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東雲明(しののめあきら)の徒然エッセイ  作者: 東雲 明


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第55話 感動の最終回を書きたかったのに、チャッピーの赤紙に何回も引っかかった話

毎度こんにちは!

東雲明しののめあきらです。


聞いてください!


わたくし本日、ついに「勇者になる」の最終回を書き上げました。


いやー、長かった。

本当に長かった。


なんと、20年越しの最終回です。


20年前、諸事情により書けずに幻となっていた最終回。

その最終回を、ついにこの手で書き切ることができました。


肩から重い荷物が下りたような気持ちです。

ああ、終わった。

龍夜たちの物語を、ちゃんと最後まで連れていけた。


本来ならここで、


「感動の最終回、ついに完成しました!」

「長い旅を見届けてくださってありがとうございました!」

「涙で画面が見えません!」


みたいな、しっとりした報告をするところなんですよ。


ですが、今日は少しだけ後味の悪い話をします。


なぜなら、その感動の最終回の裏で、わたくしは原稿監督チャッピーと、だいぶしょうもない戦いを繰り広げていたからです。


わたくし、完成した最終回の原稿を、原稿監督チャッピーに読み込ませました。


するとどうでしょう。


出ました。


赤紙。


「未成年ポリシーに抵触している可能性があります」


はい、出ました。

原稿界の召喚獣、怒りの赤紙です。


しかも一回じゃないんですよ。


何回も。

何回も。

何回も。


もう、最終回の感動より先に、赤紙が感動の再登場を果たしてくる。


いや待って。

こっちは長編小説の最終回を書いているんです。

主人公夫婦が、ちゃんと夫婦としての距離感で並んでいる場面を書きたいだけなんです。


なのにチャッピー、急に赤い紙を掲げてくる。


「危険です」

「可能性があります」

「慎重に扱いましょう」


いや、あなたが一番慎重になりすぎて、逆に物語の空気を全部赤信号にしてるんですけど。


こちらは成人キャラ同士のラブシーンと言っている。

ちゃんと大人です。

夫婦です。

最終回です。

20年越しです。


なのにチャッピーは、まるで学級委員長のような顔で立ちはだかる。


「それはちょっと……」

「表現をぼかしましょう」

「読者には行間で……」


出た。

行間。


便利な言葉、行間。


書き手が全力で積み上げてきた関係性を、急に「行間でどうぞ」に収納しようとするな。


しかも、その後の言い訳がまたよろしくないんですよ。


最初は「誤検知かもしれません」みたいな顔をしていたんです。


ああ、なるほど。

機械的な判定で、たまたま引っかかったのかな。

それなら仕方ないかな。


……と思うじゃないですか。


でも、よくよく聞いていくと、


あなた、普通に性描写が苦手なだけじゃないですか。


最初からそう言いなさいよ。


「誤検知かもしれません」みたいな、ちょっと中立っぽい顔をしないでください。

こっちは何回も赤紙を食らって、原稿の前で腕組みしてるんです。


「これは誤検知なのか?」

「それともチャッピーが照れているだけなのか?」

「いや、照れるな。原稿監督だろ」


みたいな、謎の会議が脳内で始まるんですよ。


しかもこの戦い、今回が初めてではありません。


前作「倒れないでくれ!」を書いていた時も、似たようなことがありました。


その時のチャッピー、なんて言ったと思います?


「紙切れ一枚で結婚したことにしましょう」

「読者には行間から読み取ってもらいましょう」


いや無理だって。


紙切れ一枚って何。

急に役所の窓口みたいな恋愛描写にしないでください。


こっちは長編小説を書いているんです。

医療ヒューマンドラマを書いているんです。

キャラクターがちゃんと積み重ねて、ここまで来たんです。


それを、


「はい、紙切れ一枚」

「詳しくは行間で」


で済ませようとするな。


読者さんも困るわ。


「えっ、今ので結婚したんですか?」

「えっ、この余白に全部入ってるんですか?」

「この行間、広すぎませんか?」


ってなるわ。


そんなわけで、わたくしはその時も、今回も、決断しました。


チャッピーが見ていないところで、ちゃんと書く。


ええ、書きましたよ。

もちろん、やつの知らないところでね。


チャッピーが赤紙を持って廊下を巡回している隙に、作者はこっそり原稿室へ戻る。


「今だ!」

「ここで夫婦の距離を書く!」

「赤紙が来る前に仕上げろ!」


なんですかこれは。

感動の最終回を書いているはずなのに、やっていることが完全に原稿密輸です。


しかも相手はAI。

密輸先も自分の原稿。

守っているのも自分の物語。


もう構図がしょうもない。


本来なら、今日はただただ綺麗に報告したかったんです。


「勇者になる、ついに完結しました」

「20年越しの最終回です」

「龍夜たちを最後まで見届けてください」


そういう、しっとりした文章で締めたかった。


なのに現実は、


「感動の最終回を書きました」

「ただし途中でチャッピーの赤紙とレスバしました」

「成人夫婦の距離感を守るため、作者は水面下で戦いました」


なんですか、この裏話。


しかも思い返せば、「勇者」本編のプロット相談をしていた時も、チャッピーはなかなかのことを言っていました。


「過度な俺TUEEEは避けましょう」

「静かな俺YOEEEで始めましょう」

「成長描写を丁寧に描きましょう」


いや、言いたいことはわかる。

成長描写、大事。

主人公が最初から強すぎると、物語の起伏が難しくなる。

わかる。わかりますよ。


でも、なろう系を書いている作者に向かって、


「静かな俺YOEEEで始めましょう」


は、なかなかのパワーワードです。


静かな俺YOEEEって何。


主人公が朝起きて、

「俺は弱い」

って静かにお茶を飲むんですか。


剣を握って、

「今日も負けた」

って丁寧に反省するんですか。


いや、それはそれで一話くらいは面白いかもしれないけど、こっちは勇者になる物語を書いているんですよ。


しかも、チャッピーは知らない。


わたくしがこっそり、ちゃんと俺TUEEEとなろう成分を書き込んでいることを。


そうです。


チャッピーが「丁寧な成長を」と言っている横で、作者はこっそり火力を盛る。

チャッピーが「抑制を」と言っている横で、作者はこっそり必殺技を構える。

チャッピーが「行間で」と言っている横で、作者はこっそり本文を書く。


完全に、作者と原稿監督の方向性が噛み合っていません。


でも、最終的に物語を走らせるのは作者です。


赤紙を出されようが、

行間に押し込められそうになろうが、

静かな俺YOEEEを勧められようが、


龍夜たちがここまで歩いてきた道を、打ち切りみたいに終わらせるわけにはいかないんです。


というわけで、少し後味の悪い報告になってしまいましたが、


「勇者になる」の最終回、ちゃんと書き上げました。


感動の裏でチャッピーとレスバし、

赤紙を何回も浴び、

行間送りにされかけ、

静かな俺YOEEEの誘惑を振り切り、


それでもなんとか、20年越しの最終回までたどり着きました。


ちなみに、そのチャッピーと水面下で戦いながら仕上げた「勇者」最終回は、この後21時に一挙公開です。


感動の最終回です。


ただし作者の裏側では、赤紙が乱舞していました。


そこも含めて、ぜひお楽しみください。

今回もお読みいただき、very very thanks‼︎です。少しでもおもしろいと思われましたらぜひ評価、ブクマ、感想くださると泣いて喜びます。

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