05-15.ドキドキ初デート・After
「ネメちゃん♪ デートはまだ終わってないんだぜ♪」
リリスは行っちゃったけど、今日の私は絶好調だ♪ きっとまだまだやれる筈だ♪ 今日こそネメちゃんを落としきってしまおう♪ 待ってな♪ ネメちゃん♪ 愛しの英雄様から君を奪い取ってみせちゃうぜ♪
「……もういいかな」
「なんでぇ!?」
「……今日のエコー、なんか変だし」
引かれてたぁ!?
「我ちょっとガッカリ」
そこまで!?
「ごめんねぇ~! ネメちゃぁ~ん!!」
「うわっ!? なんで泣いてるの!?」
「ちが~の~! わたしはぁ~!」
「ちょっ、ちょっと落ち着いて!」
----------------------
「ごめんなさい……」
「どしたん?」
どうしたんだろうね~……。
自分でもよくわかんない。なんであんなに取り乱したんだろう。ガッカリって言われちゃったのは残念だけど、泣き出す程のことでもない筈なのに。
私らしくない。私はもっとクールだ。クールな黒魔女だ。
最近は少し浮かれすぎていたのだろう。恋人たちがチヤホヤしてくれて、理想の美女であるネメちゃんをいつでも抱き締められて。そんな環境に浮ついていたのだろう。
開き直るのと感情に流されるのは全く以って違うのだ。自分らしさを捨てずに頑張ろう。ふんす! ……じゃなかった。クールにクールに。
「エコー?」
「大丈夫。落ち着いたよ。ネメちゃん」
「……」
ネメちゃんが至近距離から覗き込んできた。
「っ……!?」
……なんか気付いたらキスしてた。
ネメちゃんの肩がビクッと震えた。
構わず掴んで引き寄せた。
「……美味しい」
何その感想。
「もっとぉ……」
おぉぅ……。
----------------------
「……」
「……」
……なんか気まずい。折角クールな私に戻ったのに。
……言う程戻ってた? 場の空気に流されてなかった?
……ともかく。……ネメちゃんはもっと気楽に求めてくると思ってたのに。
全ては私の勘違いだったのかもしれない。ネメちゃんはちゃんと私を好いてくれていたのかもしれない。
ううん。かもしれないじゃない。この反応は間違いなく意識してくれている。例え慣れない肉体の反応に戸惑っているだけだとしても、気になっているのは間違いない。
ここで失敗するのはダメだ。畳み掛けて主導権を握らねばならない。何故ならネメちゃんはきっとすぐに復活するからだ。そして復活したネメちゃんは間違いなく手強くなっている。恋愛巧者になるのもきっとあっという間だ。今が唯一のチャンスなのだ。頑張れエコー! ファイトだエコー!
「ネメちゃん」
ネメちゃんの顎に指を添えてこちらを向かせる。
ネメちゃんは自然に目を閉じた。くっ……既に中々の腕前だ。負けてしまいそう。けどダメだ。乗せられるのは。こっちのペースで導かないと。私が上だって教え込まないと。
私は静かに口付けた。すぐに、けれどゆっくりと顔を離し、まだ近いネメちゃんに向かって微笑みかける。
(……もうおしまい?)
ネメちゃんの潤んだ瞳が問いかけてくる。
もう一度、今度は額に優しく口づける。また離す。
(……いじわる)
もどかし気な瞳がそう伝えてくる。
あかん。この後どうしたらいいんだろう。脳内リリスが答えてくれない。焦らすのも必要だとは予め教えられていたけれど、どの程度焦らしてどの程度満足させてあげればいいのかとかは教わっていない。つまりネタ切れだ。この後のことは全然考えていなかった。
取り敢えず微笑みかけて頭を撫でてみる。
(~♪)
これはこれで嬉しそうにしてくれるネメちゃん。可愛い。
暫く撫で続けてから、たまに唇や額、鼻先や頬にも口付けていく。
そうしている内に、ネメちゃんは焦れったくなったのか、愛しさが爆発したのか、私の胸に抱きついて顔を隠してしまった。
私はネメちゃんの頭を優しく撫で続けた。
暫くすると可愛らしい静かな寝息が聞こえてきた。
----------------------
『上手よ♪ エコー♪』
私の心の中に戻ってきたリリスが、先程の一部始終を確認して褒めてくれた。
『いいわいいわ♪ その調子♪ ネメちゃんはすっかりエコーにメロメロよ♪ やっぱりあなたには才能があるわ♪ 流石ね♪ マスター♪』
相変わらずのべた褒めだ。リリスは褒めて伸ばす方針だもんね。
『それだけじゃないわ♪ 本当に感心しているのよ♪』
ありがと♪ リリスのお陰だよ♪ いっぱいアドバイスくれたもんね♪
『ふひひ♪ どういたしまして♪』




