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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹は兄依存

 最近妹が俺に依存しすぎな気がしないでもない……


 昨日は起きたら俺のベッドに潜り込んでいた、起きた時には随分とビックリしたものだ。


 平静を装って「おはよう」と言ったものの、自分が何もしていないことを確信が持てないことが不安にさせた。


「お兄ちゃん! おはようございます!」


 コイツは明るくそう言うが、当たり前とは何だろうか? 


「俺の布団に潜り込むのはやめてくれないかな?」


「でもお兄ちゃんが起きなかったですし」


 なにが「でも」なのか分からないが、とにかくコイツにとっては兄が起きなければベッドに潜り込むのも当然のことらしい……


 そして朝食になって、俺がコーヒーを淹れていると、ミントは俺にくっついて胸を腕に押し当てる、コイツの胸はそれほどないがそれでもドキドキしてしまう。


「あれー? お兄ちゃん、顔が赤いですよ?」


 すっとぼけて聞いてくるが、コイツだってソレが分からないほど無神経ではないはずだ。


「さっき冷たい水で顔を洗ったからな。そのせいだろ」


 苦しい言い訳でその場をしのいだ、涼しい顔をしている妹にかける言葉が出てこなかった。


 朝食で食べさせて欲しいと要求されなかったのは助かった、アレは死ぬほど恥ずかしいんだ。


「お兄ちゃん、食べさせてください、あーん」


 そう言って口を開けてこちらに向けられても困るというものだろう。


 いつもというわけではないが、時々気まぐれにこういったことを要求してくるので困る。


 一般的な兄妹関係に詳しいわけではないが、妹というのは兄が好きなのだろうかと思ってしまう。


 かなり昔に遊んでいた近所の子は「妹なんてうぜーんだぜ」と言っていた、彼の言葉が真実ではないのだろうが、ソレが照れ隠しで言ったことなのか、俺に見栄を張ったのかはもはや分からなくなってしまった。


 俺は朝食を終えるとその日の日課の薬草採集に出かけようとした。


 いつものことだがミントは討伐依頼を受けようと提案していた。どこまでも戦闘狂だが俺が「お前が怪我する可能性があることはしたくない」と言ったら渋々薬草採集に同意してくれた。

 ヒールでミントだけはいくらでも回復できることについては思い至っていないようなので黙っておいた


 その日の薬草は豊富に生えており妹のストレージに放り込んでいったら結構な量をとってしまった。


 何も起こらずミントは大変退屈そうだったが、俺はそれでいいと思えるのだった。


 大量の薬草をギルドに納めると怪我人達にドンドン配送されていった。この辺が薬草採集がいつまで経っても常設依頼として存在している理由だろう。強い相手と戦いたがるのはミントだけではないのかもしれない。


 そして帰宅途中、妹が疲れたというので負ぶってやった。その時に「これいいですね……時々お願いしましょう……」と小声で聞こえた気がしたのだがそれについては無視しておいた。


 帰宅後、当然のごとく俺の目の前で着替えるミントだが、下着姿までなのでセーフということにしておこう、以前それについて注意したところ「家族なんだから当然でしょう? それともお兄ちゃんは私にそそられるんですか?」とニヤニヤしながら聞かれたのでそれについては言及しない。


 夕食を作るミントを眺めながら、コイツに炎系魔法を常時付与したのは実用上は正解だったなと思う。利便性を主張されて常時付与することにしたのだが悪用されていないようでなによりだ。


「ミント、夕食はなんだ?」


「鶏肉と野菜のシチューですよ」


 コイツの作る料理は美味しい、いずれどこかに行ってしまうのでは内科と考えると、きっとコイツの作る料理が恋しくなるであろうことは確実なほど美味しい。


 まあそれを言うと絶対に調子に乗るからそれについては言葉にしない。


「はい、お兄ちゃん、出来ましたよ。ちょうどパンも焼けますね」


 俺たちは美味しいパンとシチューを夕食に食べた。今日はミントも結構大人しい方で余り過激な要求はなかった。


 お風呂については議論に度々なるのだが、結局コイントスでどちらが先か決めることになっている。妹の残り湯だから悪いというわけではないが、一番湯の魅力は有り難い。


 その時ミントが「お兄ちゃんの残り湯というのもありですね」などと言っていたが丁重に聞かなかったことにしておいた。


 お風呂を出ると当然のごとく俺の部屋で一緒に寝ようとするミントを自室に帰してから一日の記録を付ける。


 何故かくも妹というのは可愛いのだろう? そしてそれを手に入れることが出来ないというのは非常に残酷な話だ。


 ミントが俺のことをどう思っているのかは分からない、ただ俺はミントを立派な妹だと思っているし、アイツのためなら大抵のことは出来ると確信している。


 妹とは一体なんなのだろうか? その問いに対する答えは決して出ることはないのだった……


 ――ミントの部屋


「お兄ちゃんに負ぶってもらったのは良かったですね! 今度から時々頼んでみましょう! お兄ちゃんはチョロいので適当な理由を付ければしてくれるはずです」


 しかし……お兄ちゃん分が足りませんね。やはり食事時の『あーん』がなかったせいでしょうか?


 しかもこうして自室で日記を書くハメになってしまいました、贅沢を言えばお兄ちゃんと一緒に眠りについていたい頃なのですが……


 贅沢を言っても始まりませんね! 今日はお兄ちゃんの残り湯を体験できました! お兄ちゃんが全身を包んでいるような感触は最高の快感を与えてくれます。


 分かってはいるのです……お兄ちゃんが私に振り向いてくれないことくらい。


 手に入らないから私はそれを必死になって求めるのです。簡単なことではないのでしょう、しかし私はそれを求めずにはいられないのです。きっと生まれた時からそうなのでしょう、そう生まれついてしまったのです!


 悪いことばかりではありません、お兄ちゃんが私を遠ざけようとしないのはきっと好意を抱いているからでしょう! 嫌いなら遠ざけて近寄らせないはずですからね。


 私はお兄ちゃんをあらゆる意味で愛していますし、全てを欲しいと思っています。


 私は強欲極まりないのでしょう、しかし欲しいものは欲しいのです! 我慢が出来ないこというレッテルを否定することは出来ません、それでも私は自分の欲望に忠実に生きようと決心しているのです、これはオリハルコンよりも硬い遺志であると自信を持って言えます!


 さて、お兄ちゃんへの合いも書いたことですしこの辺でペンを置くとしましょう。


 明日に期待して、いつかお兄ちゃんがワタシのものになるまで私は歩みを止めることはありません。だから明日も頑張りましょう。

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