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38話 兵士団顧問

一旦宿へ帰ろうとしたが、ジョンの使いの者と名乗る黒服が俺達を義勇軍の本拠地へ案内した。


すでに宿のキャンセルの手続きは終わらせて荷物の移動も済ませているということで、俺達は義勇軍の本拠地でVIP待遇を受けた。

ポンパも泊まっているらしかったが、なんかあいつにイラついていたので食事などは別々にしてくれと頼んでおいた。


翌朝、朝食をとっていたところで王城から呼び出しがあり、王城へ向かう事になった。


移動中の馬車にはポンパもいたが、義勇軍での食事やベッドの柔らかさのせいでポンパへの怒りも収まっていた。


「ジョンが話しをしてくれたんなら、俺らって何か話す事あるのかね?」


「そうだね。形式上、話を聞かないといけないのかもね」


リッチーが返した。


「今度は王様の前でのあなたの不敬な行為が問われる番かもしれないわね」


「怖ぇ事言うなよ」


ミリアが窓の外を眺めながらさらっとおっかない事を言った。


王城に着くと、昨日とは別の部屋に通された。

縦長の部屋で、部屋の形に似た長机だ。

俺達はリッチー、俺、ミリア、ポンパの順に横並びに座った。

しばらくすると一人の男が入ってきた。


「「「あっ!学園長!!」」」


ミリア以外の全員か声を揃えた。


「あぁ、久しぶりじゃな。元気しとったかい?」


ものすごく自然な感じで話しかけられた。


「その節はお世話になりました」


「あぁ、ええよ。こっちもうまい汁すすらせてもろたわい」


ポンパが学園長にお礼を言っている。

 

「おい、ポンパ!何お礼言ってんだよ?お前、学園長のせいで賞金首になったんだぞ?」


「それでも限定強化を上手に使えるようになったしなぁ。やっぱり感謝の方が大きいかな?」


そう……なのか?俺の感覚がおかしいんだろうか?ポンパと話しても意味が無さそうだし、さっさと学園長に何が目的なのか話を聞き出そうと思った時だった。


「そもそも学園長はここで何をされてるんですか?」


リッチーが冷静に質問した。

そう!それ!色々聞きたい事もあるけどまず、何故ここにいるのか?


「わし、ここの兵士団の顧問をしとるんじゃ」


「顧問?」


「あぁ。あれこれ言うのが仕事じゃがの。ここ、あんまり仕事が無いのじゃ。だから毎日ダラダラしてるだけで高い給料がもらえるんじゃ」


「カムイが不正を働いていた事はご存知でしたか?」


「もちろんじゃ。あいつの家系は代々警察組織のトップ。例えば真面目なカムイでも長年組織にいれば、あんなにもなるじゃろうて。朱に交われば赤くなるじゃな」


学園長がさも当たり前かの用に組織の不正の話をした。顧問が聞いて呆れる。


「じゃあ、兵士団が俺らの誘拐団からみかじめ料を取ったり部下を殺したりって言うのは……?」


「もちろん知っておったわ。そもそもまともに仕事をしない兵士団が誘拐団なんかに気づくと思うとるのか?わしが兵士団にうまい話があるって教えたのじゃよ、金が手に入るからな」


「え……じゃあ、部下を殺させたのも……?」


「いやいや、わしもさすがにそんなおっかない事はさせとらんよ。なんの金にもならんからじゃ」


「あんたさっきから金金言ってるが、何なんだ?」


さっきから隠す様子もなく喋りはするものの、ヘラヘラとした態度の学園長に俺は腹が立ってきた。


「ん?なんだもなにも、世の中金じゃろ?学校を作ったのも金のためじゃし、ポロリ教を作ったのも、誘拐団やジョンの家で世話になってたのも金のためじゃ。もちろんカムイ達の不正に目を瞑ってやってたのもじゃな」


「一貫性があるのね。その点だけは褒めたいわ」


変なところをミリアが褒めていた。


「学校を作ったけど学校の金を使い込んだ事がバレてな。わしだけ首になるのは面白くなかったから学校ごと潰してやったのじゃ。ポロリ教や誘拐団も作ったはいいが続けるのは面倒だったからな、アフターサービスという事で卒業生達を集めて仕事の斡旋をしてやったんだぞ?優しいと思わんか、わし?」


「お前、本気で善意のつもりでやってたのか?」


「そうじゃよ?え?わし、ダメだった?さっきもポンパがお礼言ってたじゃろ?」


本気で善意だったのか……自分の教え子達を犯罪者にするなんて教育者としての良識のかけらが微塵もないくせ、無駄にアフターサービスのようなサービス精神を持ち合わせていて大変面倒くさい野郎だ。


「ポロリ教の『アーレン』と言う言葉はどういう事だったのでしょうか?」


リッチーが話を変えた。


「あぁ、それもアフターサービスじゃよ。アレンも下ネタ言うじゃろ?アレンの修行を見てて『これ宗教でやったら面白くね?』って常々思うておったんじゃ。ポロリ教を立ち上げる時にアレンを探そうと思ったタイミングと被ったから祈りの言葉が『アーレン』になったのじゃよ」


「俺を探していた、ってのは何が目的なんだ?まさか俺にも犯罪をさせようとしてたんじゃねーだろうな?」


俺は学園長を睨みつけた


「ひゃっひゃっひゃ。アレンは修行中わしが面倒見てたからな、教えそびれてた事があったんでそれを教えようとな。賞金稼ぎをしてたんなら自警団に手紙出すって手もあったんじゃがな。わし自身も住所不定だったしな。そもそもアレン、おぬし普段から下ネタ言っとるからもう十分犯罪者みたいなもんじゃろ?」


「プフーーーーー」


ミリアが盛大に噴き出した。一瞬学園長の言い草にキレそうになったがミリアの笑いのせいで冷静になったら確かにぐうの音も出ないほどのド正論を叩きつけられて何も言えなくなった。

えーっと、俺は何について質問をしよう……


「ではそもそもアレンを探して、どんなアフターサービスをしようと考えてたのですか?」


そうだ。リッチー、ナイスだ。俺もそれを知りたかった。


「『限定強化』についてじゃ」


室内の空気が一瞬で変わり、みんなが学園長の言葉を耳を傾けた。




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