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【完結済】追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
05.英雄魔女のエピタラミオン

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05-17.『悪人』の利用法


「いやした! お頭! 奴です! 『黒魔女』です!」



 その日、教会都市リブラの町中には、本来立ち入ることなど出来る筈もない『悪人』たちが集まっていた。


 彼らは『協力者』から提供された仮のアジトに隠れ潜み、『白』を放ってターゲットを捕捉した。



 彼らに『協力者』の正体は知らされていない。


 『協力者』は囚われていた彼らを護送の名目で運び出し、その道中で解放してみせた。彼らに十分な物資を提供し、教会都市への侵入までをも手引きした。



 彼らに与えられた仕事はたった一つ。


 『黒魔女』の抹殺だ。


 そのための秘策も与えられている。彼らは勝利を確信していた。いかな『黒魔女』といえど、この秘策だけは必ず通用するからだ。そう言い切れる程に強力な代物であるからだ。


 『協力者』の手腕は見事なものだ。どこの権力者なのかは知らねども、その実力は疑いようのないものだった。



 彼らは浮足立っていた。憎き黒魔女を一方的に嬲る機会など、金輪際訪れることはないだろう。その絶好の好機が目前に転がってきた。黒魔女は呑気に町を彷徨いている。厄介な勇者と聖女も近くにおらず、装備の一つも手にしていない。


 しかも奴を狙うのは自分たちだけではない。どういうわけか、教会騎士たちまでもが、虎視眈々と機会を伺っているのだ。間違いなく『協力者』の手の者だ。つくづくその手腕には驚かされる。『黒魔女』が哀れにすら思える程だ。


 あの最強の魔物狩りが、まさかこうして、人の陰謀によって葬られようとは。あの女がどれだけ人類勢力に貢献してきたかなど、この地の権力者たちにはわからぬのだろう。


 そんな風に同情すら向けていたのだ。愚かな盗賊たちは。




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 あ……れ……? なんか……身体……重い……?


 気付くと囲まれていた。気付くのが遅すぎた。考え事に集中しすぎていた。平和ボケしていた。まさか都市内の広場にこんなに大勢の『悪人』が紛れているとは考えもしなかった。


 ネメちゃんから警告されていたのに……マズイ……身体がまともに動かない……。


 なんで私までこうなるのさ……『女神の天秤』は『悪人』の動きを止めるためのものでしょ……幸い敵もこれ以上は近づけないみたいだけど……。


 ……違う。敵は『悪人』だけじゃない……教会騎士たちも集まってくる……なんでか私の方に敵意を向けながら……。


 マズい……これはマズい……。


 逃げ出さないと……ダメだ……完全に囲まれてる……。グズグズしている間に方位が完了してる……。


 マズい……マズい……マズい……。


 本能が警告している……或いはこれも『女神の天秤』の力なのかも……。ダメだ……思考を流されるな……。身体を動かせ……力を練り上げろ……魔力も神聖力も扱える……多少頭が纏まらないからなんだっていうんだ……この程度の危機は何度も乗り越えてきた……初めてリリスと対峙した時に比べればどうってことない……。動け動け動け……。動け!!



「「「「っ……!?」」」」


 体中から神聖力が吹き出した。衝撃波となって、数人の男たちを吹き飛ばした。


 僅かに思考が軽くなり、更なる力を練り上げる余力が生まれる。


 しかし敵も即座に反応を示した。少し離れた位置で機を伺っていた騎士たちが一斉に仕掛けてきた。


 騎士たちは駆け寄りながら、飛ばされた『悪人』たちを壁にするように掴み、こちらに向かって押し付けてきた。


 明らかに私の身体の秘密を知っている動きだ。この状況は最初から仕組まれていたのだ。敢えてこの女神のお膝元である『教会都市』に『悪人』たちを招き入れたのだ。


 いったいどこから漏れたのだろう。


 それとも『女神の天秤』をよく知る教会にとっては、この状況が必然であったのだろうか。


 今この場に私が一人で居るのは偶然だ。本来であれば誘い出すための策も用意されていたのだろうか。偶発的に実行したにしては連携が取れすぎているのも気になるところだ。


 ……いけない。折角生まれた余裕を余計な思考に割くべきじゃなかった。



「「「「「「「「ぐはっ……!?」」」」」」」」


 そのせいでギリギリになってしまった。


 危うく取り押さえられるところだった。辛うじて弾き返せた。先程より遥かに大きな余白が生まれた。ここまで離せれば十分だ。さっさと離脱しよう。屋敷に戻れば心配ない。



「グォォォォォオオオオオ!!!」


「なっ!?」


 ゴーレム!? どっから現れたの!?


 人より少し大きい程度のゴーレムが、タックルの姿勢で突っ込んできた。


 逃げ遅れた悪人たちを弾き飛ばしながら、まっすぐ私目掛けて迫ってくる。



「きゃぁっ!?」


 っ!? なっ!?


 ゴーレムの進路上、私の眼の前に、一人の少女が投げ込まれた。


 咄嗟に駆け出していた。


 炎の魔力を練り上げ、神聖力と混ぜ合わせ、少女に被さって手の平を前方へと向けた。


 ゴーレムを貫き、焼き尽くす炎の剣。


 本来であればゴーレムに魔術の類は通用しない。彼らの身体は物理だけでなく、魔力に対しても高度な耐性を有している。この策は確実に私を殺せる筈のものだった。以前までの私であったなら。


 しかし今の私には通じぬ策だ。神聖力を用いた炎であれば、その強固な耐性だって紙切れ同然だ。神聖力は魔物に対して有利な……性質を……。


 あ……れ……?



「エコぉー~~~~~~!!!」


「リ……」


 り……す……。



 エコーの言葉はその肉体と共に砕け散った。

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