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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第7章
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89話 魔王覚醒と運命に抗う意志7

短め。



-side 勇者-



「魔王様もユリナ様も今日はお休みになられるでしょう。皆様も消耗しているご様子。詳しい話は後日となりますでしょうから今はごゆっくりお休み下さいますよう願います。」



恭しい態度で頭を下げてルピは勇者らを部屋へ案内する。レイトと手分けして誘導し全員を案内し終わると姿を再び消した。



「俺たちが使っていた会議室的なところ。自由に使って良いとは言われたけどまさか全員戻ってくるとは思わなかった。」


「確かにクタクタだけどはい、寝ますーで手放しで寝れる程状況を理解してないのも事実でしょう。」



輝を皮切りに千晴も正論を言う。



「でも正直今の状況で推測できることが少なすぎるけどねー。」



美奈が頬杖を付いてぼやくように言う。



彼らは勇者としての役目を果たすために魔王と対峙する実力を付けるべく訓練を続けていった。先の魔王騒ぎ、自称とは言っていたが遠くから見た実力でも自分たちが敵わない事をひしひしと感じる結果となった。騎士団長であるサークレルトは実際に相対すればあれ以上とエルシリラへと帰還した後にはっきりと言った。本当に意思ある魔物の自称だっただけという話だったのだ。





勇者として、何をすべきか。バルディアには何となくきっかけができるのではないかと考え、付いていこうと思っていた。道中で声を掛けられるまでは。



「大切なものを守るために迷わず切り捨てろ。」そう言ったノトの言葉は茶化す感じが無く真剣そのものだった。勿論その言葉をただ受け取った訳では無かった。以前から幼馴染で冷静沈着さを持って自分を諌めていた千晴。彼女の言葉は何一つ嘘を言っておらず以前よりクリアになった頭で考えていた。


けれど簡単に答えは出なかった。魔物相手ならいざ知らずノトの含みある言葉は自分に刃を向けろと言ったものだと何となく察していた。百合奈が悲しむ結果にはしたくない。


そんな時聖剣が教えてくれた。最適な解を。あのシファルと言った悪魔の男は誘導してくれるとは言ったもののはっきりと意志を伝えてきた。勇者自身が強く望み、その望んだ力を、理想を叶えてくれる為に力を行使できた。


結果論ではある。実際はうだうだと悩み、殺しという問題を先送りにした。



けれど悩む暇なくノトの姿をした別の者が襲いかかってくる。容赦ないその攻撃は一撃で殺すためではなかったため防げていた。とはいえ色んなところに傷ができたし酷く消耗した。


そんな満身創痍になっていた勇者らに姿を見せたのは同じくボロボロになっていた百合奈だった。明らかに泣いたような跡が見える顔だったが誰しもが今の現状を凌ぐのが精一杯だった為深く突っ込むことなく彼女の掛けた言葉に疑問を持つことなく頷いた。戦闘経験が多い彼女が冷静に状況を見て下した判断。それに従うのがこの場では正しいと誰しもが感じていた。



結果として殺すことも諦めることもない第3の選択肢、殺すことなく望んだ未来を手に入れる為の生かす剣を振るうことができた。



誰の犠牲も払うことなく危機を乗り切ったものの疑問は残る。



「結果論にはなるが全員無事だ。これからの事はきっと明日以降に話して貰えるだろう。美奈が言ったように今話せる事は無い。休息が俺たちがすべき事だろう。」


「そう、だね。」



輝の言葉を皮切りに頷きそれぞれが戻っていく。どんな真実でも受け入れなければならない。そしてまたもや選択を迫られるだろう。














魔王である彼を倒すべきか否か、を。

















-side ルピ、レイト-



「忙しい、ね。」



そうぼやくように言った言葉が聞こえた二人は慌てて後ろを振り返る。



「やあ、久しぶりだね。」


「「っ!?」」


「そんなに驚かなくても良いと思うけどな。僕悲しいよ。」


「何故此方に、いえ貴方様が魔王様と一緒に行かれたのは存じてましたが。」


「うん、そうだね。ルピ、レイトは優秀な方だからきちんと情報を大事にして知っているとは思っていたけど。」



ルギシニラの王城の廊下で他愛ない会話をして裏で準備を進めようとしていたルピとレイトは話しかけられた相手に畏怖の念を抱く。



「僕は暫く自由にしていいって言われたから久々に鈍っている君たちを強くしに来たよ。僕にとっては暇潰し、君たちにとっては命懸けだけどね。寝なくても大丈夫だから、と言っても魔王様とユリナちゃんが起きてくるまでの間だけど。」



そうにこやかに言ったのはシファル。顕現している悪魔の中では一番の実力者であるシファルは弱者には厳しい。特に同族は。






明け方、憔悴しきった様子の滅多に見ることのない珍しい姿をしているルピとレイトにノトとユリナは心配し、声を掛けたが事情を聞き出すことは出来なかった。




















-side ?-



「うーん、してやられたって感じかな。」



所々に瓦礫や未だに煙が立ち上る戦闘の爪痕残るこの場に相応しくないおっとりした言葉を呟く者がいた。



()()()()ってのは便利だけど痛みは感じるしな〜。」


「ご無事でしたか。」



顔をすっぽり覆うようなローブを着た集団が独り言を言っていた男の元に集う。



「死なないんだもん、当たり前でしょ。それより最終計画進んでる?」


「滞りなく。」


「そっか。それじゃあ作戦決行は彼が全てを手に入れた後に。」


「.....?」


「ん? 何で直ぐじゃないのかって聞きたい雰囲気だね。良いよ、それくらいなら答えてあげる。彼がどちらの味方に付くかをしっかり考えさせてあげたいんだよ。女神か僕かを。それには今の記憶の欠片じゃ足りないからね、封印を綻ばせた今なら近づける筈だから全て手に入れると言う筈だ。それを見届けてからでも遅くないし、決して僕の力には叶わないよ。」



ふふふと黒い笑みを浮かべる男に誰しもが息を飲む。そして誰にも聞こえない小声で最後に付け加えた。



「........君がヒトの範疇でいる間、っていう条件付きだけどね。」








今章ここまで。

色々と残しつつ次章から久々(?)のほのぼの(?)冒険編へ。

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