第三十一話 サイト442~偽造~
先はずっと1本道だった。
途中でジュリがナギサにぶつかって悲鳴を上げたりリュウがタイチにぶつかりそうになったりジュリがタイチに膝蹴り食らわせたりと、辺りに光が全くない関係上いろいろあったが、どうにか手探りで道を進んできた。
もうどのくらい歩いただろうか。そんなことを考え始めていたその時、先頭のお義父さんが突然止まった。もちろんほとんど周りが見えないので、全員衝突、
「行き止まり?だと?」
ん、行き止まり?確かに、今進んできた道の先はどこも壁だった。扉ではなさそうだ。
「あ!!」
さっきジュリがぶつかって以来、ずっと無口だったナギサが急に声を上げた。
てっきり怒ってるのかとばっかり思っていた。
「アナグラ…!!!」
鈍い音が暗闇に反射した。
「ナギサ!!ナギサ!!」
目を凝らしてみると、ナギサが倒れているのがわかった。近くに座ってナギサを呼ぶタカネもいた。そしてその後ろに人影が…
「危な…」
また、鈍い音が反射する。
ナギサの上にかぶさるようにタカネが倒れていた。
「誰か、電気はないか?」
お義父さんが必死に叫ぶ。
その時、どこからか電気がついた。電球あったのか。
スイッチらしきものの横には、ジュリの姿が。
すぐさま、タカネとナギサを見る。
二人とも、何かで殴られていることは一目でわかった。
お義父さんが、すぐに、外に出して病院に連れていくために準備をする。
俺は、最後にナギサが言いかけた、おそらくアナグラムだったと思うその言葉に引っかかっていた。
ジュリとぶつかったときから、ナギサは何か考え始めていた。場所的にジュリとぶつかるのにも少し違和感を感じるんだが…
本名はクリス・ネバー・ジュリーっつってたよな。何か変だ。ハーフだとしてもジュリーなんて苗字思い浮かばないし、ミドルネームがネバーって、neverくらいしか思い浮かばな…!!
そういうことか、アナグラムって、よくもまあとんでもないことしてくれたな。
見るとジュリとお義父さん、リュウとユウイチが二人を運ぼうとしていた。
「まてよ、ジュリ、そこはタイチに任せて、こっち来いよ。大事な話がある。」
お義父さんも怪訝な顔をしていたが、俺が話し始めた途端、形相が変わった。
「なあ、ジュリ、ネバーっていうミドルネームはどういうスペルなんだ?」
「え?普通にneverだけど?それがどうかした?」
「neverってさ、並び替えるとverenにならないか?どうしてだが説明してもらおうか。」
そこまで言うと、ジュリは首元の何かをつかんで、外した。
その瞬間、顔面が四角い破片のようになって、その何かに吸い込まれていった。
その残った顔には、紛れもないベレンの顔があった。
「やっと気づいてくれたか、テクノロジーってのは最高だな。こいつは立体投射ポログラフィっやつで、どんな奴の顔にもなることができる。顔面にプロジェクターで別の顔を映してるようなもんだな。ハハハハハ」
「まあバレちゃったからしょうがないよね。帰らなかった君たちが悪いんだし。」
そういいながらベレンは持っていた拳銃を構えた。
「させるかよ!!!」
俺はとっさに水で壁を作り、凍らせた。
その向こう側では、かすかに見える人影が、氷の壁を割ろうと叩いたり撃ったりしている。
「残念だな、熱を操ってエネルギーを外に放出しているんだ。あきらめろ。」
俺が時間を稼いでる間、負傷者二人を外に運び出そうとしていた。
「バルキーノ、お前は奴を追え、超能力者を倒せるのは、超能力者しかいない。こっちは俺に任せろ。」
「…わかったよ、お義父さん。」
俺は瞬間移動で氷の壁を抜けてベレンと対峙した。
「お前もなかなかやるな。実験は成功だったってわけか、ハハハハ。まあついてこられるもんならついてきな。」
ベレンは、壁に向かって突っ込んでいき、ぶつかる寸前で姿を消した。
「瞬間移動か、お前も厄介だな。」
俺はそう溜息をつくと、後を追うように壁に突っ込んだ。




