第十二話 防衛戦
俺の傍らではユウイチが次々と引き金を引いている。見ると後ろから弾倉が送られ、逆に使い終わったのを後ろに戻している。3~4個の弾倉を使い回しているようだ。
俺は出てきた薬莢をひたすら回収して撃つだけ、一発で二発撃てる優れた銃弾の活躍と階段の狭さで何とか食いとどめている。時々突っ込んでくるやつがいるが、そういうのは左手で火の玉を作って火炎放射の要領で近寄らせない、けど当てないくらいのすれすれまで炎を伸ばす。だってまるこげはさすがにいやでしょ。
そんなことが10分くらい続いた。本気で頭が痛い。おまけに熱っぽい。俺はできる限り薬莢を撃つ威力を弱め、回復を図った。まあわかりきってはいたけど一向に良くはならない。けど倒れるまでの時間を稼ぐことができる。
そんな風にしてへとへとになりながら、もう10分ほど粘った。一向に敵は減らない。ていうかむしろ増えている気さえする。いったい何人いるんだ。
流石にそろそろ限界に近付いてきた。俺は仕方がなく、一度薬莢を撃つのをやめて、机の裏にいるナナミたちに入り口の近くに来るように言い、思いっきり目の奥に力を込めた。
そして俺は、一階の階段の入り口がある方向を見つめて、全力を出した。
少しすると、水の流れる音がしてきた。ここの地下室はかなり広いので、ある程度の水ならそうは浸水しない。その一方で階段は、狭いうえに急で、水を流せば確実に人が流れる位の勢いがつく。そうやって階段のところにいる相手をここまで引きずり降ろせば、ナナミの武術やリュウやユウイチの怪力もいかんなく発揮される。そうすればナギサとタカネで拳銃1丁という何とも効率的な戦いができる。
が、引きずり降ろしたその時、上からまた違う足音がした。運よくコンクリートに頭をぶつけて敵は気絶している。が、俺は思わず身構えてパチンコ玉を取りだす。地下室に入る階段の出口にめがけて照準をあわせて、いつでも撃てるようにする。
あと5m、4m、3m、2m、1m、来た!俺が撃とうとした相手はなんと-
ナナミのお父さんだった。見ると後ろに何人もの兵がいる。ようやくほっとして、床に座り込もうとしたとき、また意識がもうろうとしてきた。
なんとか意識を失うのは避けられた、が、体が持たない。俺は自室に行って、寝ることになった。
小一時間程寝ただけで、ずいぶんとよくなった。その間にナナミたちが何を話したのかはよく知らない。
まあとにかく今日はじっくり休んで、明日にでも決まったことを聞こう。
地下室の片付けは軍に任せるとして、俺はまた考えごとを始めてしまった。
写真の人物、UNKNOWNが送ってきたウイルス、ナイトバロン、そして発信源に設置されていた巧妙な爆弾、そして今回のアジトへの急襲、どうも狙われている気しかしない。そしてたぶん、アジトの場所を知られたのは、誰かに追跡されていたから。なんの目的があってやっているのだろう。
確か俺はUNKNOWNに関係があるからここに来た。ということはUNKNOWNは俺を狙っているのか?でもそれじゃあウイルスの説明がつかない。俺とタイチの情報はナイトバロンでは一切漏れなかったわけだし。
あーもう、頭が痛い。俺は一度起きて、水を飲んだ。ったく、何でこうも頭がいたくなるのか。お陰様で寝ようと思っても寝れない。
ようやく片付けが済んだということで、ナギサが「体調はどう?」と俺に気を使って部屋に来てくれた。見ると、後ろにナナミが。何か話があるのかと思って体を起こすと、ナナミが口を開いた。
「明日ここを引っ越す。用意できるか?」
危険なところにいつまでもいるわけにはいかないし、引っ越すのは構わないんだけど、どこに引っ越すんだ?
俺が聞くと、「行ってからのお楽しみよ」と笑いながら答えてくれた。
まあ明日出るわけだから決まってないわけはないだろう。どこに行くのか、そんなこと気にしている余裕もなく、俺は引っ越しの準備を始めた。




