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【完結済】追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
05.英雄魔女のエピタラミオン

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05-08.似た者同士


 ネメちゃんは『リブラ』に力を注ぎ込んだ。



 その速度は意外とゆったりとしたものだった。驚いたことに、ネメちゃんはリブラの体調に気を遣いながら、数日かけて力を増やしていったのだ。


 まあ、壊してしまったら元も子もないもんね。それにやっぱりネメちゃんは優しい子なのだ。間違いない。


 そうしてようやくダンジョンコアにも十分な力が注ぎ込まれ、町を覆う巨大ダンジョンが形成された。



「エコー! 緊急事態です!!」


 どうやら街中に魔物たちが溢れ出したらしい。



「……すみません。マスター」


 しゃあない。うっかりミスくらい誰にでもあるって。


 私たちも出撃し、すぐさま魔物たちの制圧は完了した。


 幸い教会騎士や他の冒険者たちもすぐに動いてくれたので、事態は速やかに収束した。


 もちろん教会の不信感は更に高まるものと思ったけれど、実際には魔物たちの討伐が良い演出となり、その後すぐに朽ちた植物たちが再生した光景も相まって、女神の信頼は急激に回復していった。


 以前リリスがかましたハッタリも真実であったと認識されたようだ。女神はこの未曾有の危機に備えるために力を振るったのだと。そういうストーリーを教会や民衆の方から作り上げていってくれたのだ。


 むしろそうしないと、教会の人たちとしても立場が無いのだろう。一度は民衆たちまで引き連れて女神を追い出そうとしていたんだもの。


 案の定というか、そこはあの強硬派の枢機卿と直属の部下たちを切り捨てることで禊としたようだ。今では毎日のように教会のお偉いさん方が菓子折りを持って詫びに来る。


 調子の良いこって。そんなんだからネメちゃんに信頼されてないんじゃん。……なんてことは私たちも言えないのだけれど。なにせ本当に町を滅ぼすところだったんだし。私のうっかりで。うっかり多いね。私たち。



 リブラの今後については、ティアが補佐役を名乗り出た。


 自らの内に住まわせて、共に教会都市を守っていくつもりなのだと言う。



「ティアは恋人わたしより仕事を取るんだね」


「い、いえ! 決してそのようなことは!」


 ふふ♪ こんなことを言って困らせてみたり♪


『本当にいい性格してるわよね。エコーって』


 リリス好みでしょ♪


『ふひひ♪ その通りよ♪』


 だよね♪



「エコー! 違うのです! 私はあなたのために!」


「ティア。それは嘘だよ」


「そんな!?」


「ううん。ごめんね。意地悪言って。けど違うの。ティアはティアのやりたいことをしてほしいの。私は頑張ってるティアが好きだから。だから、ティアがやりたいから残るんだって言ってくれた方が嬉しいの」


「……はい。その通りです。エコーの言う通りです」


「そっか♪ なら良かった♪ またすぐ会いに来るよ♪」


「はい! 約束です!」


 ふふふ♪ これは現地妻ってやつかしら♪ あっちこっち作って渡り歩いちゃおうかしら♪



「盛り上がってるとこ悪いけど、まだ出発出来ないよ」


 え? そうなの?


 すぐ魔王を回収しに行くのかと思ってた。


 というか、ネメちゃんはすぐにでも教会都市を出て行きたいんだとばかり。



「我もね~。早く行きたいけどね~。エコーの身体がね~」


 なるへそ。



「……」


 ティアが真っ赤になってる。か~わい♪



「ネメちゃんは何を苦戦しているのですか?」


「うんとね~。半神にしたいのね~。けどね~」


 ゴロゴロ転がりながらモニカママの問いに答えるネメちゃん。すっかり甘えん坊モードだ。


 モニカは内容を理解しているのかいないのか、うんうん頷きながらネメちゃんの計画を聞き続けた。



 やっぱりネメちゃんは私の新しい身体を作るのに苦戦しているようだ。


 人間をただ生み出すだけなら造作もないらしい。けどネメちゃんの目的はそうじゃない。私を『半神』という状態にしたいそうだ。


 しかし半分だけであっても、神の肉体というのはそう簡単に生み出せるものではない。少なくとも今のネメちゃんにその力は無いようだ。


 だからいっぱい頭を働かせて考えているらしい。毎日毎日甘いお菓子をたらふく摘みながらゴロゴロしているだけではなかったのだ。



 神の肉体を形成するには人々の信仰も必要不可欠だ。私はぶっちゃけ人気が無い。女神への歩み寄り姿勢を見せた教会だって、私を大々的に崇めるつもりは毛頭ない。一度は切り捨てたティアを再び教会の柱に据えようとする厚顔無恥っぷりだ。やっぱり見捨てた方がよかったのかもしれない。この町。


 そもそも、人間に大した価値なんて無い筈なのだ。神にとっては世界を運営するための数ある資源の内の一つに過ぎない。それが何故半神の成立に関わってくるのかと言えば、それが『ルール』であるからだ。


 『守護神』というのはどうやら、神々から遣わされた雇われ店長のような存在であるらしい。


 だから世界の運営にはいくつかのルールが存在している。実は『勇者』や『聖女』といったシステムも、そのルールに基づいた存在であるらしい。加えて言うなら『使徒』というのもその内の一つだ。私たちは纏めて使徒って呼んでたけど、システム的には勇者と聖女と別に存在しているようだ。



 守護神たちは多くのルールに縛られながら世界を運営している。


 中には『世界に認められた存在を半神化できる』ざっくり言うとそんな感じのルールとシステムが存在しているわけだ。


 けどネメちゃん的にはそのシステムに頼りたくない。何故ならあんまり人間が好きじゃないから。あくまで世界運営に効率的だから存在を許しているだけなのだ。


 人間は他種族と違って簡単にその数を増やしてくれる。そして何より、多くの者たちが同じ方向を向きやすい性質がある。放っておいても教会やら国やらを築いてくれるのだ。


 なんだかんだ神々にとっては、無くてはならない存在だ。人間が居るのと居ないのとでは効率が全く違うのだ。


 ネメちゃんは今、抜け道を探している最中だ。一旦私に人間の身体を与えて信仰を集めるといった手も無くはないけれど、出来ればその手段に頼りたくない。かといって、自力で半神を生み出す程の力はない。だからどうにかしてシステムの裏をかきたい。そんなところだ。



「なんかないかな~」


「あはは~。ネメちゃんは賢いですね~」


 絶対わかってないでしょ。モニカ。



『無茶苦茶言ってるわね』


 まあまあ。


『あんまり変なことしたら他の神々がお説教に来るんじゃないかしら』


 そういうのもあるんだ。


『たぶんね』


 困ったね~。どうしたもんかね~。

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