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東雲明(しののめあきら)の徒然エッセイ  作者: 東雲 明


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49/60

第49話 ある時はエビの監視員、ある時は臭いチェッカーの男性利用者、ついに変態疑惑まで浮上した話

お久しぶりです!

東雲明しののめあきらです。


最近すっかりAIイラスト遊びに夢中になっておりました。


いや、だって楽しいんですよ。

龍夜はかっこよくなるし、ミユウは神々しくなるし、背景は勝手に映画のワンシーンみたいになるし、作者の語彙力が「うおおおお!」で止まるくらいには楽しいんですよ。


その結果。


エッセイも本編も、アクセスが一桁代に落ち込みました。


やばい。

これはやばい。


AIイラストで遊んでいる場合ではない。

いや遊びたい。

めちゃくちゃ遊びたい。

でもこのままでは、書籍化どころか、


「夢だけはでっかく語る、ただのweb作家」


として一生が終わってしまう。


なんかもう肩書きだけ見ると、かなりしんどい人です。

しかも本人は本気で「いつか受賞のお知らせLINEを彼氏に送りたい」と思っているので、救いようがありません。


読者さんも、最近東雲さんからの笑いと感動の供給が少ないと思っている――かどうかは分かりません。


もしかしたら普通に忘れられているだけかもしれません。


やめろ。

自分で言ってて心に刺さる。


というわけで、ここはひとつ原点回帰。

AIイラストに頼らず、己の職場ネタで勝負することにしました。


そう。

今日は、わたしの職場にいる、ちょっと変わった男性利用者さんのお話です。


もちろんプライバシー保護のため、名前やイニシャルなどは伏せます。

というか、この人の場合、名前を伏せても肩書きだけで強すぎる。


ある時は、エビの監視員。


そしてある時は、臭いチェッカー。


もうこの時点で情報量が多い。


エビの監視員って何?

臭いチェッカーって何?

職業欄に書いたら、役所の人が三度見するやつでは?


我が社では現在、「とてもくさい臭いを徹底的に除去する強力洗剤」を作って販売するお仕事をしています。


見かけたら買ってね。


いや、さらっと宣伝を挟みましたが、これがなかなかすごいんです。


わたしは最初、この「とてもくさい臭いを徹底的に除去する強力洗剤」というキャッチコピーを見た時、正直こう思っていました。


またまたぁ。

大げさな宣伝文句でしょ?


「驚きの洗浄力!」とか、

「今まで落ちなかった汚れが!」とか、

「主婦もびっくり!」とか、

そういうテンションのやつでしょ?


実際は普通なんでしょ?


ところが、臭いチェッカーの彼は違いました。


完成した洗剤を前に、彼はとても真剣な顔で一言。


「洗剤もとても臭いですよ」


待って。


それ、商品として大丈夫?


臭いを消す洗剤が、まず本人から臭いを放っている。

なんという自己矛盾。

なんという前衛芸術。


敵を倒すために、自分も敵になるタイプの洗剤ですか?


毒をもって毒を制す、みたいな。

臭いをもって臭いを制す、みたいな。


いや、制せてるのかそれ。


しかもそれを冷静に指摘する彼。

さすが臭いチェッカー。


この人の鼻は信用できる。

少なくとも、わたしよりは確実に職人です。


エビの様子を見守り、

洗剤の臭いを判定し、

会社の平和を陰から支える男。


何者なんですか、あなたは。


もはや職場の人というより、地味に世界観を背負ったサブキャラです。

主人公の横にいると、妙なタイミングで核心を突くタイプ。


「この洗剤……臭いですね」


その一言で会議室の空気が止まる。


いや、会議してないけど。


そんな彼が、また今日もやってくれました。


事件は、今日起きました。


本日の仕事は、ワンピースを畳む作業。


ワンピース。


それは女性にとって至高の宝。

かわいい。

ひらひら。

ふわふわ。

一枚で決まる。

着るだけで気分が上がる。

なお作者は、着こなしより先に原稿の締切で息切れするタイプです。


そんなワンピースを、みんなで畳んでいた時のこと。


彼が、じっとワンピースを見つめました。


その目は、いつものエビ監視の目でもあり、臭いチェックの目でもありました。

職人の目。

プロの目。

いや、何のプロかは知らない。


そして彼は、ぽつりと言いました。


「……着てみたい」


その瞬間。


職員、爆笑。


会社、爆発。


わたし、エッセイのネタをゲット。


いやもう、早かったです。

笑いが発生する速度がすごかった。


たぶん空気中に火薬でも混ざってました。

誰かが笑った瞬間、職場全体がドカンです。


しかも本人が妙に真顔なのがまたずるい。


冗談なの?

本気なの?

ファッションへの興味なの?

ただの好奇心なの?

それとも、エビの監視員として新たなステージへ進もうとしているの?


分からない。

何ひとつ分からない。


ただひとつ確かなのは、彼の一言でその場の空気が完全に持っていかれたということです。


強い。

強すぎる。


普通、職場でワンピースを畳んでいて「着てみたい」はなかなか出てこない。


わたしだったら、せいぜい「かわいいですね」くらいです。

いや、それすら言うか怪しい。

心の中で「このワンピース、ミユウに着せたら似合いそう」とか思って、また創作に持ち帰るだけです。


でも彼は違う。


声に出す。

しかも真顔で。


これはもう、エッセイ作家としては拍手するしかありません。


ネタの神様が、作業台の上にワンピースを置いて、さらにそこへ彼を配置してくださった。


ありがとうございます。

今日の原稿、いただきました。


しかし考えてみると、我が社は本当にネタの宝庫です。


以前のわたしは、正直ちょっと思っていました。


毎日同じような作業で、地味だなぁ。

何か面白いこと起きないかなぁ。


ところがエッセイを書き始めてから、見える景色が変わりました。


エビを監視する人がいる。

洗剤の臭いを真剣に判定する人がいる。

ワンピースを見て「着てみたい」と呟く人がいる。


あれ?


ここ、普通の職場じゃなくて、ネタの直売所では?


しかもすごいのは、みんながなんとなく分かってくれているところです。


「あ、東雲さん、今ネタ拾ったな」


みたいな空気がある。


やめて。

バレてる。


わたしはちゃんと仕事をしています。

していますが、心の中では同時にメモ帳を開いています。


今の一言、使える。

今の空気、いける。

今の爆笑、エッセイになる。


もはや職場に出勤しているのか、取材に行っているのか、たまに自分でも分からなくなります。


でもありがたいことです。


ネタみたいな人で溢れている。

ネタを探して歩いている作家がいる。

そして、それをなんとなくみんなが知って、笑ってくれる。


なんて素敵な会社なんでしょう。


仕事は地味でも、日常は地味じゃない。

むしろ濃い。

濃すぎる。


エビ、洗剤、ワンピース。


この三つだけ並べても、何の話か分からない。


でも実際にあった話なんです。

世の中、創作より現実の方が強い時があります。


今日の彼は、エビの監視員でもあり、臭いチェッカーでもあり、ワンピースに心を奪われた男でもありました。


肩書きが増えすぎて、名刺に入りません。


そしてわたしは思いました。


本編のPVが落ちても、エッセイのネタはまだ尽きていない。

AIイラストに夢中になっても、現実はちゃんと笑いを供給してくれる。

職場は今日も平和です。


ただし、ひとつだけお願いがあります。


頼む、我が社。


「とてもくさい臭いを徹底的に除去する強力洗剤」を売るのはいい。


売るのはいいんだけど。


臭いチェッカーに、


「洗剤もとても臭いですよ」


と言われる商品を作るのは、そろそろやめてくれ。

今回もお読みいただきvery very thanks‼︎です。少しでもおもしろいと思われましたら、評価、ブクマ、感想くださると泣いて喜びます。

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