高校生から犯罪者そして…
眩しく光る太陽の光に目が覚める。病院で目が覚めるのは2回目だ。しかも短期間に。検査を受け、退院した。これも二度目だった。
道を歩きながら二つの出来事を考える。
交通事故…これは偶然かもしれない。1日に全国で何件も起きているからだ。それがたまたま僕に起きたことなのかもしれない。しかし不良達の騒動は偶然か。でも、うちの学校に不良は少ない。しかも学校には来ていない。だから、不良達がわざわざ学校に来て騒ぎを起こす意味がない。それに、勝手に動いた体。これは偶然なんかじゃない。
「祐作…」
不意に出た言葉に頭を横に振る。
あり得ない。
祐作は死んだ。答えの出ない考えに苛立つ。僕は意を決し、祐作の家に行った。先生に住所を教えてもらい、初めて祐作の家に行く。祐作の家は僕がよく通る道にあった。恐る恐る呼び鈴を鳴らす。家のドアが開き、一人の女性が出てきた。どことなく祐作をダブらせる感じ、祐作の姉だった。一礼して家に入った。
初めて入る祐作の家。狭くもなく広くもない普通の家だ。リビングに通され、座布団の上に腰を降ろした。横に目をやると祐作の仏壇がある。祐作の姉がお茶を持ってきて、僕の前に座った。
「弟の為に来てくれてありがとう。」
「いえ、あの…祐作君は何故……」
「遺書はあるの。でも…よくわからないの。」
「わからない」
「えぇ。遺書には一言だけ書いてあったの」
「なんて…」
「試してみる…」
「試して…みるですか」
「えぇ」
「何を試すんですか」
「わからない。それしか書いてなかったから…」
「そうですか……」
………沈黙が続く。重苦しい雰囲気の中、祐作の姉が口を開けた。
「君は祐作の友達?」
「え…は、はい」
「そう…祐作と何を話してたの」
「特に何も…質問ばかりされてた感じですかね」
「例えばどんな?」
「夢物語みたいな出来事に対してどういう行動にでる。みたいな…」
「君から話しかけた事は?」
「そんなにありません」
「そうですか…」
また沈黙が続く。だけど先程とは違う。祐作の姉の態度がおかしい。何かを隠しているようで、それでいて何かを確かめるかのように。さっきの会話を考えているのか、一人で何か話している。
「あの…」
「あぁごめんなさい。」
「いえ…」
「ねぇ……」
「なんですか」
「もしも突然目の前の人が豹変して襲いかかってきたらどうする」
「えっ……」
「君はぶっ倒すって言ったよね」
体が凍ったように固まった。祐作の姉は何を言っているんだ。そして祐作との会話が頭によぎった。
「もしも突然目の前の人が豹変して襲いかかってきたらどうする」
「う〜ん、相変わらず非現実的な事を」
「まぁいいからいいから」
「そうだなぁ、とりあえずぶっ倒す」
「えっ、逃げないの」「男として逃げたらダメだね」
「へぇ、強いんだね」
「まぁな」
そうだ。あの時の会話だ。それが現実に起きている。考えてる時に祐作の姉がいきなり飛び付いてきた。そのままマウントを取られて首を絞められた。僕は必死になって祐作の姉の手を退かし、思いっきり押した。祐作の姉が僕の上から退いた。息を正すように、小刻みに呼吸をした。祐作の姉はユラリと立ち上がり、僕に襲いかかる。僕は恐怖を振り払い、祐作の姉を殴った。我を忘れて何度も殴った。我が還った時には遅かった。祐作の姉はぐったりとし、動かない。辺りは紅く染まり、静かな空間になった。僕は恐怖のあまりその場から立ち去った。無我夢中に走り、気が付けば知らないところに来ていた。空は暗くなり、夜になっていた。一人夜道を歩く。顔や手、服には血がついている。通り過ぎる人達が振り返る。
僕は人を殺してしまった。正当防衛だが、そんなことはどうでもいい。僕は犯罪者になってしまった。薄暗く空は雲で星を隠し、風は冷たく、僕の体を通り過ぎる。家に帰ることも出来ず、自首する勇気もなかった。走り回り、人を殺してしまった事で疲れが出て、道端で倒れた。
「逃げはしなかったけど、殺しちゃったね。また、言った事と違う行動をしたね。まぁいいや、後2回あるからね。頑張ってね。」
意識が薄れる中、祐作の声が聞こえた。僕は普通の生活から逃亡生活に変わっていった。




