20話 とび森な世界1 8/11
手渡されたそれを受け取り、ガサゴソとあかりがポケットにそれを入れた。
そして先ほどこゆきが言った、もうイベントはない、という言葉を思い出し、首を傾げる。
「あ、あれ……? ここで渡されるものなの……?」
「こういうシチュエーションだっけー」
「こういうのなのでしょうか……?」
「スコップかあ!! 使うのが楽しみだなあ!!」
せいなは不安そうに。
こゆきはそのシチュエーションにわくわくしたように。
つくよは思案するように。
あかりは楽しそうに。
4人はこそこそと意見を話し合った。
ゆっくりとスピードは落ちていき、電車はもうすぐ駅に着きそうだ。
見知らぬネコが4人に向き直り、大きな猫目を細めて言った。
『おしゃべりに 付き合ってくれて ありがとう! おかげで 楽しかったよ』
見知らぬネコがにへへと笑って頭をかいた。
「うん……自分たちも楽しかったよ……」
せいなが心から楽しそうに言った。他の3人も大きくうなずく。
『そっか! そりゃあ よかった!』
見知らぬネコがほっとしたように、またころころと可愛らしく笑う。
電車がゆっくりと停車し、『ほのぼの村』と駅名が書かれたホームに止まった。
「着いたよ!! もううちたちは降りるね!!」
あかりがにこにこと言った。
こゆきが手に持っている3DS以外には荷物もないが、4人はそれぞれよいしょと席を立ち、微笑んで、見知らぬネコに手を振った。
『うんうん! それじゃ、元気でね! バイバーイ!』
見知らぬネコも片手をあげ、明るく見送った。
先ほどはじめて会ったはずなのに、4人も古い友人に対するかのように大きく手を振り返した。
電車の扉がプシューッと開き、その向こう、ほのぼの村のホームの白い地面と、駅を出る大きな扉が見えた。
4人はばいばーいと手を振り返しながらホームに降りた。
『ほのぼの村ァ~、ほのぼの村ァ~、 ウッキー!』
えきいんさんがよくとおる大きな声で叫ぶ。
猿なのかチンパンジーなのかはたまたオランウータンなのか、一見何の動物なのかよくわからない彼は、4人が下りたことを確認すると、あかりたちに明るく言った。
『ほのぼの村へ、ようこそ! 引越してこられた あかりさん こゆきさん つくよさん せいなさんですよね?』
頭の上に「?」マークを浮かべて、えきいんさんがそれぞれの名前を呼んだ。
「合ってるよー」
明るいえきいんさんにつられて、こゆきが明るく答える。
その横で、びしっと素早い敬礼をしたあかりにせいながびくっとし、つくよが苦笑する。
『役場の者からの伝言で、村に着いたら まずは役場に来てください とのことです』




