表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
03.すれ違い聖女のサスペリア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/37

03-02.勘違いトライアングル


「「「「あっれぇ~……?」」」」



 街道どこいった? さっきまで足下にあったよね?


 いつの間に潜ちゃったの? 隠れてないで出ておいで~。


 ……お~い。



『迷い子は立ち止まれ。助けが期待できぬなら引き返せ。進み続けるは愚の骨頂』


 それが旅人の鉄則。


 わかっていた筈なんだけどなぁ~……。



 ここはどこ。私はエコー。相棒はリリス。恋人はモニカ。シアとベルタは旅仲間。


『遂に認めたわね♪』


 リップサービスよ。


『誰に対して取り繕う要があるのかしらね♪ ふひひ♪ もちろん自分自身に対してよね♪ 素直じゃないんだから♪』


 ある意味間違いじゃないね。この独白を聞いているのはリリスだけだし。もはやリリスは私自身と呼んでも差し支え無い存在だし。私は素直だけど。


『まあ♪ 嬉しいこと言ってくれるじゃない♪ そうね♪ 私にはすっかり心を開いてくれたものね♪ 感動だわ♪』


 目線がお母さんだよね。


『せめて愛人と言って頂戴♪』


 それでいいの? 本当に?


『私にとって何より重要なのは、エコーの幸せよ♪ そのために必要ならどんな役割でもこなしてみせるわ♪』


 ぞっこんだぁ~。


『そう言ってるじゃない♪』


 自分だって興味津々なくせに。


『別に我慢しているわけではないわ♪』


 全て計画の内なんだ。健気なこと言って、本当は自分の欲求を満たすためのお膳立てに過ぎないんだ。


『そういう側面が無いとは言わないわ♪ 私たちの心は繋がっているもの♪ エコーから伝わる喜びが何より私の心を満たしてくれるの♪』


 互いに高め合っていけるなら素敵な関係だね。


『そうでしょ♪ 私の幸せも伝わっているものね♪』


 お陰で毎日楽しいよ。私も。


『まあ♪ まあまあまあ♪ 本当に素直になってくれたものだわ♪ どうしましょう♪ 嬉しくて堪らないわ♪』


 うん。伝わってる。


 けど喜んでる場合じゃないでしょ。


『そうだったわね♪』


 何か秘策がありそうだね。


『アッシュに情報を集めてもらうわ♪』


 いたじゃん。助けてくれる人。


『あの子ったらとっても優秀なのよ♪ どんなに些細なお願いでも、完璧に私の意図を汲み取ってくれるんだもの♪』


 すっかりお気に入りだね。今度ご褒美でもあげてみたら?


『それもいいわね♪ 是非そうしましょう♪』




----------------------




『はい。主様』


 ……主様には驚かされてばかりね。


 私が勇者パーティーに紛れ込む筈だったのに。結局自分で新たな勇者を導いてしまうなんて。……流石ね。主様。



 自ら勇者を指名する。それこそあのお方が真の神である証に他ならない。


 前の勇者は偽女神が選んだ。だから堕ちた。


 主様は偽女神なんかとは違う。あのお方は自ら神を名乗ることは望まれていない。私にも女神と呼ぶことを禁じた。全ては深遠なるお考えあってのものなのだ。


 もちろん主様のだいたいの位置は把握している。馬車を手配しましょう。それは問題ない。簡単に済む話だ。主様がこれ以上動かなければの話だけれど。それはそれだ。主様が動く時には、必ず何か理由があるのだから。



 だから問題は別にある。聖女が主様を探している。


 流石と言わざるを得ない。聖女は順当に次の町へと向かった。あの優秀な聖女でも、主様の突発的な行動には対応しきれなかった。流石は主様。主様は全てお見通しだ。


 きっと迷子というのも何かの比喩だ。私にわかりやすく現状を例えてくれただけだ。主様は自ら街道を外れたのだ。



 主様は多くを語らない。


 頻繁にお声を届けてくださるけれど、決してその真意を語られることはない。ただ私を優しく見守り、導いてくださっている。まだまだ至らぬ身ではあれども、それでも少しは見えてくるものもある。



 目的の一つは聖女の追跡を回避するため。それは間違いない。つまり主様は偽女神の眷属たる聖女を避けている。きっとその動向を掴ませないためだろう。


 私は聖女の監視も続けねば。もちろん主様の手腕を疑ってのものではない。次に何かが動く時、きっとそこにはあの聖女も関わってくる。間違いなく。



 本当なら私自ら主様の下に馳せ参じたいところだ。けれど残念。私には聖女の追跡がある。


 聖女の足は速い。彼女は単身、馬を駆ってやってきた。追跡は少々骨が折れる。けれどそれも当然。これは試練だ。主様が私をお認めに、ひいては期待してくださっているなによりの証だ。必ずや主様の御慈悲に報いてみせましょう。




----------------------




 ……おかしいです。


 オルテシアが見つかりません。次に寄る筈のこの町では徹底した隠密を心がけたのでしょうか。だとすればそれは『冒険者エコー』の入れ知恵なのでしょうか。


 いえ。それにしても痕跡が無さ過ぎます。彼女はこの町を訪れてはいないのでしょうか。敢えて町には寄らずに移動した可能性もあります。


 だとすれば彼女は追手を警戒しているのでしょう。やはり書状の内容は知ってしまったのですね。


 或いは勇者パーティーの生き残りを警戒してのものでしょうか。一人は行方知れずと聞きました。……いえ。これは少々突拍子も無さ過ぎたでしょうか。そもそも生きているとも思えません。彼女や聖剣を追う理由も無い筈です。


 逃げ延びた盗賊は先日私が捕縛しました。彼らが追跡者という線もありません。


 単純に貴族であるあの子の身を慮ってのものでしょうか。エコーは代官が手配した馬車も断ったそうですね。余程用心深い人物なのでしょう。


 これは先に北で情報を集めておくべきかもしれません。聖剣の護送を任された以上、彼女はギルドから信頼されている人物です。彼女が活動拠点とした場所になら何か有益な情報が残されているかもしれません。


 しかしまた行き違いになる可能性もあります。急がば回れとは言いますが、少々回り道が過ぎるでしょう。


 ……一先ずはこのまま次の町を目指しましょう。彼女が街道を使い続けるとも思えませんが、どこかで町には寄る筈です。全ての町を避けて『リブラ』に辿り着くことは出来ません。必ず通るべき町や関所も割り出せます。


 先回りして待ち伏せるのが最も効率的でしょう。


 しかし悠長にしてもいられません。奴らより早く彼女を見つけ出さねばなりません。


 どうかご無事で。オルテシア。


 彼女をお守りください。エコー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ