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追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
01.復讐のダンジョンマスター

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01-07.自由な魔物と憂鬱な魔女


「聞いたか? 勇者パーティーの話」



「ああ。ダンジョンでお楽しみだったってんだろ。あげく油断して魔物にやられちまったって」


「いやいや。本当は仲間割れらしいぜ。最初に勇者が僧侶殺して、その勇者を斥候が殺したってな。なんでもあの子、僧侶が扱う精神魔術を掛けられててな。術者が死んで術が解けたそうだ」


「やけに細かいな」


「うちのエースと斥候自身がそう証言したんだ。そんでもってボロボロの僧侶と股間噛み千切られた勇者の亡骸も見つかったそうだ。二人の証言通りにな」


「うへぇ……。もう一人はどうしたんだ? 勇者パーティーって元々四人だろ」


「魔女は行方知らずだ。発狂して殆ど裸のまんま飛び出しちまったんだと。哀れなもんだよなぁ。あの子も洗脳されてたんだぜ。きっとな」


「居た堪れねぇなぁ……。だいたいなんだっておめえがそんなこと知ってんだ。捜査情報は機密だろうが。勇者の不祥事なんて輪をかけた極秘だろ」


「さてな。俺も噂を聞いただけだ」


「誰かが意図的に流しやがったんか? 捜査関係者か調査同行を依頼された冒険者が?」


「無理ねえよ。勇者様の不祥事だぜ? 前代未聞だろ」


「僧侶ってたしか黒髪の小柄な子だったよな? 勇者パーティーのヒーラーって普通は聖女じゃねえのか? 噂の聖女様とは似ても似つかないぜ?」


「聖女様には断られたらしいぜ。勇者の本性を見抜いてたんだろうよ。流石は聖女様だぜ♪」


「魔王退治はどうするつもりだったんだよ。勇者と聖女はセットの筈だろうが」


「さてな。聖女様の考えることなんざ、俺にわかるかよ」


「まあな。どうせ勇者はまた次が選ばれるわな」


「ちがいねえなぁ」




----------------------




 ふむふむ。予定通りね。


『完璧ね♪ アッシュはよくやってくれたわ♪』


 早速扱き使ってるね。


『まだ新しい勇者が任命されるまでには時間があるもの♪ 彼女のような優秀な手駒を遊ばせておく手は無いわ♪』


 むぅ~。


『ふふ♪ 妬いてくれるのね♪ 嬉しいわ♪ エコー♪』


 そんなんじゃないし……。


『わかってるでしょ♪ 私に隠し事はできないわ♪』


 むぅ……。


『ふひひ♪』


 ……もう。



 それよりいつまでこうしてるつもり?


 もう宿に籠もって一週間だ。私としてはさっさと町を出て行きたかったのに。


 日がな一日ベッドでゴロゴロしながら、強化した聴力で近所の酒場から噂話を盗み聞きするだけだ。


 元々人と話をするのが苦手な私にとっては、これだけでも苦痛に感じてしまうものだ。リリスが話し相手になってくれなかったらとっくに不貞寝していただろう。


『ふふ♪ 私でよければいくらでも♪』


 なら質問に答えて。


『もう直よ♪』


 何を待ってるの?


『強いて言うなら説得力ね。心に傷を負ったエコーが行動を起こすにはまだ少し早すぎるの』


 ……どうしよう。私まで勇者の毒牙にかかったことになっちゃった。


『それも作戦通りよ♪』


 あのさぁ……。


『心配要らないわ♪ エコーのツガイには私がなるもの♪』


 えぇ……何言ってるのぉ……。


『オス同士でもいいならメス同士も問題ないわよね♪』


 いや……それは……。


『ああ失礼♪ 人間は「女性」と呼ぶのよね♪』


 そういう問題じゃ……。というかわかってて……。


『うふふ♪』


 ……なんだかなぁ。




----------------------




「エコーさん……あの……っ! 誠に申し訳ございませんでした!!」


 久々にギルドへ顔を出すと、いつもの受付嬢が思いっきり頭を下げてきた。


 そういえばこの子にはまだ会ってなかったのか。内容が内容だけに、前回ギルドを訪れた時にはギルド長たちが直接話を聞いてきたもの。



「大丈夫よ。それより割の良い仕事はないかしら」


「……え? ……エコー……さん?」


 ダメだよ、リリス。この子の前でそんな流暢に喋ったことないんだから。


『いいのよ♪ 今日から新しいエコーのデビューよ♪』


 なにさそれ。



「依頼よ。依頼。教会都市まで行く旅費が欲しいの。何か見繕って頂戴」


「は、はい……ぐす」


 やばいって。泣き出しちゃったって。私のありもしない悲劇を想像して後悔してるって。


『仕方ないじゃない。この子が推薦してしまったんだから』


 リリスって無いよね。人の心。


『学んでいる最中よ♪』


 前向きだぁ。


『魔物なんだから仕方ないじゃない♪』


 そうだね。良い事だね。勉強熱心なのは。


『でっしょ~♪』


 なら尚の事だよ。もう少しくらい優しくしてあげてよ。


『ふふ♪ やっぱりエコーは優しいわね♪』


 別にそんなんじゃないもん。この子とは少し付き合いがあっただけだもん。


『いいわ♪ エコーのお気に入りなら話は別よ♪』


 お気に入りだなんて言ってないし。


『私に万事任せなさい♪』


 嫌な予感……。



「ねえ、あなた。えっと。名前は」


 ……なんだっけ。



「モニカだったわね♪」


「えぇ!? 覚えててくださったのですか!?」


 ううん。忘れてたよ。


『エコーも酷いわね~』


 ごめんて。


 でも凄いね。私が忘れてても引っ張り出せるんだね。


『まあね~♪』



「エコーさん! 凄いです! 見直しました!」


 こいつもこいつで酷いよね。色々と。



「ありがと♪ ねえ、今度一緒に飲みに行きましょうよ」


「えぇ!? 本当にどうしちゃったんですかぁ!? やっぱり勇者様に! いえ! 勇者に何かされたんですかぁ!?」


 ちょっとぉ。こんなところで大声出さないでよぉ……。皆注目しちゃったじゃん……。それに何さその質問。こいつやっぱおかしいって……。



「驚かせちゃったわね。けどちゃんと説明しておきたいの。あなたには世話になったもの。私は近々ここを離れるから。その前に。ね? 良いでしょう? ……モニカ」


 最後に彼女の耳に口を近づけてから名前を囁いた。



「は、はいぃ!!」


 モニカは真っ赤な顔で飛び上がった。


 それから人が変わったように大人しくなり、テキパキと依頼を紹介してくれた。


 あんな小さな声でも喋れるんだね。ビックリだよ。



『さあ♪ 依頼をこなしに行きましょう♪ 私一度やってみたかったの♪』


 あなた魔物でしょうが……。

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