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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第7章
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77話 パーティー開催と交流5


 すっかり失念してしまった。外の状況を見て、私は固まってしまう。



「………。」


「どうした?」


「どうした。じゃ無いですよ! 外、外!!」


「外がどうかしただろうか?」


「おかしなところは無いと思いますが?」



 私が唖然としているのを見て不思議に思ったノトさんは聞いてくるが、私の外を見て。と言った意味を正しく理解してくれず、それはノトさんに限らず、部屋にいた二人も顔を見合わせて疑問顔を浮かべて私を心配する目線を向けてくる。私の頭はおかしくなっていないですからそんな心配そうな目を向けないで下さい。



「私が言いたいのは外の景色で、もう昼も通り過ぎてますよという事ですよっ! 雑談で此のまま終わって良いんですか!?」


「「「……え?」」」


「え?」


「良いも何も、なあ?」



 私の言葉に増々疑問を感じた面々は顔を見合わせている。



「父様と同じ立場の方を旧知というにはおこがましい事だが元々何かが有って話していた訳でも無い。それにだ。特に会談と銘打っていても重要な話など無い。」


「………。」


「そうですね。特にこれと言って聞かれたくない上の者だけの会話などもとより無かったので今回はこのようにゆっくりお喋りをして解散するものだと解釈していました。」


「………。」


「どうやらそれこそが意味が分からない事らしい。」


「と、言われてもなあ。」「そう言われましても。」



 段々とおかしいのは自分だと思ってしまう状況に陥る。え、私おかしくないよね? 普通こういうとこに呼んで話す内容って身分が高い者同士でこれからの事とかそう言うのを話す重要な場面じゃないの?

 元々その予定じゃ無かったってどういう事? まるで私が最初から勘違いしているのが悪いとでも言いたげな顔されても困っているのはこっちなんですが……。



「もう何も言わないので好きに話していてください。」


「それだとユリナが暇だろ? 訓練場でも行ってきたらどうだ?」


「わざと言ってるなら怒りますが?」


「まさか。ちゃんと案内してくれるよ、ルピが。何なら呼べば直ぐ来てくれるから何時でも好きなとこ案内してもらえ。」


「んー。それじゃあ少し様子見してきます。」


「そうか。」



 部屋の外に出ると直ぐにルピさんが現れ訓練場まで案内してくれた。そして、相も変わらず会話が長続きしない状態で歩いて行くと何やら歓声が聞こえてくる。



「ん!?」


「何やら盛り上がっているようですね。親睦が深められれば、過程はどうでもいいようです。」


「どういう事でしょうか?」


「それは見れば分かります。」



 そう言われ詳しくは説明されなかったが訓練場の入口に付くと、ミリアちゃんを祭り上げている様に見える光景がある。



「テコ入れ成果、ですか?」



 独り言の様に小さくぼやくと聞こえていたのかルピさんがこくりと頷く。普段の無表情から若干呆れ顔を浮かべているかのようにも見える。



「お母様、いらっしゃったのですね。」


「え、うん。これどういう状況なの?」


「何でも可愛い子にお願いされたら大人はイチコロだとお父様に言われました。イチコロの意味がいまいち理解できていませんが、わたしが率先して盛り上げればいいという事だったので頑張りました!」



 してやったり、成功したと嬉しそうな表情で語るミリアちゃんを見て何とも言えない気持ちを浮かべた。実際何をしたか聞いてみようと口を開こうと思ったがその前に多くの兵士が声を上げる。



「次はこっちに来てくださーい! ミリア様が付いて下されば士気も上がります!」


「お世辞が旨いですね、皆さんは。私が上に居る限りは皆様に敗北の二文字は存在しません。さあ、」



 一息ついてから続く喋り方に思わずあんぐりしてしまったのは言うまでもないこと。



「ミリアの為に頑張ってね!」



 大歓声が上がる中再び訓練(?)が再開され、最初に来たぎすぎすしていた雰囲気が無くなり異種族間でのチームを組んだりと策略を巡らせるのに話し合っている様子も見受けられる。



「本当にあの方の娘と言われて納得いたします。」


「アイシール様、ずっと見学されていたのですか?」


「そのつもりだったんですけど、そうもいかない状況に持って行かれてしまって。」


「それってどういう………?」



 どういう意味かと聞く前にまた行動によって証明される私の質問。次々に兵士たちがやって来てミリアちゃんの対抗勢力として旗になって欲しいというのだ。困った顔を浮かべつつもちゃんと周りに乗っている。というよりノリノリの様子にも見える。



「…………。」


「どうされましたか?」



 近くにずっと控えていたルピさんに声を掛けられて顔を見ると変わらず無表情には見える平坦な口調の中に心配する様子を感じ取る。



「…………。」


「考えているそれは魔王様にとってはくだらない事だと一蹴されて終わる事だと思いますよ。」


「お見通し、ですか?」


「全てという訳ではありません。ユリナ様の境遇等は大雑把では有りますが魔王様より聞いた話と諜報によって得た情報を鑑みると容易に想像できただけで御座います。そういう力は一切ありませんのでご安心を。」


「そうなんですね。」


「気分を害されてしまったのであれば謝罪いたします。でも、魔王様に話せない事で有れば吐露して頂いても構いませんよ。」


「…………そうですね、秘密にして頂けると。」



 悩んだ末そう笑顔を浮かべると「はい。」と雰囲気を柔らかくし頷いてくれたルピさんに話したのだった。






「珍しいっすね。」


「何がですか?」


「ルピが魔王様以外に気を遣ったり、わざわざ面倒そうなことに首を突っ込む事っすよ? 知らないとは言わせないっす。」


「………どうしてでしょうね。魔王様と今や同等の存在では有ります。勿論それは世間体や名目上という事になるのでしょうが。」


「それが分かっているなら尚更疑問に感じるっすね。」



 ここにいるのはルピとレイトの二人のみ。手が空いたので執務室の方で仕事を再開しようと戻るとレイトが書類整理をしていたので途中参加して黙々と作業しているとレイトが声を掛けたのだ。



「自分でも不思議でした。でも、彼女とは共感できる部分が自分の中であったのかもしれません。」


「曖昧な感じっすねー。」


「彼女が、『この世界に最初から生きていれば幸せに暮らせていたのだろうか。』と結局は口に出して言ってくださいました。人間は結局現状を受け入れられず、皆同じような事を口走るのだと思いました。でも彼女は少し違いました。」





「この世界に最初から生きていれば幸せに暮らせたのでしょうか? ………あ、別に生んでくれた親を貶している訳では無いんです。私という存在は母と父がいてくれたからこそで、私という人格は周囲の様々環境が作り上げた物なので大事にするべき事だとは思います。例えそれが幸せな事ばかりじゃなくても。私は地球の日本に生まれてそこで十数年生きて周りに影響されて………。今此処にいる。私という人物が私で無かったらノトさんに会う事も叶いませんでしたし、こんなに満たされていると感じる事も無かったかもしれません。いくら言っても机上の空論ですけど。とは言え、こうして聞いてくれるルピさんにも会う事が無かった未来を考えると私は今………『幸せ』なんでしょうか?」





 最後に『幸せ』といった彼女の顔は未だ騒いでいる兵士たちの楽しそうな表情を見てだったのかは定かでは無いが心からの笑顔を浮かべていた様に感じた。『幸せ』とは言い切らず私でも無く、誰かに問いかける様に言ったその言葉はどことなく寂し気な様子にも見えたがそれ以上追及して聞く事は憚れた。あくまで私は魔王様の部下であり、しゃしゃり出て口を出せる立場にいる訳では無い。



「本当に珍しいっす。」



 最初と同じことを言うレイトの言葉の意味は分からなかった。ただ、私の顔をじっと見てニコニコとしていたのは覚えていた。






 まさか自分までこの騒ぎに参加させられると思わず、溜息を吐きながらも周りに合わせて演技した。そう、あくまで演技!!



「プッ、ああいうのは嫌だと思っていたが………ククク。」


「何時まで笑っているんですか!? 言ってるでしょう!? 演技だって!!」


「演技な、演技、面白かったぞ。」


「絶対分かってない奴じゃないですかー!!」



 そう大分兵士たちも興奮し盛り上がっている中で訓練場入口にノトさんが戻ってきて、渾身の台詞(笑)を聞かれてしまった。中二臭いそのセリフを聞かれた瞬間顔が真っ赤になるのを感じ取る位恥ずかしい思いに駆られた。



「そんなに拗ねるなよ。可愛かったぞ。」


「そういうこと言わないで下さいっ!!」



 ちょっとむくれていると笑っていたノトさんはふと足を止める。今はご飯を食べに戻るのに廊下を歩いていた。ふと足を止めたと思ったらそのまま目の前にある庭園の方に歩き、中央に鎮座している立派な噴水がある場所に向かって歩いていくのが分かる。



「どうしたんですか?」


「………………。」


「ノトさん……?」



 そう声を掛け、振り返らず歩くノトさんに続こうと遅れて庭園に足を踏み入れる。



「っ!!?」



 景色が一変する。廊下から見えていたその立派な様相の手入れが行き届いている庭園は、遥か昔に枯れ果てたままかのような惨状が広がっていた。変わり果てたその光景に絶句してしまう。前に一度だけ城内を散策して迷った時に綺麗な風景に見惚れて入った時は有ったがその時は何ともなかった。

 「何で?」と言おうとした言葉は外に出る事は無かった。ノトさんが噴水の方へ辿り着くことが無かったから。足がもつれた訳ではなさそうな足取りだったのに目の前に手を付くことなく倒れる。



「あっ!!」



 気付いて走りよるとうつ伏せのまま微動だにしない。



「ノトさんっ!!?」


「………ちょっと横にさせてくれ。」



 ぼそぼそと言った言葉に私は見えていない事も忘れ、ただ黙って頷いた。私はどうしようと思って取り敢えず横に体育座りで座って動くか喋るかするまで待っていた。

 枯れたこの場所は寂しさを纏った静寂さが有った。キョロキョロと辺りを見渡しても何一つ生命の息吹を感じない。



「………何にも聞かないんだな。」


「聞いてほしいですか?」


「さあ? 聞きたくない相手に話す事でもない。」


「私が悪いみたいじゃないですか。」


「すまん。そういうつもりじゃないんだ。」



 妙に言うのを躊躇っている様なそんな雰囲気を感じ取り少し茶化すと仰向けになって私の顔をじっと見る。そして、言い難そうにしている状態そのままに口を開く。



「地球での話とかユリナも、俺もだけど、思い出したくないしあまり喋りたくもないかなと思ってたんだけどな。何て言うか話しておかなくちゃいけない気がしているんだ。とは言ってもつい先日までは俺も忘れていた事だから何処か他人のように思えるようなことなんだが。漸く俺の中での整理がついて、辻褄が合って。だからさ、聞いてくれないか? 俺の昔話。」


「………実は幾つか知っている事と予想している事は有りました。転生者とは聞いていましたがそれが誰だったか、何となくの目星も付いているつもりです。だから大抵の事では驚かない自信がありますよ?」


「そりゃあ、助かるな。聞いたら拒絶されると思って当然のことをしていた筈だからな。」


「雪原 烈乃斗。それがノトさんの前世の名前ですね?」



 私の言葉にびくりと体を反応させたが肩を竦めて肯定の意味で頷いた。そして立ち上がり、今度こそ中央まで歩き、噴水を背にして腰掛ける。私もそれを見て隣に座る。



「私はつい先日までは地球で過ごしていてニュースを見ていたのですから。未だにあの事件は大々的に報道されて彼の本心は? とか境遇とか言いたい放題言っているのは記憶に新しいですよ。」


「そう、か。実際の所完全に記憶は戻っていないから多分、封印したんだろう。俺の、俺としての意識を正常に保ち、魔王として世界を壊さない様に。」


「当時の私は小さかったですからそれはもう恐ろしい怪物に見えましたけど。今はどんな話でも受け入れるつもりです。」


「頼もしいな。」



 フフとお互いに笑いあうとノトさんは真剣な表情にして、懺悔するかの如く前世の生活、転生までに至る死を、僅か数年という人生を語る。







数分前に書き終わり、確認したので誤字がありそう。


何とか元気に過ごしていると証明にもなりますので間に合って良かったですー。

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