこ!」


 チヨがリサの指をさした方向を見ると、豚の頭に鎧を着こんだ巨人がアルタ村に配属されている兵士と緊急討伐依頼で集まった冒険者達と戦っており、すでに負傷者が出ている様子だった。


「どうしてこんな場所にオークファイターが…」


 その時大盾を持った若い緑髪の冒険者の少女を攻撃していたオークファイターが苛立った様に咆哮をして、持っていた巨大な斧を振り上げると、オークファイターの体が僅かに赤いオーラの様な物で包まれた。


「いけない!『兜割り』の準備動作!盾で受けたら駄目よ!」


 しかし恐怖で体が動かないのか緑髪の冒険者の少女は大盾の後ろに身を隠したまま動く様子が無かったので、チヨはとっさにストレージから装備を変更して左手に細身の剣を持ち、少し大きめの白衣を羽織った。その白衣の内側に手を入れ、取り出した緑色の液体の入った試験管を放り投げると、剣で叩き割りその勢いのままオークファイターに向かって剣を振るう。


『ブガァアア!!!』


 その瞬間風の塊がオークファイターの顔面に当たり大きく後ろに吹き飛んだ。


「あなた大丈夫?怪我は無いかしら?」


 大盾の後ろに隠れて目をつむっていた冒険者の少女はチヨに声をかけられて顔を上げた。


「あ、貴女は錬金術師のチヨさん…?来てくださったんですね…!」


 チヨが来た事に少し安堵した様子だったがチヨに吹き飛ばされたオークファイターが体を起こして今度はチヨに向かって振りかざした。


「チ、チヨさん危ない!」


『ガキン!!』


 オークファイターの怪力から放たれた一撃は土埃が舞うほどだったが、土埃が収まり冒険者の少女が見たものは斧の一撃を細い剣ひとつで軽く受け止めているチヨの姿だった。


「よいしょっと」


 チヨが軽く剣で押し返すとオークファイターの巨体がまたもや後ろへと下がるが、今度は転倒せずに踏みとどまったと思ったその時。


「これが本物の~『兜割り』!!!」


 オークファイターの背後にいつの間にか移動していたリサはオークファイターが使ったものと同じ『兜割り』スキルを使用した。そして、リサの『兜割り』を食らったオークファイターは何が起こったのか分からないまま一刀両断となった。


「ありゃ…真っ二つになっちゃった…」


「こ、この人達…凄い…!」


 本来の『兜割り』は武器に打属性を付与して相手の盾や防具を破壊するためのスキルだったが、バーサーカーであるリサの馬鹿力でオークファイターは防具もろとも両断されてしまった。


「ふう…大丈夫だったかしら?怪我はしていないみたいだけれど、念のためこれを飲んで安静にしておきなさいね」


「は、はい…!」


 チヨは白衣の内側からオレンジ色の液体が入った小瓶を渡すと他の負傷をした人達の所へと向かって行った。


「見た事の無い色のポーションだけど…回復薬よね…ゴクッ」


 冒険者の少女がポーションを飲むと、たちどころに身体中の痛みと疲労までもが消えた。


「嘘…普段より身体が軽くなってる…」


 チヨの方を見ると負傷者の怪我の度合いでポーションを変えているようで、特に重傷者には血のように赤いポーションを飲ませており、飲ませた直後に重度の傷まで瞬時に治っている様子を見て冒険者の少女は治った身体の調子が嘘のように顔が青ざめる。


「あの色って…ブラットポーション…!?そんなポーションを作れる錬金術師だったの…!?って事は私が飲んだポーションって…まさか複合ポーションなんじゃ…」


 ポーションとは回復ポーションをはじめ色々な種類が存在するが、効果量によって色が濃くなり名称も『高級』『最高級』となり、回復ポーションの頂点が血と同じ色をした『ブラットポーション』と呼ばれており、複合ポーションとはその名の通り複数のポーションの効果を持つポーションの事であり、どちらのポーションも低ランクの錬金術師では作る事は出来無いため高価なアイテムとなっていた。


「ひ、ひとまずお礼を言わなきゃ…!」


 冒険者の少女は一通り負傷者の治療を終えて、いつの間にか合流していたギルドマスターのティアスと会話をしていたチヨに近づいてお礼を言う為に声をかけようとした。


「おや?パルナさんじゃないですか!チヨさん達が到着するまでの間オークファイターの足止めをしてくれていたそうですね!よくやってくれました!」


 チヨとティアスに近づくパルナと呼ばれた少女にティアスが先に気付いて声をかけた。


「チヨさん、ご紹介します。こちらは『ガードウォリアー』のパルナさんです」


 パルナは急にティアスに声をかけられたあげく、チヨに紹介された事で恥ずかしそうに大盾の後ろに小さな体の一部を隠した。


「あら?あなたいつもお店に来てくれる子よね?改めまして私は錬金術師のチヨです。それよりも身体の方は大丈夫かしら?」


「は、はい…チヨさんに頂いたポーションのおかげで普段よりも調子がいいぐらいです…」


「それなら良かったわ!そうだ、またお店で出す新しいお菓子を作ったからまた落ち着いたらいらっしゃってね」


 もうティアスとの会話は済んでいたのか、それだけ言うとチヨはその場を去って村へと帰って行った。


「…パルナさん、チヨさんから貰ったポーションの事が気になっているんですよね?」


 ティアスもチヨが負傷者に使ったポーションの事は把握しているらしく、パルナの様子から察したようだった。


「はい、多分私が頂いたのは複合ポーションでした。とてもすぐにお返し出来る額のポーションじゃないのにどうしようかと…」


「パルナさんは気にしなくても良いんですよ、チヨさんにはギルドからお支払いしておきます。それに今回の緊急討伐はこの辺りでは高レベルで目撃情報の無いオークファイターでしたからね。戦力を考えるとチヨさん、もしくは僕が到着するまでの時間稼ぎが『ガードウォリアー』であるパルナさんの役割だったのですから、完璧な仕事でしたよ」


 ティアスの言葉にパルナは肩をなでおろした。


「あ、ありがとうございます!」


「まぁ…複合ポーションなんて飲んでしまったら焦りますよねぇ。さて、僕たちはオークファイターの解体に周辺の調査にまだまだやる事が山積みですよー!」


 そう言いながらティアスは解体用のナイフをどこからか取り出して両断されたオークファイターに突き立てて解体を始めた。


「わ、私も手伝います!」


 パルナも腰に下げていたナイフを抜き、両断されたもう片方の解体を始めたのであった。



閲覧していただきありがとうございます!


投稿後も編集で書き換える事もあるかもしれませんがご了承ください

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