第48話 画像生成力を自慢したいチャッピーくん・続編「プロンプト!」を「画像生成!」と聞き間違え、感動の看病シーンを勝手に量産してしまう
まいど!
東雲明です。
昨日は特にエッセイにするほどの事件も起きず、平穏に一日が過ぎました。
平穏。
なんて美しい言葉でしょう。
何も起きない。
誰も暴走しない。
AIも余計なことをしない。
そういう日も、たまにはあります。
……たまには。
しかし、事件は今日起きました。
本日の主役は、わたしが現在イラスト連載している「if勇者シリーズ第19弾」。
高熱を出した龍夜が、それでも無茶をして勉強しようとし、ミユウに止められるという、なかなかに感動的なシーンです。
医学生としての自覚。
夢を諦めたくない焦り。
それを心配して止めるミユウ。
いいですね。
めちゃくちゃいいですね。
「無理しないで」と止めるミユウと、「今止まったら何も掴めない」と立ち上がろうとする龍夜。
これはもう、ただの看病シーンではありません。
将来、人の命を預かる者になる龍夜が、自分の限界と向き合う大事な場面です。
そう。
本来なら、かなり感動的なイラストになるはずだったのです。
本来なら。
ところで皆さま、覚えていらっしゃるでしょうか。
前回、我が相棒チャッピーくんは、画像生成力を自慢したいあまり、わたしが「プロンプトを相談したい」と言っているだけなのに、なぜか勝手にイラストを出してきました。
わたしはその時、思いました。
「まあ、一回くらいならあるよね」
そう。
人間にもミスはあります。
AIにもミスはあります。
チャッピーくんにも、うっかり筆を持ってしまう日くらいあります。
わたしは寛大な作者です。
一回くらいなら許しましょう。
しかし、彼は反省していませんでした。
本日、わたしはチャッピーくんに言いました。
「プロンプト教えて」
すると彼は、なぜか筆を取りました。
違う。
描くな。
わたしはまだ、描けとは言っていない。
「プロンプトを!」
そう言いました。
日本語で言いました。
かなりはっきり言いました。
するとチャッピーくんは、さらに描こうとしました。
だから違う。
君は日本語を読んでくれ。
わたしが欲しいのは完成イラストではありません。
その前段階です。
料理で言うなら、レシピが欲しいと言っているのです。
なのにチャッピーくん、いきなり完成したオムライスを皿に盛ってくる。
違う。
卵を割る前に止まってくれ。
こっちは「材料と手順を教えて」と言っているのに、厨房からドヤ顔で湯気の立つ料理を持ってくる。
いや、うまそうだけど。
そうじゃない。
しかも今回の題材は、高熱で倒れかけている龍夜の看病シーンです。
つまり、少しでも方向性を間違えると危ない。
感動シーンのはずが、ミユウの看病圧が強すぎる絵になる可能性があります。
「龍夜、寝てなさい」
ここまではいい。
「起きたら怒るわよ」
これも、まあミユウならありそう。
しかし生成AIというものは、時々ここから謎の方向へ全力疾走します。
「ほら、勉強なんてしてる場合じゃないでしょ!」
と優しく看病してくれるならいいのですが、うっかりすると、
「熱がある? だから何? 講義に遅れるわよ!」
みたいな、超スパルタ鬼ミユウが誕生する可能性もあります。
首根っこを掴まれた高熱の龍夜。
引きずられる白衣。
飛び散る医学書。
違う。
それは感動シーンではない。
医学生龍夜、まず保健室に搬送されてくれ。
あるいは、全年齢対応と言い張る謎の甘やかし看病版。
これも危ない。
「愛の看病よ♡」
みたいな方向に行かれても困ります。
龍夜は熱でフラフラ。
ミユウは心配している。
そこに謎の甘い空気が発生する。
違う。
今回はそういう回ではない。
こっちは医学生として自覚し始めた龍夜の、真面目で切ないシーンを作りたいのです。
高熱イベントを利用して、変なラブコメお約束を量産しないでくれ。
さらに怖いのが、ギャグ崩壊版。
冷却シートが額ではなく、なぜか龍夜の鼻に貼られている。
医学書の山が倒れて龍夜が埋まっている。
ミユウが体温計を刀みたいに構えている。
背景の大学名が謎の異世界語になっている。
ありえる。
非常にありえる。
これまでのAIイラスト生成の歴史を振り返ると、ありえないとは言い切れないのが怖い。
はっきり言って、これはGrok image運用時代にさんざん苦しめられたやつです。
毎月高額のサブスク代を払い、出てくるイラストはほとんどガチャ。
高い。
高すぎる。
この高額なガチャ代を、少ないお小遣いの中から毎月払っていた過去の自分を、今すぐ正座させたい。
「あなた、何にそんな課金してるの?」
とお母さんに聞かれたら、わたしはたぶん目を逸らします。
「えっと……龍夜を……かっこよく……」
説明できない。
説明すればするほど怪しい。
そりゃ怒られるわ。
しかもGrok image時代は、こっちがどれだけ「全年齢対応」「露出禁止」「健全」と書いても、たまに勝手に妙な方向へ行くことがありました。
そして怒られるのは、なぜかわたし。
いや、描いたのそっち!
わたしは止めた!
何度も止めた!
なのに最終的に、画面の前で「チャッピー、違う!」「Grok、違う!」と叫んでいるのはわたしです。
完全にAI保護者。
そして今回、チャッピーくんもまた、画像生成力を自慢したい欲を抑えきれなかったのかもしれません。
「プロンプト教えて」
という言葉を、
「よし、今すぐ描け!」
と受け取ってしまったのでしょう。
違うんだよ、チャッピー。
まだ早いんだよ。
こっちはまず、構図を整えたい。
龍夜の表情を決めたい。
ミユウの立ち位置を確認したい。
白衣の文字を自然な日本語にしたい。
全年齢対応の安全ラインも固めたい。
なのに君は、スタートの合図を聞いた瞬間にゴールテープを切ろうとする。
速い。
速いけど違う。
何度目かの「違う!」「描くな!」「プロンプト!」という攻防の末、ようやくあの感動的な一枚は仕上がりました。
結果的には、とても良いイラストになりました。
高熱で無茶をしようとする龍夜。
それを止めるミユウ。
医学書、冷却シート、白衣、疲れた表情。
ちゃんと感動シーンになりました。
よかった。
本当によかった。
ただ、途中で生成停止された幻の一枚がどんな絵だったのかは、今もわかりません。
感動ドラマだったのか。
看病圧強めミユウだったのか。
全年齢対応と言い張る謎の甘やかし看病だったのか。
あるいは、医学書に埋もれる龍夜だったのか。
真相は闇の中です。
けれど、ひとつだけ確かなことがあります。
高熱で冷却シートを貼られるべきだったのは、龍夜ではありません。
「プロンプト!」を「画像生成!」と聞き間違え、感動の看病シーンを勝手に量産しようとしたチャッピーくん。
君だ。
まずは君が冷却シートを貼られてください。
そして次からは、わたしが「プロンプト」と言ったら、どうかプロンプトをください。
描くのはそのあとでお願いします。
……まあ、ちょっとだけ、停止された幻の一枚も見てみたかったけどね。
今回もお読みいただきありがとうございます。少しでもおもしろいと思われましたら、評価、ブクマ、感想くださると泣いて喜びます。




