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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第6章
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62話 3人と回想4



「さて、馬鹿話もここまでで続きを話しましょう。」



 そんな別れから数年経っていた。魔物が次第に数を増やし強さを増し、未だに聖剣に選ばれし勇者が現れずで世界の危機と誰しもが感じ取っていた。


 私とヴェロックも各地を回り魔物を撃退していったけどそれを上回る勢いで魔物たちは様々な村、街、果ては国までも襲っていた。人族だけでなくすべて世界に住まう者が協力し何とかしてきたモノのその均衡も崩れていった。



「この戦い何時まで続くんだろう。」



 誰かがぽつりと溢した言葉に誰も答えられない。一様に下を向き今を乗り切る事だけを考えている。


 絶望が渦巻き、全てのヒトがこの世界から消え失せるのでは無いかと誰しもが思い、寧ろ疑いすらしなかった。例外なく私も......。






「皆! 上を向け!! 希望が、我らが勇者がこの世界に光をもたらしてくれる!!」



 久方ぶりに以前勇者を探していた国に帰ると王は高らかに宣言していた。最初こそその言葉を疑っていた民衆が次の瞬間王の後ろより現れた聖剣を携えし者が現れた事で瞳に希望が宿るのが分かる。


 私も疑っていたが現れた瞬間息を飲んだ。聖剣を掲げていた人物こそ数年前に忽然と姿を消し消息が分からなかった彼だったからだ。



「........。」



 民衆に笑顔を向け手を振っている彼は以前とは雰囲気が変わっており別人かと思った。ヴェロックと顔を合わせ確認する為出陣するという勇者に話し掛ける為に急いで移動を始めた。





「久しぶりね。覚えていないとは言わせないわよ。」


「そうだぞ! 何処に行っていたかは分からないがこんな再会をするとは思わなかったぞ!!」


「貴様ら、勇者様のお通りを邪魔するのかっ!」



 そう付き人が声を荒げるがそれを片手を上げて制す。そしてその付き人に冷ややかな声音で伝える。



「話をしてくる。邪魔するなよ。」



 ビクッと震えたが礼を返す付き人を見届けた後、「此方だ。」と声を掛け他の人に会話が聞こえない位置まで移動した。



「あの時触らなかったのは自分が勇者だと知っていたからなの?」


「.........。」



 私が質問すると黙り込む彼に私はもう一度強めの口調で聞こうと口を開くとその前に彼から答えがもたらされた。



「半分当たりで、半分外れだ。」


「どういうこと?」「どういうことだ!?」


「知っては居なかったし、まさか本当に選ばれるとは思っていなかった。」



 そう言うと彼、ノトリアは喋り始める。





 聖剣が選ぶと言ったのは比喩などではなく本当の事。持ち手を”選ぶ”そうなのだ。聖剣は意志ある剣だったのだ。そして、聖剣が選ぶのは能力が高い人物。自分が能力が他より優れていると感じたのは私達、魔法使いの全ての師である賢者様の修行から薄々では有るがおかしいとは思っていた様だった。人より上達が早く悉くを覚え、それを100%以上の力を引き出す事が出来る。自分の勘違いかと思っていた。いや、思いたかったのだろう。


 予想を裏切られる。分かっていたのかもしれない。諦めていたのかもしれない。様々な村、街、国など人が住まう所すべてに寄り、数年を費やしたものの自分より優れていると感じるものは誰一人と会う事が出来なかった。唯一私達、特に私は才が高いと感じていたがそれも自分には及ばないと分かってしまい、自分が選ばれてしまう可能性が高かった。自慢に聞こえそうな話だが事実そう感じてしまったと無表情で彼は言った。


 魔王に対抗する為にもうあたりかまわず聖剣を握らせる行動に走っていた王様は押し付ける様にして彼にも触らせた。もう諦めていたそうだ。誰かが選ばれて魔物を、魔王を退けない限りはこの世界が滅びてしまう。



「人の生き死にが楽なこの世界で()()殺しをするとは思わなかったが、折角得た()()の人生を失いたくないから覚悟した。」



 観念したような表情で語り終えた彼の言葉に疑問を呈す。



「え、ちょっと待って。また? 第二の人生? 何のこと?」



 彼はフッと笑うと簡潔に答える。



「別世界で15年、死んでから、こちらで10年過ごしている、という事だ。不思議な話ではあると思うがな。」











「時間も無かったからそれしか言われなかったけどそれからは大体は史実通りよ。結局その後はずっと戦闘だったしね。」


「魔王の復活、討伐!! 世界に平和が訪れた! と皆が信じて疑わなかった。という訳だな!!」


「でも、それだけじゃ話は終えれませんよね。一番大事な事が抜けていますし。」


「そうね。.........ノトリアの魔王化。そっちが一番大事ね。」



 表情を暗くしてあまり思い出したく無い様なそんな雰囲気で重たく口を開いて話を続ける。













 魔王討伐後、ノトリアと知り合いで最前線を共に戦っていた私達も英雄と持て囃され盛大なパレードが催された。数か月から数年ほど世界に魔王の脅威がのがれたとの知らせを受け沸き立った。


 最初の方は気疲れして癖癖していたから早くお祭り騒ぎが終わらないかと思ってたわ。特に魔法使いであった私とノトリアは魔法が栄えていた国では神様のように崇められて大変だった。そんな大層なモノじゃないってね。


 そう、1年ほど経ったか経たないくらいでノトリアの様子がおかしくなっていった。頻繁に体調を崩していき、酷いときは一時昏睡状態で数日から長いときは数週間起きない事も増えていった。魔法使いは魔力が多いだけでなく高位になると純度が高い魔力が全身を巡っていくから体調不良なんて滅多に起こさない筈だったのにそれを否定するかのように時を経ていく毎に悪化していった。元から交流が薄いノトリアだったから毎度の如く看病は私達でやってたわ。


 そして魔王討伐よりたった2年後。恥ずかしながら私は同胞である魔法使いに捕らえられた。同胞というのも反吐が出るけれど。



「我らが崇高なる願いの為の贄となってくれ。」


「..............!?」


「魔法発動には基本的に何もいらぬからな。言葉を発する事も魔法を発動する事も封じさせてもらったよ。」


「贄には純度が高く量が多い魔力がいる故、其方は偉大なる、かの王に捧げられるのだ。」


「さあ、我らが悲願を。”魔王”の復活を!!」


「!!?」



 魔王は2年前に確実に討伐された。その影響で魔物の狂暴化が収まったのだから。目に見えて分かる成果を上げたのにも関わらず彼らは間違いなく魔王と言った。最初は耳を疑った。どうせテキトウをでっち上げた宗教の集団かとも思った。けれど、どの者も正気に見えた。



「*********。」



 聞きなれない言語で放たれる言葉で私は急激に力を吸い取られる感覚に陥り、魔力が自然に回復しては抜き取られる作業を永遠と繰り返された。殆ど意識が朦朧としててあんまり詳しい事は覚えて無いんだけどね。






「だから、ここからはヴェロック、お願いね。」


「まあ、サラの視点では其処までが限界だし、仕方ねえな!! 話すのは苦手だがオレとコイツの方を話すとするか!」







 サラがいなくなったのに気付いたのはノトリアが意識を消失して回復した3日後の事だ。オレらには割と気安く接してくれるようになったノトリアがサラの居場所を聞いたもんだから会いに行ったんだが、そこにサラの姿は無かった。



「おかしい。サラの魔力が全く感じない。」


「生命反応も全く感じとれないぞ!」



 同じ魔法使いであるノトリアは魔力の反応を、機人であったオレは生体が発する独特な反応も感じる事が出来ず、強力なサラがそんな事になる訳がないと思い血眼になって探した。病み上がりにも関わらず必死にノトリアは探していた。そして、探していた筈なのにサラがいる場所に迷う事無く辿り着いた。



「「サラッ!!」」


「! ......来ちゃ.......だ.......め.......。」



 掠れた声でノトリアを見てそう言ったものの間に合わずおかしな宗教集団はどいつも高笑いを浮かべて貯めていた魔力を迷う事無くノトリアにぶつけた。



「くっ!」



 そう言って若干反応が遅れたノトリアは、サラが目の前に居て避ける事も見捨てる事も出来ず、サラの元に走り、防御の構えを取った。情けない事に反応が遅れたオレはそのノトリアの行動で我に返ってサラを助け出し、ノトリアにも声を掛けようとした瞬間に全てが揃ったかのようにあいつの足元から魔方陣が描き始めそれが完成された。


 放出されていた魔力が防御によって流れていた筈なのにそれが全てノトリアに吸い込まれていった。明らかに容量が超えたその魔力は余すことなく収められていく。



「ああああああああああああああ!!!!」


「ノトリアッ!!」



 声を掛けた時は既に遅かった。



「我らが悲願果たされた。さあ、我らが崇拝せし魔王様。この世界に災厄(リセット)をもたらして下さいませ。」


「...........。」


「魔王様?」



 覚醒させられた力でノトリアは全てを破壊して多くの魔法使いを殺した。それは世界中を巻き込み終わらない戦いが続いた。



「っ!!」



 長きにわたる戦いに終止符を打ったのは、ノトリア自身だった。ほんの数秒戻った自我で、自分を強制的に眠らせる魔法を行使したのかその場に倒れようとしていたノトリアは最後に口を動かし何かを伝えた。


 その言葉は今までオレたちでさえ信用しておらず聞く事が無いと思っていた言葉。



「.....頼む。」



 この言葉で静まったノトリアを動けない様見えない鎖で縛り、魔術という魔法より低位の術を作ったと公言し魔王を完全に滅した事を演じた。












「サラは後遺症が残らず、ノトリアは嬢ちゃんが聞いてる話の通りだな!!」


「ホント、胸糞悪い話よね。今は【魔女狩り】なんて言われて魔法使いが忌避される原因ですもの。.......それで、本題は話終わったし、今置かれている話をしなきゃね。」



 長い長い夜はまだ続く様で私は一度も眠る事が出来なかった。







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