19話 古都な世界1 2/8
「本当ですね、ちょっと寄ってみましょうか」
「どれ買おうかなぁ?」
頷いたつくよとふたりで店に入る。
店内はアンティークな雰囲気で、大人しい色合いの小物やお守りなどが並んでいた。
「あ……この扇子、とっても可愛いです」
「どれどれー? あ、本当だ!! つくよ似合いそうー!!」
黒をメインにした花柄の大人しめの扇子だ。浴衣を着ているつくよにはもってこいだろう。
褒められたつくよは少し照れくさそうにした。
「色違いもありますね……この水色のほうなんか、せいなに似合いそうじゃないですか?」
「うんうん確かに!! つくよ、見る目あるねー!!」
本心だとひとめで分かる共感と褒め言葉に、ほっこりしたつくよがほほえむ。
「では、これをせいなへのお土産に……喜んでくれるといいのですが」
「絶対だいじょーぶ、保証するよー!! じゃあうちは、こゆきに買って行こうかな?」
つくよに大きく笑いかけたあと、あかりも商品棚を眺める。
しばらくうんうんとうなっていたが、ようやく決めたようだ。
「これー!!」
「わあ……可愛いです!」
あかりが手に取ったのは、大きさの違ういくつかの天然石で飾られた、ふたつのヘアピンだった。
白や透明の石がメインのものと、赤がメインのものとがあり、デザインは同じだ。
「どちらをこゆきに?」
「赤いほう!! 髪の色と一緒だと目立たないしね!」
「なるほど、ふたりとも似合いそうです」
想像しているのか、目線を上にやりながらつくよが言った。
言われたあかりは誇らしげにしている。
それぞれ選んだものを購入し、店から通りへ出た。
「早く渡したいなぁ!! 探検さいかーい!!」
腕を上げて歩き出すあかりに微笑んで、つくよもついていく。
せいなとこゆきは神社を探しながら、ゆっくり町を歩いていた。
「なかなか見つからないね……結構広い町なのかな」
「道も細いのがたくさんだしねー、木で見通しも悪いしー……そうだ」
なにか思いついたのか、こゆきはふらりと進行方向を変える。
「どうしたの……?」
「大きい木に登って見渡せば早そうじゃないー? あれとかー」
ゆっくり指差したさきにあるのは、見える範囲では一番大きい、高く伸びた木だった。
こゆきは歩み寄るなりためらいなく枝に手をかけていく。
「大丈夫……? 気をつけて」
「平気へいきー」
太いだけに登るのに苦労しつつも、ある程度の高さまで来ることができた。
こゆきは折れなさそうな枝を選んで腰かけると、おお、と声をもらす。
「せいなー、すっごくいい眺めだよー。おいでよー」
「えっ、自分も……? 大丈夫かな……」
「せいなならやれるー」
えいえいおー、と間の抜けた声で応援するこゆき。
しばらく迷っていたせいなだったが、こゆきが嬉しそうに町を眺めているのを見て、決心したようだ。
「が、頑張ってみる……」




