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追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、憑依系ヒロインが叶えてくれるそうです 〜  作者: こみやし
02.聖剣と新米トラベラー

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02-03.地理と歴史


 この国は大陸の南部に位置し、比較的温暖な気候だ。



 今は特段暑くもなく寒くもない。過ごしやすい時期だ。


 モニカは冒険者ギルドの受付嬢制服のまま旅に出てきた。


 その制服は、職業柄故か安全性に配慮されており、かなり丈夫な素材で作られているらしい。案外と見かけによらないものだ。


『つまり見た目は可愛らしいと♪』


 ……そうだね~。


『ふひひ♪』


 嫌な予感。



「モニカ♪ あなたってとっても可愛いわよね♪」


「えへへ~♪ なんですか~も~♪ 褒めてもチューくらいしか出来ませんよ♪ こんな往来じゃ♪」


 やめなさい。



「それは今夜の楽しみにとっておきましょう♪」


「はぅっ!?」


 わざわざ耳元で囁く必要は無いでしょうに。



「そ・れ・よ・り♪ 今はぁ♪ ガ・イ・ド♪ お願い♪」


「はいぃ~♪ 喜んでぇ~♪」


 やめなさいってば。



「先ずはこの国についてね。実は私、他所の国から来たの。だから基本的なことから教えてもらえると嬉しいわ♪」


「お任せください♪」


 モニカは人と話すのが本職なだけあって、慣れた様子でスラスラと語り出した。



 この国『アドラスティア聖王国』は、勇者が生まれる国として有名だ。歴史上、勇者は幾度も魔王を討ち倒してきた。


 この国は勇者の旅のスタート地点であり、人類にとっての最重要拠点とも呼べる土地だ。


 『教会都市リブラ』は、この『アドラスティア聖王国』に属する大都市の一つであり、王都と対を成す規模と影響力を有している。


 世界中の人々は唯一神である『女神ネメシス』を信仰しており、『教会都市リブラ』は『女神ネメシス』を祀る『ネメシス聖教』の総本山だ。


 私たちは『アドラスティア聖王国』の最北端に位置する町を旅立ったばかりだ。『教会都市』は『アドラスティア聖王国』の中でも南部に位置するので、まだまだ長い旅になるだろう。



「とまあ、基礎的な情報はこんなものでしょうか」


「ありがとう♪ 参考になるわ♪」


「はい♪ エコーさんは北部からいらしたのですよね?」


「ええ。まあね。いずれ案内してあげるわ」


「楽しみです♪」


 そんな機会は無いと思うけどね。私の故郷は魔王の勢力圏のすぐ近くだし。



「そもそも『魔王』とはなんなのかしら?」


「えぇ!?」


「いえね。もちろん知っているのよ。常識的な範疇ではね」


「あ、なるほど。びっくりしました」


 魔王の存在は常識だものね。



「ふふ♪ その様子ならモニカも考えてみたことはあるようね♪ 流石よ♪ モニカ♪」


「えへ♪ えへへ~♪ そ~ですかぁ~♪」


 おおげさ~。



「つまりはこういうことですね♪ 『魔王』は何処から生まれ出るのか! 幾度も討ち倒されながら、今尚健在なのは何故なのか! その秘密に迫りたいと♪ エコーさんはそのように仰られているのですね♪」


「ええそうよ。モニカの見解を聞かせてもらえるかしら?」


「いいでしょうとも♪ ではこちらも基礎的なお話から♪」


「お願いするわ♪」


「はい♪ お任せあれ♪」


 魔王……それは大陸の北部一帯を占有する、『魔王国』の首魁。……というのが多くの人間から見た見方だ。


 実際には魔族や魔物たちを従える一人の魔族にすぎない。別に魔王が絶対に悪人というわけでもない。ただ人間と敵対する種族の長という以上の意味は無い。それが真実だ。


 正直、多くの人間たちはその真実から目を背けている感もなくはない。黒魔術師と同じだ。女神と相容れない存在だから敵対する。それだけだ。何故女神様と魔王が敵対しているのか、誰もその真実を探らないどころか、まるでタブーのように扱われてきた。女神様のやることに異議を唱える以前に、疑問を抱くことすら烏滸がましいと。



 魔王が何度でも現れるのは、単純に生き残った最も力ある魔族が次の魔王を襲名するからだ。


 人類は未だ一度たりとも完全な勝利を果たしてはいない。魔王一人を暗殺して暫しの時間稼ぎを行うのが関の山だ。


 なんなら平穏を愛する奇特な魔王を討ち取った結果、かえって戦乱を招いた事例まであるくらいだ。


 どのようにしてそのバランスが維持され続けているのかは判明していない。何故か魔王領は占領しきれないし、新しい魔王の誕生も止められない。


 人間と魔族はそんな歴史を延々と繰り返してきた。その謎を追求しようとする者たちもいなかったわけではない。実際魔王領とは程遠い地域に住む、ただの受付嬢にすぎないモニカだって、魔王と勇者の戦いには幾度となく思いを馳せてきた様子だ。


 普通は疑問に思うのだよ。答えは出ないけど。



「探ってみたくなるわよね♪ どうせなら♪」


「もしや女神様を疑っているのですか?」


「正直ね」


 そういうシステムを敷いているのかもしれない。他ならぬ女神様自身が。



「どうか言葉にお気をつけください。教会都市でそのようなことを口にすればただでは済まないかもしれません」


 まあ、つまりはそういうことだよね。

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