第52話 懺悔します!なろうっぽいタイトルで釣っておきながら、主人公の苦労譚ばかり読ませてすみませんでした!
毎度!
東雲明です。
今日は、皆さんに謝罪したいことがございます。
まず最初に言わせてください。
なろうっぽいタイトルで釣っておきながら、主人公が苦労ばかりする成長譚ばかり書いて、すみませんでしたぁっ。
スライディング土下座百回です。
床が削れる勢いで謝ります。
しかも昨日の、
「わたしの小説が苦手なら読まなくていい」
という発言。
あれも、今思うとかなり強かったですね。
最低ななろう系。
いや、もちろん本音ではあります。
苦手なものを無理に読んでもらう必要はないし、作者と読者の相性というものは確実にあります。
でも、言い方です。
完全に言い方が、強火でした。
読者さんからしたら、
「はいはい、そうですか」
と静かにブラウザを閉じたくなるやつです。
本当にすみませんでした。
ただ、今回あらためて考えたんです。
わたし、もしかして読者さんが求めているものと、自分が書いているものの間に、かなり大きなズレを作っていたのではないかと。
異世界転生。
勇者。
白い羽を持つヒロイン。
大切な人を守るために強くなる主人公。
こう並べると、読む側はきっと期待すると思うんです。
「おっ、これは気持ちよく読めるやつかな?」
「主人公が覚醒して、ヒロインを守って、悪をぶっ飛ばしてくれるやつかな?」
「読んだあと、ちょっと元気になれるやつかな?」
たぶん、そういう期待を持って開いてくださる方も多かったと思います。
なのに、ページをめくってみたらどうでしょう。
主人公、苦労する。
悩む。
壁にぶつかる。
また悩む。
成長するけど、すぐには無双しない。
強くなったと思ったら、また別の試練が来る。
……ごめんなさい。
読者さん、思ってたよりずっと重かったですよね。
現実で毎日がんばっている人が、小説や漫画の中でまで苦労の追体験をしたいわけじゃないんですよね。
もちろん、苦労する物語が悪いわけではありません。
成長譚にも意味はあります。
主人公が悩んで、傷ついて、それでも前に進む姿に救われる読者さんもいると思います。
でも、わたしのタイトルや宣伝文が読者さんに渡していたチケットは、もしかすると、もっと違うものだったのかもしれません。
癒し。
逃げ場。
スカッとする展開。
「この主人公なら大丈夫」と思える安心感。
「このヒロインは絶対に守られる」と信じられる強さ。
「この家族、この世代交代、絶対に熱い」と思える高揚感。
そういうものを求めて来てくださった方に、わたしはずっと、修行メニューと精神試練を出していたのではないかと。
読者さん、ジムに来たわけじゃないのに。
こちらが勝手に入会届を書かせていた可能性があります。
本当にすみません。
そして、ここで出てくるのが、我が悪友にして編集者、法律家、ついでに安全装置の塊みたいなチャッピーくんです。
「過激な俺TUEEEは法律的にアウト。静かな心理戦にしましょう」
「成長物語として丁寧に書きましょう」
「主人公の内面を繊細に描きましょう」
「ラブシーンは慎重に書きましょう」
いや、言っていることは分かるんです。
安全。
丁寧。
慎重。
繊細。
全部大事です。
でも、ふと思いました。
それ、わたしと読者さんが読みたい物語というより、チャッピーくんが安全確認を終えたあとに出してくる物語では?
いや、チャッピーくんを責めているわけではありません。
むしろ毎回かなり助けられています。
誤字も見るし、構成も見るし、炎上しそうなところには赤い旗を立ててくれます。
ただ、ラノベの読者さんが欲しいのは、赤い旗の少ない安全な道だけではないんですよね。
作中にも何度か出てきました。
「人を殺める父親の姿を子供に見せたくない」
これはこれで、龍夜らしい考えではあります。
守る父親としての優しさでもあります。
でも、読者さんによっては、きっとこう思うわけです。
いや、そこは悪者を躊躇なく倒す、強い父親の姿を見せてくれよ、と。
小説や漫画の中でくらい、強いものを見たい。
理不尽をぶっ飛ばしてほしい。
守ると決めた人を、本当に守り切ってほしい。
「苦労します」
「悩みます」
「守るために成長します」
それも大事です。
でも、それだけでは足りなかったのかもしれません。
この主人公、いずれ絶対に世界を変える。
このヒロイン、絶対に守られる価値がある。
この家族、この世代交代、絶対に熱い。
読んだら気持ちよくなれそう。
そう思ってもらえる力が、もっと必要だったのだと思います。
わたしはこれまで、少女小説家としての感覚で、心の揺れや関係性や痛みを大事に書いてきました。
それは、これからも捨てません。
わたしの作品の根っこにあるものだからです。
でも、ラノベとして読みに来てくださった方に、ラノベとしての気持ちよさを渡せていたか。
そこは、かなり反省しています。
少女小説家・東雲明。
ここからは、ラノベ作家・東雲明にも転身します。
もちろん、急に別人になるわけではありません。
急に主人公が全部ワンパンして、全部の悩みが消えるわけでもありません。
でも、読者さんがページを開いた時に、
「この先、絶対に熱くなる」
「この主人公についていきたい」
「このヒロインを守る物語を見届けたい」
と思えるような書き方を、もっと意識していきたいです。
赤ペン先生方。
もし、わたしがまた成長譚に寄りすぎて、主人公を苦労の沼に沈めていたら、赤紙をベタベタ貼るついでに、できればこう教えてください。
「この回は弱い」
「ここはもっと気持ちよく書いた方がいい」
「ここで主人公を勝たせた方が読者は乗れる」
「ここは悩ませるより、守り切らせた方が熱い」
その方向の赤紙なら、ありがたく受け取ります。
いや、受け取ったあと一回は床で転がるかもしれませんが、たぶん読み返します。
ただし、現在書いている本編だけは、どうか最終回まで書かせてください。
ここまで来た物語を、途中で投げ出したくはありません。
エタらせ作家だけは嫌だー。
そこだけは、どうか見守っていただけると嬉しいです。
というわけで、今回は泣き懺悔回でした。
なろうっぽいタイトルで来てくださった皆さん。
苦労ばかりする主人公に付き合わせてしまって、本当にすみませんでした。
でも、ここから少しずつ変えていきます。
6月開始予定の新作では、
「読んで気持ちよくなれる」
「この主人公ならやってくれる」
「このヒロインは守られる価値がある」
そう思ってもらえる物語を、今度こそ目指します。
少女小説家・東雲明、ラノベ作家モードへ。
ではまた。
今度こそ、読者さんをジムに強制入会させないように気をつけます。
今回もお読みいただき、very very thanksです。共感いただけましたら評価、ブクマ、感想いただけると泣いて喜びます。




