第二十七話 サイト442~隧道~
「無線変わったけど、一つ聞いてもらってもいい?」
無線が変わった。この声の主はおそらく、ディスプレイの女の人だ。
「確かに前のディスプレイに出てるのは、今あなたたちがいる目の前は壁になっているわ。でも、その壁の厚さは5m位で、そのままもう一つ下の階にも貫いているの。だから私はこの壁の中に何かがあるようにも見えるのよ。」
「でもそんなことってある?壁だと思ったら中が空洞だったなんて。」
「この機械の仕組みから言うと何とも言えないわね。これは人工衛星から一定の厚さで建物を上から光みたいなものでスキャンする仕組みだから、その厚さより薄いものが天井に入っているとわからないの。もし、天井に薄く何かスキャンを妨害するものが入っていたら、そこより下は基本的には読み取れないわね。」
「じゃあここの天井には何か入っているってこと?」
「それがね、今のところ、その光を妨害する物質は見つかってないはずなの。まあいいわ、外から見れないのなら内側から見ればいいもの、今そっちに電子ロック開けに行くから待ってて。」
ふーん、にしても、このロボットは何なんだろう。瞬間移動とはちょっと違う気もするし、文字通り姿が見えなくなるってことなのだろうか。それよりも気になるのは…
ふと顔を上げるとジュリと目が合ってしまった。
「お待たせ、問題の電子ロックってのは?」入り口から声がした。男の声だ。誰?
あ、ランチャーのお兄さん、あるいはおじさん。今度はアタッシュケースを持っている。
そこから何やらコードを取り出して、ケースとロックをつないで……開いた。ハッキングってやつか?
「これはな、それぞれのボタンの劣化具合からよく押しているボタンを探してそのボタンの組み合わせから暗証番号を探すんだ。なかなかのすぐれもんだろ?」
なぜこんなすごいもの作れるのにロボットは倒せないなんて、軍ってより発明家の集団じゃねーか。
「ほら、何ぼうっとしてんの?早く行くよ?」
ナナミの顔をとっさに見る。声が明るかったのでセーフかと思ったら、顔がアウトだった。
俺は慌てて電子ロックが開いた、放たれたドアへ向かった。
中は階段だった。果てしなく続く、出口の見えないトンネルのようにその階段はまっすぐ下へ伸びていた。入り口の微かな光が、終わりのなさそうな漆黒の闇をより鮮明にしていた。
ウィーン、ガガガガガ、
機械音が響くのは電子ロックを開けられた部屋。
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何かを発している。
やつらの目は緋色に染まっていた




