05-21.神罰執行
「公爵本人はなんて?」
そもそも信頼していいの? 散々居候して毎日のように菓子まで食べておいてなんだけども。
スパイの侵入を許しちゃったのってさ。実はわざとだったりしない? ネメちゃんは信頼しているみたいだけど、正直私目線だと別に良い人って印象は無いんだよね。シアを生贄にしようとなんかしたりしちゃってさ。
そうでなくたって、能力的に頼りになるものなの? これまでの行動から判断が早い人なのはなんとなくわかるけど、それだけで務まるほど、女神の期待って軽いものではないわけじゃん。
『……』
あれ? ネメちゃん? 聞いてたの?
『……そう。そういうことなのね』
……ふむふむ。ネメちゃんがそう言うなら。
「結局のところ、ここは『教会都市』なんだよ。ネメシス聖教本部の影響力が強すぎるんだよ。どれだけ仕込みを済ませたって、直接叩かなければ今すぐ彼らが力を失うことはないわけで。ならいっそ町を分けちゃったらどうかな。折角ダンジョンに取り込んだんだからさ」
「教会本部を区画ごと切り取るのだわ」
「うん。あの建物の周囲だけでもさ。ダンジョン化を解いちゃおうよ。そんでもって念入りに浄化してさ。流石に本部丸ごと使い物にならなくなれば、彼らの力だって大きく削ぎ取れるでしょ。それに女神の力が理由だって傍から見てわかるわけだしさ。何より教会自身があれは女神の仕業だって触れ回っていたんだし。きっと皆も理解してくれるよ♪」
もしかしたらネメちゃんの溜飲も多少は下げられるかも。それで少しでも時間を稼いで、本国の介入を待つとしよう。ティアや公爵家の安全が確保できたら、すぐに旅立てるように準備しておいてさ。
「善は急げだよ♪ 早速試してみよっか♪」
『はい。マスター』
リブラって私たちのこと全員マスターって呼ぶよね。
『完了しました』
はや。
「次はネメちゃんだね」
ネメちゃんにもやらせてあげないと。仕返し。
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「気が乗らないな~」
あらま。
「けどしょ~がないな~。尻拭いくらいはしてあげるよ~」
どうにも私の思い付きは中途半端だったらしい。
そりゃまあ、すぐ隣から土とか持ち込めば、またいずれ花も咲くだろうしね。ただ浄化するだけではダメなのだ。
「ちちんぷいぷい~」
ネメちゃんのいい加減な呪文とは裏腹に、突如力の奔流が都市を襲った。それは天から降り注ぐ光の柱だ。教会本部を飲み込み、圧倒的な浄化を齎した。……て結局力技かいっ!
「あ~♪ すっきりした♪」
まあいっか。それなら。
「ここまで派手なことをやってしまえば奴らも動くのだわ」
シアが頭を抱えている。まあそうね。また来るよね。「何卒お化け」が。
それでどうにもならないと理解すれば、今度は公爵家に出入りする者たちを襲い出すかもしれない。補給を断ってしまえば引きずり出せるとでも考えるかも。
「そうだ。ゴーレムだ。魔物の軍隊でも作ろうよ。この公爵邸を守るためにさ」
「ゴーレムはダメなのだわ。敵と手口が被るのだわ」
それはそう。安直すぎたかぁ。
「いっそフィリアスを量産するのだわ♪」
ネメちゃんが力を注いでいるここのコアなら二人、三人と生み出すことも容易だね♪
「やだ」
なんでさ。まさかまた、シアの意見だからとか言わないよね?
「我はここの支配者になるつもりは無いんだってば」
なるほど。それなら納得だ。
ティアとリブラの存在は表向きにされていないもんね。影の支配者に徹するならともかく、表立って武力を示すのはまた違うよね。アドラスティア王家の出方だってまた変わってきてしまうだろうし。
「不安ならシアが守ればいいでしょ。シアだってそんじゃそこらの人間よりずっと強いんだから」
ネメちゃんが珍しくシアを正面から見据えている。
「それでも不安だって言うならシアのためのフィリアスくらいは生み出してあげる。だからあなたがグラディスを守りなさい」
久しぶりに女神らしい雰囲気まで放っている。
「感謝致します。ネメちゃん様」
「……いいよ。シアには迷惑かけたし」
「身に覚えがないのだわ」
即座にそう言い切れるシアもやっぱり良い子だよね♪
「……父親には優しくしてあげて」
「心得たのだわ」
きっと伝わった筈だ。シアになら。




