20話 とび森な世界1 7/11
「こゆき、この後のイベントは何かありますか?」
車掌室で動いている何かの動物の頭の影を、つくよが見つめながらうなずく。
つくよのその問いに、こゆきが思い出すように、あごに手を当てて考え込む。
「うーん、ゆきはこれで駅名が告げられてあいさつをして、ばいばいって降りたような気がするー」
こゆきいわく、見知らぬネコとはこれ以上イベントが起こった記憶がないそうだ。
「なるほど……」
「じゃあもうそろそろ着くのかな!!」
「わかりました」
それぞれ了解を示し、また窓の外に目を向けた。
するとその時。
《チャン チャラチャラチャラ チャンチャンチャン~♪》
怪しげな社内の音楽を埋めるようにして、懐かしいような優しいメロディが流れた。
「懐かしいなーこのメロディー」
懐かしむように目を閉じ、こゆきが言った。
「まもなくぅ~ ほのぼの村ァ~ ほのぼの村ァ~」
車内のどこからかしゃしょうさんの放送する声が流れてくる。
『おっと! もう ほのぼの村に 着くみたいだね・・・ あっ! そうだ!』
お別れの挨拶をしようと手をあげた見知らぬネコが、不意に何か思い出したように言った。
「え!?」
そうだ、ってなんだろう? と、あかりが見知らぬネコを見つめる。
4人が見守る中、見知らぬネコは服のポケットをガサゴソと探り、しばらくして、なにかの箱を取り出した。
『仲良くなった印に これでもあげるよ! 新しい生活の 役に立つといいな!』
そう言って見知らぬネコは、正面に座っていたあかりへと、その箱に収縮された形のアイテムを手渡した。
「……こちらは……?」
あかりの左、窓側に腰掛けていたつくよが、興味ありげにその手元を覗き込んだ。
『これはスコップと言って、じめんをほったり 岩をたたいたりできる道具だよ! デパートの売り場では 売る日と売らない日がわかれているから 持っておくと便利なんだよ』
見知らぬネコがにこにこと教える。
「ほえ~、なるほど!! 親切にありがとね!!」
4人を代表して、見知らぬネコにお礼を言ったあかり。
手渡されたそれを受け取り、ガサゴソとあかりがポケットにそれを入れた。
そして先ほどこゆきが言った、もうイベントはない、という言葉を思い出し、首を傾げる。
「あ、あれ……? ここで渡されるものなの……?」




