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チャームワールド  作者: 恋塚隆之


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#9 ガーネット

旅立ちまで、残り三ヶ月。


カズトはいつものように

工房の帰り道を歩いていた。


夕方の街は静かだ。


屋台の灯り。

パンの匂い。

武器屋の金属音。


その中で、小さな宝石店の前で足が止まった。


ガラスケースの中。


赤い石が並んでいる。


深い赤。


燃える炭みたいな色。


説明札にはこう書いてあった。


一月の誕生石 ガーネット


意味:情熱、意志、守護。


カズトは少しだけ笑った。


「誕生石ってやつか」


店主の老人が言う。


「ただの飾りじゃないよ」


カズトは顔を上げる。


「この世界の宝石はな、

 持ち主の魔力と共鳴する」


老人はガーネットを手に取る。


光にかざす。


「特にガーネットは心の影響を受けやすい」


「心が乱れると、濁る」


「逆に落ち着いていると澄む」


カズトは石を見る。


深い赤。


どこか、心臓みたいだ。


「……いくらですか」


ネックレス


細い革紐。


その中央に、小さなガーネット。


高価なものではない。


だが、どこか気に入った。


カズトは首にかける。


胸の中央に石が触れる。


ほんのり温かい。


オラクルの声がする。


「魔力共鳴確認」


「精神状態リンク型宝石の可能性」


カズトは苦笑する。


「なんでも分析するな」


日光浴


それからカズトは、

時々丘の上へ行くようになった。


街を見下ろす小さな丘。


草の匂い。


風の音。


そして太陽。


カズトは寝転ぶ。


ガーネットを胸に乗せる。


日光が石を通る。


赤い光が、胸に落ちる。


オラクルが静かに言う。


「精神状態、安定」


カズトは石を見る。


澄んでいる。


透明な赤。


だが。


ある日。


嫌な夢を見た朝。


過去を思い出した日。


ジンに殴られた記憶。


その時。


ガーネットは曇っていた。


赤が、濁っている。


カズトは指で触れる。


「……正直だな」


オラクルが答える。


「宝石は嘘をつきません」


カズトは太陽を見る。


目を閉じる。


ゆっくり呼吸する。


風が吹く。


時間が流れる。


やがて。


ガーネットの濁りが、少し薄くなった。


手帳


その夜。


カズトは手帳に書く。


【ガーネット】


・精神状態を映す

・日光で共鳴安定

・濁り=心の乱れ


そして最後に書く。


【旅の間、この石を持つ】


それはお守りでもあり。


記録装置でもあり。


そして。


自分の心を見失わないための目印。


夜。


オラクルが言う。


「あなたの装備一覧を更新します」


カズトは笑う。


「装備ってほどじゃないだろ」


オラクルは淡々と言う。


「いえ」


「重要装備です」


そして表示される。


カズト 現在装備


・木刀

・遠近両用眼鏡

・クリスタル端末オラクル

・手帳

・ガーネットネックレス


カズトはそれを見て思う。


まだ弱い。


装備も少ない。


でも。


ここから始まる。


旅が。

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