03-11.決着
ねえ、ティアが勝っちゃったんだけど。
ティアが先にダンジョンボスを倒してしまった。
ある程度のダメージを負ったところで、リリスモドキは溶けるようにその姿を消してしまった。
『そうね~♪ 計画通りとはいかないわね~♪』
余裕そうだね。この状況も想定通りなんだね。
『ふひひ♪』
全部話してくれたんじゃなかったの?
『話したのは大筋だけよ♪ 細かいことまで全部話したらキリが無いわ♪ サブプランだってあるのだから♪』
そりゃそうか。つまりこの状況でまだモニカたちが勝つ方法もあるんだね。よく考えたら勝利条件は、『先にお宝を回収してきた方』だもんね。戻ってくるまでが勝負なんだね。
モニカたちも今すぐリリスモドキを倒して追いかければ間に合うかもしれないんだね。
『違うわ♪ 聖女が勝っても問題ないように策を仕込んだのよ♪』
どっちに転んでもなんだ。
けどいいの? 私、ティアのものになっちゃうよ?
『なっちゃえばいいじゃない♪』
モニカを泣かせる作戦は許さないよ。
『任せなさいな♪』
わかった。私ももうリリスを疑ったりなんてしないよ。上手く二人とも繋ぎ止めてみせてね。
『本当に素直になってきたわね♪』
リリスが話してくれたからだよ。それに私が言ったんだもん。対等な関係でいたいなら、いつまでも意地を張っていたらダメだよね。
『ふひひ♪』
ティアはボス部屋の最奥に設置された宝箱から何かを取り出した。
え……あれって……。
『あの書状よ♪』
……そっか。ティアはあれを直接見たわけじゃなかったのか。ならあの署名は偽物だったんだね。
『ええ。たぶんね』
ティアは宝箱から出てきた一通の書状に目を通すと、急ぎ足で引き返し始めた。
丁度その頃、モニカたちもリリスモドキを撃破した。シアのサポートが光る良い戦いだった。
モニカが宝箱を開くと、中から出てきたのは一振りの剣だった。聖剣と比べても見劣りしない立派な剣だ。ダンジョンコア越しに覗き込んでいるだけだから詳しくはわからないけれど、どうにも魔力を纏っているような気がする。
『言うなれば魔剣ね♪ 神の力を宿す聖剣と対を成すようにデザインしてみたわ♪』
あれってリリスが作ったの? どうやって?
『ダンジョン内で産み出した魔物から素材を剥ぎ取ってよ』
リリスって鍛冶の知識まであるの?
『錬成術よ。今度教えてあげるわ♪』
うん。ありがとう。お願いね。
『がってん♪』
リリスと話をしている内にティアとベルタが戻ってきた。
ほんの少し遅れて、モニカとシアも飛び出してきた。
「我々の勝利ですね」
「エコーさぁん!? 私負けちゃいましたよぉ~!?」
モニカが泣きそうだ。いや、もう泣いてる。
「さて、聖女ユースティリア。あなたの望みを言いなさい。あなたは私に何をさせたいのかしら?」
リリスは抱きつくモニカの頭を撫でながら、ティアに向かって問いかけた。
「あなたの全てを頂きます。私の力になってください」
「エコぉ~さぁ~ん~~!!!!」
「びぇ~~ん」と大泣きする勇者様。
私はリリスから身体の主導権を取り戻して、モニカを力いっぱい抱き締めた。
……リリス。約束だよ。
『ごめんなさい。思っていたより泣き出すのが早かったの』
うん。全員を納得させてみせて。
『がってん♪』
「……その方は何故泣かれているのですか?」
「私の恋人なの。私がティアに取られたって泣いているの」
「……どうかご安心を。そこまで口出しはしません」
「ほんとですかぁ~~!?」
「はい。求めているのは志を同じくする同志です。伴侶ではありません」
「よがっだでずぅ~~~!!」
よしよし。良い子良い子。大丈夫だから。
「シアもそれでいいかしら?」
「負けは認めるのだわ。けれどその前に話を聞かせてほしいのだわ」
「オルテシア。先ずは謝罪を」
ティアは書状を取り出した。
「知らなかったとでも言うつもりですの?」
「いいえ。内容については概ね存じていました。公爵本人から聞かされていたのです。しかし同意はしていません。署名は偽造です。私は現在、リブラを追われた立場です。このサインにはあなたを騙す以上の意味はありません」
「追われた!? どういうことですの!?」
「順を追って説明します。落ち着いて聞いてください」
ティアは、私にも話していなかったこれまでの経緯を語りだした。




