第十九話 来訪者
それからしばらく、久々のゆったりとした日々を過ごしていた。基本的な生活はすべてこの基地の中でできるしどこか行こうとすると全自動運転システムとかっていう車が家の前まで来るので、運動はここのジムだけになってた。
そういう面では、巨大化したアジトは都合のよいものだった。
そんな休養が数日続いたある日、突然リビングに置いてある内線電話が鳴り響いた。
すぐに通話中に切り替わる。ジャービスは、電話回線も握っているらしく、電話をかけることもつなげることもできるらしい。
同時に全館放送で団員全員が通話可能になった。
その電話の相手はゲートの守衛からだった。どうもここを訪ねてきた人がいるから事情を聞いてやってほしいとのことだった。
代表でナナミが、一言、「つないでくれ」と言うと、数秒後に女性の声が聞こえてきた。
「もしもし?」ナナミが怪訝そうな顔をしながら答える。
すると返ってきたのは、「あ、もしかしてその声はナナミさんですか?」という実に明るい声が聞こえてきた。何でこいつ名前知ってんだ?
「あ、自己紹介が遅れました。私、クリス・ネバー・ジュリーと言います。今日からそちらにお世話になることになりました。」と、さっきよりもさらに明るい声で勝手に自己紹介をされた。
って、え?クリス・ネバー・ジュリー?もしかして、、、俺が口に出そうとした瞬間、電話の向こうが自分から白状した。
「あ、私の母はシャロン・ネバー・ジュリアって言います。この前の節はいろいろお世話になりました。」
ああ、やっぱり、ってことはこの前の節というのはたぶん例の追跡騒動のことだろう。そこまで聞いて、ナナミがようやく返した。
「あ、えーと、事情はよくわからないけどここに入るってことだったら今そっちに迎え行かせるから少し待っててもらえる?」
「ハーイ」と相変わらずのトーンで返ってきて、無事に電話を切り終えた後、ジャービスが「今車を出します。皆さまはここでお出迎えの準備をよろしくお願いします。」と言った。どうやら会話も聞いていたらしい。すぐに表の車のエンジン音が小さくなっていった。




