第十四話 追跡
一本道を出ると、大通りに差し掛かった。前を右に曲がれば目的のホテルのある市内へ向かう。
交差点を右に曲がってしばらくまっすぐ進む。運よくやさしい運転手が前に入れてくれたので、曲がるのもすんなりとはいることができた。もう30分ほどは立っただろうか、だいぶ市内という感じで建物も増えてきた。
アジトのあったあたりは裏山があるほどのかなりの僻地で、こう都会というよりは田舎のような感じだった。
建物はせいぜいスーパーと民家、あとは軍の練習場とかあるだけ、それに比べて今いるところは建物も高いし多い、どっかの会社の本社とかって看板が見えるビルもいくつか見えた。
今起きているのは俺とタイチ、あと助手席にいるタカネと運転席にいるナナミだ、まあ運転席に座っていて寝てたら大問題なんだが。
突然、何を思ったのかタカネがコンビニに寄りたいと言い出した。俺とタイチは慌てて寝てるやつらを起こしてナナミが近くのコンビニに車を止めた。
寝ぼけたユウイチとリュウは「着いたのか~?」と伸びをしながらあくびをする。ここでよければ二人で野宿でもしてろって。そう思っているとすかさずみぞおちに一閃が走る。見るとナナミがすぐ横に、さっきまでコンビニにいたと思ったのにいつの間に。
寝起き直後にあれ食らっても死なないとはこいつらどんだけ頑丈なんだよ。俺だったら反対車線まで吹っ飛んでいるかも。
そう思いながら車道を見ていると見覚えのある車が前を通って、少し先の駐車スペースに入った。
あ、あの車、最初に大通りに入る時に前に入れてくれた優しい運転手の車じゃん。30分近くも同じ道だったなんて行先が同じじゃないのか?
ナナミが耳元でいきなり「早く車に乗って」と大声でせかした。一瞬身の危険を感じたが急がないと本気で命が危ないのでとにかくバンまで急ぐ。
俺が席に座ってドアを閉めるとすぐに車が急発進した。信号が赤になる直前でギリギリ交差点を通過する。見るとさっきいた優しい運転手も駐車スペースから出てきた。どういうことだ。
「やっぱり、ナギサ、ナンバーと写真頼んだよ」と運転席から後部ミラーを覗いてナナミが言った。
数秒後にシャッターの音が聞こえて、ナギサがメモを取り始める。俺はそれが優しい運転手の車のナンバーであることに気づいて、その車を見た。
運転席と助手席に一人ずつ、助手席にいる人はイヤホンをしている。そのプラチナブロンドのロングヘアから女性だと分かった。
あれ、あの運転手、前に会ったことある感じがする。どこだ、記憶がある時の話だからつい最近だ。雰囲気が似ている人に会ったことがある気がする。
いまいち思い出せない。つい最近のことのはずだ、誰だろうわああああ
俺が後ろを向いているのにも考え事をしているのにもお構いなく、車のスピードがどんどん上がっていく。
やっとのことで前を向くと、車がホテルとは違う方向に向かっていることが分かった。それも猛スピードで入り組んだ路地の中を走っっている。
もうどこを走っているんだかわからなくなった。まあ車にはナビがついているから問題はないのだが。
ようやく車が見えなくなった。どうも振り切ったらしい。
ナナミが疲れたのか少し早いけどお昼にしようと言い出した。時間は11時半、まあまあな時間だからOKを出した。
すかさず車がファミレスに入る。時間的に7人席は空いてるかどうか微妙だ。
タカネが撮った追跡車の写真を確認する。
「あれ、この人見たことない?」と運転席をアップした画像を見せる。画面いっぱいに運転手が映っていた。
みんなどっかで見たことある気がするとは言ったものの、誰だか思い出せなかった。
ようやく昼食が来た。全員で外食をするのは初めてだろうか。昼食のひと時は、楽しい会話で盛り上がっていた。




