第一二話 カウントダウン
太陽が南中を過ぎ、夕暮れに差し掛かった頃、《バトル・ロイヤル》は一歩終わりへと近づこうとしていた。
「な、なによこいつ!」
生い茂る木々の中を駆けまわり、身体中をボロボロにしながらも魔術を駆使して必死の抵抗しているのは二〇代半ばほどの女性――“木”の魔術師だ。
対して狂気に似た笑みを浮かべながら、愉しげに彼女を追う男は三〇代だろうか。周囲を纏う雷が、彼を“雷”の魔術師だと明示していた。
「ははっ、殺すことが合法だとは、ここは愉しいところですね!」
嬉々として叫ぶ男は、逃げる彼女が顕在させる魔術を己の魔術で粉砕しながら着実と距離を詰めていく。
その光景は殺し合いと呼ぶにはあまりにもお粗末な、一方的な蹂躙であった。
「くそ、死んでたまるか。こうなったら魔法を……ひゃあっ!?」
焦りからか躓いてしまった女を、男は嬉しそうに、しかしどこか残念そうに捕まえた。
「もう追いかけっこは終わりですか……まぁいいです、次の人を探せばいいし」
「いや、やめて…………死にたく、ない………………」
涙声で喋る女の頭を男は鷲掴みにする。
そして狂気に満ちた笑みで魔術を顕在化させた。
「まずは、一人目……あははっ!」
顕在した魔術は刹那のうちに女の体内を余すことなく駆け巡り、痛みに叫ぶ暇を与えず殺した。
「あは、ふはははっ!」
薄暗い森の中で、男の笑いがけたたましく響き渡る。




