表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
04.黒幕女神のマル・ダムール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/47

04-07.神様のお仕事


 私たちは旅立った。



 モニカの修行はもちろん続けている。


 修行をするのはもっぱら夜の間だ。日中はアッシュとベルタが交代で馬車を飛ばしてくれている。


 私はモニカと抱き合って荷台の隅で縮こまった。


 相変わらず馬車は嫌いだけど、早々に眠ってしまうのが良い対策になるのだと学んだのだ。


 昼間は極力寝て過ごし、夜はモニカと二人で修行する。そんな日々が続いていった。



「もっと急いで」


 無茶を言う。


 起きてる間は常に頭の中に声が響き、寝ている間もこうして夢の中に現れる。最近私はずっとネメシス漬け生活だ。



「むぅ~~~!」


「何をそんなに焦ってるのさ」


「ずっと待ってたの!!」


「そりゃ待たせちゃったかもだけどさ」


「そうじゃな~ぁ~~い!」


「私をってことじゃなくて? その前から?」


「そう! もうずっと! ずぅ~~~~っと!!」


「……そっか。憧れていたんだ」


「そうなの! だから早く!」


 夢の中でいくら手を引いたって到着は早くならないよ。



「それよりさ。ほら。ぎゅっ」


 逆にこちらから引き寄せて抱き締めた。


 ネメシスは驚く程簡単に腕の中に収まった。



「……えへへ~♪」


 結局嬉しそうに微笑むネメシス。我儘は彼女なりの甘え方なのかもしれない。神様って親とかいないのかな。だからこそ憧れたのかな。人間たちを羨ましがっていたのかな。



「ねえねえ、ネメちゃん。ネメちゃんに聞いてみたいことがあったんだけどさ」


「うん。な~に~?」


 勝手に呼び方を変えてみたけれど、特段止められることはなかった。普通に受け入れてくれた。



「ネメちゃんはああいう勇者が好きなの?」


「ああいう?」


「性欲旺盛な極悪非道勇者」


「ちっ~~~~が~の~~~~!」


 声が大きい~~。



「皆があれって言うから!」


「皆って? 教会の?」


「そう!」


「いつも任せてるの?」


「うん!」


 なるほどぉ……。



「そのために作ったの!」


「教会……教会都市リブラを?」


「そう!」


 なんというか……やっぱり大雑把なんだよ。色々と。



「『悪人』システムもネメちゃんが作ったの?」


「うん。当たり前じゃん♪」


 ドヤ顔だ。可愛い。けど可愛くない。やってることが。



「なんで殺人だけなの?」


「え? ……ああ。違うの。エコーが考えているような用途じゃないの」


「どういうこと?」


「あれは『死者の恨みが無関係な生者に向かわないように』するための仕組みなの」


 死者の恨みが……?



「悪い子はね。簡単に回収出来るの。それが神様のお仕事だから」


 そういうお仕事もあるんだね。



「けど良い子はちょっと違うの」


 殺された『善人』のことだね。



「ちゃんと回収してあげないと巻き込まれちゃうから。どこにも行けなくなっちゃうから。だから悪い子を足止めしてあげるの。お空に登ってこれるように解き放ってあげるの」


 それが『女神の天秤』の正体と。


 『女神の天秤』と呼ばれる水晶には、黒く濁って『悪人』を知らせる効果と、近づいた『悪人』が犯した罪に応じて、『重さ』を感じる効果がある。罪の量や水晶の力によっては一切身動きが取れなくなり、その場に平伏してしまう程だ。



「それってつまり『女神の天秤』には『悪人』の罪を軽くする効果もあるってこと?」


「うん。そうだよ。ちゃんと反省して罪の重さごと身に着けていれば、いずれは全ての良い子を解放して役目を終えるからね。段々重さも感じなくなっていくよ」


 知らなかった……。


 教会の者たちは把握しているのだろうか。


 少なくとも、一般に知らされている知識ではない筈だ。



「ネメちゃんってとっても優しいんだね」


 悪人にまで赦しを与えていただなんて。


 効率的に悪人を裁く血も涙も無いシステマチックな女神様なんかではなかったのだ。



「必要だからだよ。我は女神様だから」


 何故だか少し寂しそうに答えた。



「けどあの勇者は」


「ごめんね」


「何故放っておいたの? この世界に手を出せないから?」


「うん。出来ること少ないの。だから千載一遇のチャンスなの。エコーが我を降ろしてくれればもっと世界を良くしてあげられるの。我はずっと待っていたの。エコーの存在を」


 そっか。ちゃんと理由もあったんだ。自分の寂しさだけで我儘を言っていたわけではなかったんだ。



「具体的にどんなことするの?」


 ネメちゃんが思い描く世界平和には興味がある。



「えっとね~♪ 先ずは組織を作るよ♪」


 すっごい現実的な計画が出てきた。



「我一人じゃどっちみち限界あるからね~♪ 教会はもうあんまり言う事聞いてくれないから他のがいいかな~♪」


 しかもさらっと見捨ててしまった。罪人にすら赦しを与える寛大な女神様はどこに行ってしまったのだろうか。神様とは寛大なだけではないのかもしれない。そういう容赦の無さだって神様には必要なことなのかも。



「エコー王様ね♪ 我は女王様♪」


 国まで作るつもりらしい。しかも二君制。



「神様のお仕事は? そっちも色々あるんでしょ?」


「頑張る♪」


 根性で?



「そのうちいっぱい家族が出来るよ♪ この世界が立派になれば他の神もたっくさん来てくれると思うんだぁ♪」


 何その計画。本当に大丈夫なやつ?



「心配要らないよ♪ ママのとこがそうしてるの♪」


 ママ? お母さんいたの? 神様にも?


 まだちっちゃいのに一人で親元を離れてお仕事中なのかしら? 神様も大変なんだね……。



「マネっこなの?」


「うん♪ マネっこ♪ ふひひ♪」


 リリスみたいな笑い方だぁ。



「きっと寂しくなくなるよ♪ 我も♪ エコーも♪」


 私は別に。もう寂しくなんてないけれど。



「楽しみだね」


「うん♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ