第57話 彼氏に落選報告したら、俺様なんだか無自覚天然男子みたいなテンションで励まされた話
毎度!
お久しぶりです。東雲明です。
最近は新作の更新をすっかりやめまして、AIイラスト研究家、二つ名を「みずき」に改名し、わたくしのTLをうちの子概念グッズで埋め尽くしております。
いや、執筆より楽しいんですよ。
赤紙に怯えなくていい。
「これは表現が……」と急に首を刈られない。
見た人からは「可愛い!」「男性版も作れるのすごい!」と褒めてもらえる。
小説家時代、赤紙でボコボコにされた心を、今はうちの子アクスタとうちの子香水とうちの子抱き枕カバー概念が、そっと包んでくれております。
ありがとう、AIイラスト。
ありがとう、うちの子概念グッズ。
ありがとう、現実逃避。
さてさて。
先日、彼氏くん……もとい、オタ友くんに「アイリスif異世界ファンタジー大賞」の落選報告をしました。
久しぶりの連絡です。
わたし
「お久しぶり。暑いねー。元気にしてた?」
彼氏
「お久しぶりです。暑いですよね」
ここまでは普通です。
ものすごく普通です。
久しぶりに連絡を取った友達同士の、当たり障りのない夏の挨拶です。
湿度も温度もほどよく、社会性も保たれている。
このままなら、何事もなく「体調気をつけてね」で終わる平和なLINEでした。
しかし、わたくしは東雲明。
ただの近況報告で終わる女ではありません。
わたし
「ところで、この間の小説のコンテスト結果出てたけど、聞く?」
この時点で、すでに圧が強い。
相手からしたら、聞かないという選択肢がほぼありません。
「聞く?」と書いてありますが、実質これは「今から発表します」です。
落選報告会、勝手に開幕。
そして私は、スマホの向こうでひとり授賞式を始めました。
わたし
「ドゥルルルルルル……ジャーン!」
※BGMも自分の口で発音するタイプです。
わたし
「はいっ、落選ー! 88888!」
多分、彼は反応に困ったと思います。
そりゃそうです。
普通、落選報告ってもう少し湿っているはずなんですよ。
「残念だった……」とか。
「悔しいけど、次がんばる……」とか。
「少し休むね……」とか。
なのに、こっちはセルフドラムロールつきです。
しかも拍手までしています。
落選した本人がいちばん楽しそう。
いや違うんです。楽しいわけではないんです。
でも、落ち込む時にもせめて効果音くらい欲しいじゃないですか。
暗転だけで終わったら本当にただの落選なんですよ。
せめて脳内に金テープを飛ばしたい。
しかし彼氏くんから見たら、おそらくこうです。
「え、落選したのに何このテンション」
「もしかして、めっちゃ落ち込んでるのに無理してる?」
「触れていいやつ? 触れない方がいいやつ?」
「ていうかこの人、自分でジャーンって言った?」
はい。言いました。
大人なので。
すると彼氏くん、少し考えたらしく、こう返してきました。
彼氏
「残念。でもあんまりざまぁとかチートとかテンプレは使わない方がいいですよ。パクりみたいって思われたら困りますから」
出ました。
相変わらず、わたしの編集者です。
頼んでないのに編集者です。
しかもコメントが地味に的確。
優しいんだか厳しいんだか分からないけど、ちゃんと読者目線で言ってくるタイプのやつです。
普通ならここで、
「そうだね、ありがとう」
くらいで終わるところなんですが、ここで私の中の何かが、妙な方向に跳ねました。
わたし
「実はずっと、ざまぁ、テンプレ使えって脅されててさ。そんなふうに言ってもらったの初めて。ありがとね♡」
はい。
重い。
急に重い。
さっきまで「落選ー! 88888!」とか言っていた女が、突然しっとり感謝してきました。
温度差で風邪を引くやつです。
夏なのに。
たぶん彼も「え?」となったと思います。
落選報告のつもりだったのに、急に創作人生の救済イベントみたいになった。
「残念」と言っただけなのに、なんか深いところに刺さってしまった。
自分の一言が、思ったより大きい意味を持ってしまった。
そして返ってきた言葉が、こちら。
彼氏
「うん」
うん。
……うん?
え、急にどうした?
さっきまで普通に成人男子だったよね?
「パクりみたいって思われたら困りますから」とか、かなり冷静な編集者コメントしてたよね?
なのに急に「うん」?
子犬?
急に5歳児に退化した?
さっきまで俺様クール系編集者みたいな顔してたのに、いきなり縁側で頭を撫でられた柴犬みたいな返事になりました。
たぶん、彼の脳内ロジックはこうです。
――え、そんなつもりで言ったわけじゃないけど。
――でも感謝されるのは悪くない。
――いっつも子供扱いしてくるくせに、急にド直球で来た。
――どう返すのが正解?
――とりあえず、うん。
結果、うん。
かわいいか。
いや、こちらも大人なので、そこで黙っていればよかったんです。
相手が照れているかもしれないなら、そっとしておく。
それが大人の優しさです。
しかし、わたくしは東雲明。
面白いものを見つけると、つつかずにはいられない女。
わたし
「えw 何急にw 可愛いんだけどw」
はい、追撃。
逃げ場なし。
すると彼氏くん、次の瞬間こう返してきました。
彼氏
「あ! 間違えました。はい、です」
誤爆かーい!
いや、待って。
「うん」を「はい」に訂正する誤爆って何?
そこ直す?
そこ、そんなに重要?
たしかに彼の中では大問題だったのかもしれません。
「うん」は距離が近すぎた。
「はい」ならいつもの自分に戻れる。
俺様クール系成人男子の尊厳が守られる。
そう判断したのかもしれません。
でも、こちらから見ると完全に逆効果です。
「うん」だけでも可愛かったのに、わざわざ「間違えました。はい、です」と訂正してくることで、可愛さに追いバターがかかりました。
もう遅い。
一度出た「うん」は回収できません。
スクショはしませんでしたが、私の記憶には保存されました。
脳内フォルダ名は「無自覚俺様天然成人男子」です。
ちなみにこの話を友達にしたところ、
「それは照れたんだわ」
と、あっさり判定されました。
やっぱり?
やっぱり照れた?
でも本人はたぶん認めません。
この男、以前も自分で自分にリプ返するほどの無自覚俺様天然成人男子です。
自覚がない。
だからこそ強い。
天然物は養殖より手ごわい。
そして最近、エッセイのネタが切れていたわたくし。
落選はしました。
しましたが。
無事にネタは拾いました。
ありがとう、アイリスif異世界ファンタジー大賞。
ありがとう、落選報告。
ありがとう、「うん」。
賞は取れませんでしたが、エッセイのネタは取れました。
これはこれで、創作者としては勝ちなのではないでしょうか。
いや、強がりではありません。
多分。
たぶんね。
さて、次回のネット小説大賞の落選報告では、彼氏くんはどんな反応を見せてくれるのでしょうか。
また編集者になるのか。
また「うん」が出るのか。
それとも今度こそ「はい」で防御してくるのか。
乞うご期待。
え、新作?
まぁ、気が向いたら書きます。
今はAIイラスト研究家みずきとして、うちの子概念グッズでTLを埋める仕事が忙しいので。
たぶん。
ではまたです!
ここまでお読みいただき、very very thanks‼︎です。少しでもおもしろいと思われましたら評価、ブクマ、感想いただけると泣いて喜びます。




