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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第7章
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88話 魔王覚醒と運命に抗う意志6

短めです。



「『真の姿を現せ、魔剣《鴉羽》、聖剣《朱雀》』っ!」



本来であれば剣の持ち主がトリガーを引かなければ反応しない銘を声に出す方法だが、私が拡散させた魔力は自分のものではない。先程の魔力の残滓と暫く使っていなかったノトさんの魔力がストックされたイヤリングの力を全て放出させた。私に変換すると私の魔力となってしまうのでイヤリングを粉々に割って強制的に充填した魔力をそのまま放出させた。些か強引なやり方にはなってしまったが効果はあった。



(消え失せろ、亡霊がっ。)


「なんで、僕が表にいるのに君が出てこれるの!? 有り得ない、有り得ない、アリエナイッ!!!」


「耳障りだ、それ以上俺の身体で喚くんじゃねえっ!」



天野君の攻撃が止んだ後も閃光は残り目を瞑ったまま成功している事をひた願う。暫くして二つの正反対の声が聞こえてきて顔を上げ恐る恐る目を開ける。



「守るために諦めるか、相手を倒すか............第三の選択、殺さずして殺す為の技。聖剣が教えてくれました。」


「........そうか、借りができたか?」


「いいえ、出来たら今まで迷惑を掛けていた分を返したということにして下さい。」



天野君ともう一人の男の人の会話が聞こえる。光が消え、目に飛び込んでくるのは天野君の聖剣《聖華》の二本と自身の聖剣《朱雀》の一本を腹部に刺されているノトさんの姿だった。刺した剣をそのままに握りしめお互いに喋っていたようだった。



「で、早めに抜いてもらえると助かるんだが。」



力を行使した影響から右目からは大量の血を流している上に腹部からの出血と口端からも血を流し始めて顔が青ざめていくノトさんの様子に気付き天野君が慌てて二本の聖剣を抜く姿が見える。



「ぐっ。」



痛そうにくぐもった声を出す。その後、ノトさんの口からは別の声が聞こえる。



(それを選択した君を僕は静かに見守るよ。もう意志を乗っ取れる程の力が無いからね。聖剣というのは本当に厄介な物だね。.......ヒトから失望され、世界から疎まれるのと、.............記憶を完全に取り戻した君が全てを投げ出そうとするのを静かに待ってるよ。)


「そんな未来は永劫に来ない。俺はお前という存在を否定していないし、背けるつもりもない。これからきちんと向き合うさ。」


(.......そう。じゃあ()を救った()()()()()の事もちゃんと思い出して、ね......。)


「? 誰のことだっ!」



声を荒らげたノトさんに彼からの返答はなく静寂が包むだけだった。完全に気配が消失し分からない謎を残されたのでギリッと歯噛みする姿を見せる。私は彼の会話でその彼女と言う存在が何となく予想出来たがそれを言う前に自分の剣も引き抜いたノトさんが限界を迎え倒れたことで後回しになった。



「っ!?」



天野君は至近距離にいたが私は少し離れていたので慌てて近付き傷を確認する。回復魔法を掛けようと動くとその必要性が無かった。全身に張っていた蔓が腹部の傷へと伝わり模様が消えていくのが見えた。怪しげな光は変わらず少し不安になるが完全に傷が塞がっていく。だが失った血までは回復できず倒れた際に意識を失っていたノトさんは目を覚ます。



「んん.......?」


「っ!」


「身体が......重い.......。」


「それはあれだけ血を流せばっ。ノトさんが人智から外れた存在でも血は流すんですから.........死んじゃうかもしれないんですよっ!?」


「それは......出来ない....やつだ。」



乾いた笑みを浮かべて掠れた声で笑うノトさん。無事、とは言えないけど生きていた事が嬉しく、ずっと堪えていた涙が溢れてくる。思わず声を上げて泣いていた。



「.....このまま...は、場所が......良くない...な。」



そう呟いたあと自身の魔力を使い『転移』を発動させた。天野君たちもきちんと範囲に収め一同はルギシニラへと帰還した。









「「お帰りなさいませ、魔王様。」」



転移先に構えていたのはルピさんと、レイトさん。ノトさんが動けない事に気付き私と共に寝室へ転移させる。残された天野君達はその後、戻って行ったルピさん、レイトさんの案内でそれぞれに宛がった部屋に案内して行ったらしい。



「はあ。本当に情けない。」


「魔力も気力もすっからかんですか?」


「んー? 完全に無いわけじゃ無いけどなー。」



間延びした声で言うノトさんに私は静かに笑う。ベッドに横にされて動けないのを近くに置いた椅子に座って様子を見ながら話している。



「そういうユリナはどうなんだ?」


「私? ノトさん程じゃ無いけど、それなりに疲労感はありますね。特に魔力は無茶な使い方してしまいましたし。繊細なコントロールも他人の魔力だと扱いづらくてぶっつけ本番で成功して良かったです。」


「気に入ってたんだろう? 壊させてしまってすまないな。今度代わりのものを用意しよう。」


「え。」


「何だ、その反応は。」


「.......前と同じスペックで良いですからね?」


「さあ、なんの事やら。」



目だけを逸らしとぼけるノトさんをジト目で睨む。意に介さない様子で次にベッドの空いたスペースをトントンと叩く。



「取り敢えず寝るぞ。話しやら事後処理はその後だ。」


「此処で、ですか?」


「今更だろうが。」



今更ではあるが、今此処で寝てしまうと離れがたくなってしまうのでどうしたものかと悩んでしまう。暫く離そうとしない私の姿が見えるような見えないような。予知ではなく推測。



「そんな事考えなくていいぞ。一緒にいてやるから。ユリナが良いと言うまで。」


「!? 読みましたねっ!」


「いいや、テキトー言ったが合ってたか。」



悪びれもせずに言うノトさんにガクッと肩を落とし素直に、もそもそとベッドに入り込む。お返しとばかりにぎゅっと抱きしめると少し苦悶の声を上げたものの抵抗しなかった。.......しなかったではなく出来なかったとも言うけれど。








「報告に戻ってきたのですけど。時間を取らせた訳でも無いのにお早い事で。」


「その言い方は無いっすよ、ルピ。魔王様もユリナ様もヘトヘトだったんすから暫く休ませましょ。」


「......いえ、勇者達は集まったみたいですが。.........然程関係ないでしょうし、それもそうですね。起きた時に問題なく物事が進むよう調整しますか。」


「そうっすね。忙しくなりそうっすね。」



二人はまた忙しく動き始めたがその後現れた人物に冷静さを失った。



















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