祐作と不良達
1ヶ月後。傷が治り、学校に行った。交通事故の記憶が消えなく、信号を見る度に体が固まってしまう。いつもはしない左右確認も何度もした。周りから見れば微妙に不審者だ。
何もなく、学校に着いた。教室に入るとクラスメイトが何人か駆け寄ってきた。心配してくれる人もいれば、笑ってる人もいる。この雰囲気が今の僕にとっては嬉しかった。クラスを軽く見渡すと、廊下側の一番後ろの席に花が添えてある。祐作の席だ。
僕は祐作の席に近寄り、祐作の席を見つめていた。
もちろん祐作はいない。
だが、何故か心がざわめく。
祐作と話した記憶が頭に浮かんでくる。
今思えば祐作との会話はいつも質問ばっかだった。
それもまるで夢物語みたいな例え話。
交通事故の話しもした。
そして、起きた。祐作の仕業なのか、それともただの偶然か、それはわからない。祐作の席に手を当て、目を瞑る。祐作は何をしたいんだ。交通事故は祐作の仕業なのか。返事のない質問をいない祐作に問い掛けた。友達が俺に、どうした。と心配そうに話しかけてきた。なんでもないよ。と答え、自分の席に着いた。
授業中も事故の事、祐作の事を考えていた。ゴールのない迷路のように行ったり来たりを繰り返す。そんな自分に腹を立て、教室を出ていく。止めにくる先生を睨み付け、屋上に向かった。
屋上に続く階段を昇る途中、ポケットにある煙草に火をつける。屋上には鍵がかかっていた。仕方なく、使われていない4階の教室に入る。ベランダに出て、空を見上げる。やはり、祐作の事を考える。祐作と何を話したか思い出す。浮かんでこない。先程まではすぐに浮かんできたのに。
その時、校庭で爆音が流れた。校庭に目をやると、バイクに乗った不良達がバイクを吹かしている。騒ぎに気付いた生徒はベランダに出て騒ぎを見てる。先生達は校庭に出て、不良達に話しかけてる。僕は関わることをしないで帰ろうとした。
「不良達を追い返すんじゃなかったの」
ふと頭に聞き慣れた声がよぎった。後ろを振り返ると誰もいない。僕は恐怖で体が固まった。聞き慣れた声は祐作の声だった。祐作との会話を思い出した。
「もし、ヤンキーがうちの学校に来たらどうする」
「あり得なくね」
「だからもしもだよ」
「う〜ん、追い返す…」
「たくさんいても。」
「うざかったら追い返すかなぁ。まぁあり得ない話だけどね」
「ふぅん」
僕は廊下を走った。3階、2階、1階。昇降口に着き、靴に履き替えると、校庭と逆の正門に向かって走り出した。その時、体が止まった。どんなにしても動かない。そして、意思とは反対に校庭の方に歩き出した。言うことの訊かない体に何度も抵抗した。だが、それも虚しく僕の体は校庭に出た。
不良達が、なんだテメェ。と罵声を浴びせてくる。僕はどうする事もできず、体は不良達に向かって歩いてる。
不良達の前に立ち、やっと体が止まった。しかし、休む間も無く口が勝手に開いた。僕は自分の言葉を疑った。
「お前ら、うるせぇよ。帰りやがれ。」
不良達は僕の言葉に怒り、僕に向かって襲ってきた。無数の手に足。バットやパイプなどでも殴られた。体から血が出て、顔は所々腫れている。パトカーのサイレンが聞こえると、不良達は慌てて帰っていった。校庭に倒れた僕は、先生達に保健室に運ばれた。応急手当を受け、病院に運ばれた。体は包帯だらけで、縫った所もある。
病室に刑事さんが入ってきた。
刑事さんは、何であんな事をしたんだ。と聞いてきた。僕は正直に言った。しかし刑事さんは、何を馬鹿なことを言ってんだ。と怒鳴りながら唾を飛ばす。
当たり前のことだ。誰だってそんなことを信じない。
信じる方がおかしい。僕は適当に言い訳をした。刑事さんが帰った後、ベッドに寝ながらあの事を考えていた。
そして、確信した。
祐作との会話が現実になっている。交通事故も、不良達の事も祐作との会話だ。だが少し違う。二つの出来事での僕の行動だ。祐作には、交わせるよ。とか追い返すよ。とか言っていたが現実は違う。交わせずに車とぶつかり、不良を追い返したのもパトカーのサイレンのお陰だ。でも、何故現実に起こっているかわからない。
「祐作の仕業か。いや、あいつは死んでいる。じゃぁ、偶然に…いや、あり得ない。それに、体が勝手に動いた。あれはなんだったんだ。」やはり答えが出ない。いや、何となくでてはいる。だが信じたくない。祐作の仕業だと考えると答えがでる。だが、祐作は死んでいる。自問自答の繰り返し。結局は考えながら寝てしまった。そしてまた不思議な出来事が起きる。




